第5話:透明な毒の謎――ドライアイスが解き明かす闇
冬の訪れとともに、ソラノ村に謎の病気が広がり始めた。
目の痛みや呼吸困難に苦しむ村人たち。巫女リアは呪いの可能性を疑い、慧に助けを求める。
だが慧は、自然現象と科学の視点から原因を探り始める。
今回は、ドライアイスの冷気に似た「透明な毒」の正体と、それを使った意外な解決法が明かされる物語だ。
冬の冷たい風が村を包み込む頃、ソラノ村に新たな不穏な空気が漂い始めた。
「目が痛くて開けられない…息苦しい…」
村人たちが次々に奇妙な症状を訴えはじめ、村全体が不安に包まれた。
巫女リアは、祈祷を続けながらも胸の奥に焦りを抱えていた。
「けい様、どうかお助けを…このままでは村が滅びてしまいます」
コンビニ店長の慧は、村人たちの症状を一つ一つ丹念に観察した。
目をこすり、涙を流す人々。呼吸が浅くなる者もいる。
しかし、明確な原因は分からない。
「呪いかもしれない…」村の長老は眉をひそめたが、慧は首を横に振る。
「呪いは便利な説明だが、実際はもっと現実的な理由がある。まずは環境を調べよう」
慧は村の空気を手で感じ取り、冷たい微かな霧のようなものが漂うのに気づいた。
「この冷気、どこかで…」
コンビニの倉庫で何度も見た、ドライアイスの冷気だ。慧の頭にピンとひらめきが走った。
「空気の乾燥が過ぎて、粘膜が刺激されている。これが“透明な毒”の正体かもしれない」
慧は村の薬草を集め、昔からの知恵に加えて現代の知識を融合させた自然加湿器を作り始める。
薬草の蒸気で空気中の水分を増やし、湿度を適正に戻すのだ。
さらに、村の泉水から精製した目薬代わりの液体を用意し、目の痛みを和らげる。
村人たちは不思議そうにしつつも、次第に回復の兆しを見せていく。
子供たちの笑顔が戻り、空気も重くなくなった。
しかし、夜になり慧は一人、村の外れにある小屋で奇妙な足跡を発見した。
「誰かが故意にこの“透明な毒”をばら撒いている…?」
気づけば背後に冷たい気配が迫っていた。
慧は振り返り、鋭く言った。
「お前は一体何者だ?」
影は答えず、ただ闇の中へ消えた。
村を襲う真の敵が、静かに動き出していた――
見えない冷気に苦しめられた村人たち。
その原因は呪いではなく、空気の乾燥と刺激だった。
自然の力と現代の知恵を融合させて、慧は村を救った。
しかし物語はまだ終わらない。背後に忍び寄る影が、さらなる謎を予感させる。
次回も慧の活躍と、ソラノ村に迫る新たな闇にご期待ください!