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第7話 体育祭当日のトラブル

とある日の朝。体育祭の会場となるドームの前で生徒たちが集まっていた。


「もうすぐ体育祭だな」

「嫌だなぁ……出たくねぇよ……」

「俺たちのクラス……絶対優勝するぞ!」


やはり生徒によって、やる気が違うようだ。


「匠君!」


陽菜が匠に向かって手を振る。


「おはよう陽菜」

「おはよう!いよいよだね!」

「そうだね」

「お互い頑張ろうね」

「うん。応援してる」


生徒たちが全員集合すると、生活指導部部長の阿久津隆盛あくつりゅうせいが前に立つ。


「それでは集合時間になりましたので、順番にドームに入場してもらいたいと思います」


阿久津の指示で、生徒たちはドームに入り始めた。



生徒たちは観客席に移動し、クラスごとに指定された場所に座る。

匠たちが全員席に座ると、担任が説明を始める。


「まずは全員出場種目の綱引きだ。同じ学年同士で勝負するトーナメント方式になっている。勝つことができればポイントに加算されるが、負けたチームはポイントを獲得できない」

「体育科のクラスと当たらないといいけどな……」

「当たったら負け確だもんな」


クラスメイトたちが話していると、放送が響き渡る。


『ただいまより、綱引きを行います。1年生は全員、入場口に集合してください』


1年生たちが入場口に集合すると放送が響く。


『それでは1年生入場してください』


放送を合図に1年生たちがそれぞれ、クラスごとに指定された場所に散る。

匠のクラスの最初の相手は普通科のクラスだ。


「それでは!よ~い始め!」


阿久津の声で、生徒たちは綱を引き始める。


(力強いな……)


匠は必死に綱を引っ張るが、クラスメイト全員引っ張られてしまい、敗北した。


「クソ~!強かったな~!」

「途中までいい勝負だったんだけどな」


『負けたクラスは退場してください』


匠が退場していると、後ろから陽菜が話しかけてきた。


「負けちゃったね」

「うん。でも楽しかった」

「次の全員出場種目は玉入れだね。玉入れは絶対勝とうね」

「そうだね」



『次の大玉転がしに出場する生徒は入場口に集合してください』


放送を聞いた陽菜は席を立ち上がり、移動する。


「それじゃあ行ってくる!」

「行ってらっしゃい」


由香が手を振ると、匠も手を振る。それに気づいた陽菜は、ニッコリ微笑んだ。


(匠君に応援してもらうの嬉しいな……)


陽菜は機嫌良く、歩いている。


(匠君といると最近、学校が楽しく感じる……)


朝に会えば挨拶するし、お昼も一緒に食べる。放課後も時間が合えば一緒に帰る。


(あれからずっと匠君と過ごすようになって、それが当たり前になってきてる……)


陽菜は匠が転校してきた日を思い出す。


―――「相田匠です。一学期までアメリカで過ごしていました。よろしくお願いします」


陽菜は匠を見て、ハッとなった。


(もしかして……あの時の……)


似ている……髪型も……顔も……あの時に会った少年と……


(話しかけてみようかな……)


ホームルームが終わると、陽菜は匠の方へと近づく。


(覚えてるかな……私のこと……)


ドキドキしながら歩いていく。


(覚えてるわけないか……子供の頃だし……)


それでも仲良くなりたいなぁ……


「匠君!よろしくね!」


匠は突然話しかけられたことに戸惑いつつ返事をする。


「よろしく。え~と……」

「私は浅田陽菜!陽菜って呼んで」

「よろしく陽菜」

「わからないことがあったら私に聞いてね」

「ありがとう。じゃあまだこの学校に慣れていないから休み時間に案内してほしいんだけど……」

「いいよ!私が案内してあげるね!」


―――(あれ以来、仲良くなれて凄く嬉しかった……)


どうして嬉しいんだろう……新しい友達ができたから?

自分の歌声を認められたから?


(違う……嬉しかった理由は……匠君のことが……)


陽菜の前から急いでいた生徒が走ってくる。


「うわっ!」

「きゃっ!」


陽菜はぶつかった衝撃で、尻餅をついた。


「すみません!大丈夫ですか?」

「はい……大丈夫です」


陽菜が立ち上がると、足にズキッと痛みが走る。


「痛っ!」

「大丈夫ですか⁉」


陽菜は足を抑える。


(どうしよう……これじゃあ……)

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