第41話 朝霧の森、四人の行軍
──朝の光が、森の木々の隙間から差し込んでいた。
冷たい夜気の名残がまだ漂う中、最初に目を覚ましたのはレオンだった。
いつも通りの鋭い目で辺りを見渡し、剣を手にして周囲の警戒を怠らない。
次にセラがゆっくりと体を起こし、魔力を整えるように深呼吸をする。
そして最後に、リアムとアルトがほぼ同時にまぶたを開いた。
「……おはよう。よく眠れたか?」
レオンの声は低く、それでいてどこか安心させる響き
を持っていた。
「うん……まぁ、途中で何度か起きたけどね。」
リアムが頭をかきながら答えると、横でアルトが腕を組み、すでに出発する気満々の表情をしていた。
「よし、行くぞ。今日は村まで案内してやる。」
アルトは立ち上がると、軽く体を伸ばしながら笑みを浮かべた。
その笑みは昨日の戦いの余韻をまだ引きずっているようで、どこか誇らしげだった。
リアムたちは軽く食事をとると、すぐに出発の準備を整えた。
目指すは――鬼人の村。
◇ ◇ ◇
森を抜けるまでの道のりは、決して穏やかではなかった。
魔物たちは早朝にも関わらず活発で、四人の前に次々と現れる。
黒い霧のような影が木々の間をすり抜け、獣の咆哮が響く。レオンは即座に反応し、剣を抜いた。
「来るぞ!」
最初に飛び出してきたのは、黒狼の群れ。
赤い瞳が光り、唾液を垂らしながら襲いかかってくる。
だが、リアムたち四人の連携は見事だった。
レオンが前に出て斬撃を放つ。
剣閃が一閃、黒狼の首を易々と断ち切る。
セラの魔法が後方から炸裂し、炎が渦を巻いて数体を焼き尽くす。
リアムは素早く跳び上がり、神器を形態変化させた拳に魔力を纏わせて一撃――。
地面を震わせるほどの威力で、群れをまとめて吹き飛ばした。
「強い奴がこんなに集まると……すごい楽だな。」
アルトが呆れたように笑う。
その声には、どこか嬉しさも混じっていた。
「まぁ、俺たちも本気じゃないからな。」
リアムが肩をすくめると、セラが冷たく睨む。
「調子に乗らないの。油断したら足元すくわれるわ。」
リアムは笑いながら、ふとある疑問を思い出した。
以前から気になっていた――命脈のことだ。
「アルト、ちょっと聞いていいか?」
「ん? なんだ?」
「命脈って、何なんだ?」
その瞬間、アルトの顔が露骨にこいつ何言ってんだ?
という表情に変わった。
「……は? お前、命脈知らねえのか?」
深淵の森に、アルトの驚きの声が響いた。
次回: 異世界人、命脈を知る
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