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八星の勇者に選ばれた少年リアム  作者: TO
第3章 新たな八星の出会い
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第42話 異世界人、命脈を知る

 リアムは苦笑いを浮かべて肩をすくめた。


「いや……聞いたことはあるけど、よく分からないんだ。」


 代わりにセラが説明を補足する。


「この子は異世界人なの。

 別の世界から来たから、命脈も使えないし、教えていなかったのよ。」


「異世界人……?」


 アルトは目を丸くして、リアムをまじまじと見た。


「お、お前……マジで? 異世界って、あの、伝説とか神話の……?」


「うん、まぁ……そんな感じだと思う。」


 リアムは苦笑して頭をかく。

 するとアルトは呆気に取られた顔でため息をついた。


「世の中、ホント分かんねぇもんだな。」


 アルトは少し間を置いて、説明を始めた。


「命脈ってのは、要するに人類が生まれ持った魔力のことだ。

 だが普通の魔力とは違う。

 命脈はその人だけの根源の力ってやつだな。」


 リアムは目を瞬かせた。


「……根源の力?」


「そうよ。」とセラが引き継ぐ。


「つまりね、命脈はこの世界に生まれた者なら誰でも持っている自分だけのオリジナル魔法よ。

 それに、命脈は魔力を使わずに発動できるのが利点。

 ただし、発動条件が厳しいの。

 条件を満たさない限り、絶対に使えない。」


「魔力を使わない……それって、かなり便利だね。」


 リアムは素直に感心していた。

 レオンも頷く。


「そうだが、便利な分、使いこなすのは難しい。

 命脈は心と魂に結びついているからな。

 心が乱れれば発動もしない。」


 リアムは興味津々で尋ねた。


「じゃあ、レオンとセラも使えるの?」


 二人は頷いた。


「俺の命脈は、一言で言えば変身だ。」


 レオンの声が少し低くなった。


「龍神族としての力を完全に解放できる。

 まぁ、あんまり使わないがな。」


 セラも続く。


「私の命脈は残響。

 発動した魔法をその場に残すことができるの。

 魔法が残るから、敵の行動を制限したり、罠のように使えるわ。」


 リアムは目を丸くした。


「すごい……そんな能力、初めて聞いたよ。」


「戦ってるときに見ればもっと分かるさ。」


 レオンが軽く笑うと、セラは息を吐き、からかった。


「ま、あなたが見惚れて戦いを忘れないことを祈るわ」


 そしてリアムはアルトにも尋ねた。


「アルトの命脈は?」


 アルトは少し考え、拳を握った。


「俺のは単純だ。

 勝ちたいって気持ちが強くなるほど力が上がる。

 相手を倒したい。

 勝ちたい。

 ――そう思えば思うほど、どんどん強くなる。

 発動条件はそれだけだ。」


 リアムは息を呑んだ。


「……それ、強すぎない?」


「上限は?」とレオンが尋ねる。

 アルトはにやりと笑った。


「今のところ、ねぇな。」


 セラが呆れたように肩をすくめる。


「さすがは八星ね。規格外にもほどがあるわ。」


 リアムも苦笑しながら心の中で思った。


『こいつ……本当に人類か?』


 ◇ ◇ ◇


 やがて森の木々が途切れ、遠くに光が差し込んだ。

 風が抜け、草の香りが漂う。


「おい、見ろ。」


 アルトが指を差す先――そこには大きな集落が広がっていた。

 岩肌をくり抜いて建てられた家々、木材で組まれた防壁、煙が立ち上る鍛冶場。

 そこに暮らす鬼人たちの声が、風に乗って聞こえてくる。


「……あれが、鬼人の村か。」


 リアムは息を呑んだ。


「そうだ。」アルトが誇らしげに言った。


「俺たちの村で鬼人が生きる場所だ。

 ようこそ――俺の故郷へ。」


 レオンとセラは互いに目を見合わせ、そして静かに頷いた。

 リアムの胸にも、不思議な高揚感が広がっていた。

 これから始まる新たな出会い。

 その風は、どこか懐かしくも、戦いの予感を含んでいた。

 ──鬼人の村への道、その先に運命が待つ。



次回:英雄、鬼人の村に凱旋!

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