表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
八星の勇者に選ばれた少年リアム  作者: TO
第3章 新たな八星の出会い
53/191

第48話 リアム、二十人本組手に立つ

 鬼人の村の中央。

 石と木で組まれた重厚な館。

 それが、村長・バルガの家だった。

 門をくぐると、鉄と土の匂いが混じる。

 庭ではすでに数十人の鬼人が修練をしており、拳がぶつかり合う音が響いている。

 リアムは息を整え、門の前に立った。

 心臓が鼓動を強める。

 ──夢の残滓が胸を締めつける。

 ──それを振り払うように、扉を叩いた。


「おはようございます。

 リアムと申します。

 今日は闘技場で、皆さまと模擬試合をさせていただきたく参上しました。

 アルトさんから手紙を預かっています。」


 館の奥から、重厚な足音が響く。

 現れたのは、白い髭と鋭い瞳を持つ鬼人――村長バルガ。


「ふむ……リアムか。昨日ぶりじゃな。」


 手紙を受け取り、目を通す。

 その瞳がわずかに見開かれる。


「……お主、アルトに勝ったのか?」


 館の空気が一変する。

 周囲にいた戦士たちがざわめき、訓練を止めて集まってくる。


「アルトに……?」


「まさか、嘘だろう……!」


「鬼神アルトに、あの子どもが勝ったっていうのか!」


 リアムは困惑しながらも、静かに答えた。


「アルトさんが油断していた部分もありました。

 ですが、勝ちました。

 ……次は分かりません。」


 村長の口元に、ゆるやかな笑みが浮かぶ。


「勝ちは勝ちだ。――誇れ。

 まぐれではあの男に勝てぬ。」


 リアムは深く頭を下げた。


「ありがとうございます。」


 バルガは立ち上がり、声を張る。


「模擬試合を認めよう! リアムと戦いたい者はおるか!」


 瞬間、熱が爆ぜた。

 戦士たちの目が一斉に光を帯び、数十人が名乗りを上げた。


「俺が行く!」


「リアム殿、手合わせ願いたい!」


 闘志と誇りがぶつかり合う。

 バルガが笑ってリアムに問う。


「人数が多いが、構わぬか?」


 リアムは静かに息を吸い、頷いた。


「もちろんです。……全力で挑みます。」


 ◇ ◇ ◇


 闘技場。

 砂塵の舞う大地の中央に、リアムは立っていた。

 周囲を取り囲む数十の鬼人たち。

 風が吹き抜け、朝の光が剣を照らす。


『――ここで、また強くなる。』


 拳を握り、心を沈める。

 胸の奥に微かに残る、あの夢のぬくもり。

 名前を思い出せない誰かの笑顔。

 それでも――前へ進む。

 審判役の鬼人が声を上げる。


「二十人本組み手――始めっ!」


 大地が鳴った。

 リアムは一歩、前へ。

 足裏が砂を蹴り、風が裂ける。

 その一歩が、戦いの始まりだった。



次回:八星の覚悟――鎧を捨てた少年

読んでくださって、本当にありがとうございます!


「面白い」「続きが気になる」と感じて下さった方は、ぜひ下の【☆☆☆☆☆】から評価、または【ブックマーク】をお願いします!


あなたの応援が、次の更新の一歩になります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ