異界から脱出せよ。
真っ赤な月が照らす中、男子生徒と少女は困っていた。
「異空間どうやって脱出しよう」
「とりあえず、空間を作っているヒト見つけたら、なんとかなりそう。」
「そうだな。」
少女は周りを見る。
「とりあえず、降りてみよう」
召喚した櫓を使い少女は船を陸に近づける。
「異空間って、ヒトの夢が元になっているから。ヒトが起きるまで待つしかないのかしら、待ってたら確実に遅刻する」
少女はため息をつく。
「諦めるな。俺は、デュラハンはヒトの死を察知できる。それはつまり、ヒトの生命の探知できる。
ヒトはどれだけ健康で恵まれていても必ず死が付きまとう。
俺はそれを見逃さない。
見つけた。
鞭、鎧、馬召喚」
男子生徒の体は光る。
少女が目を瞑るとそこには、男子生徒の頭が腕の中にない。
首のない男子生徒の頭の部分が薪のように大きく燃えていた。
「一緒にのれ」
男子生徒が手を伸ばして少女を前に乗せる。
馬を走らせて、公園を抜け出した。
そうするとある一軒家の前に着く。
「ここか?」
乗っている馬がすごい脚力で上がり、一軒家の2階窓を蹴り破る。
女の子が寝ていた。
まだ小さい子供だ。
とても苦しそうだ。
何やら黒いものにのっからている。
それを見て、二人はするべきことがわかった。
「生きているからだを求めるのは、死して体の亡き者。あなたの居場所はここではありません。
我らと共に冥界へ行きましょう」
まず少女が馬を降りて手を伸ばして、優しく語りかけたが、黒いものは拒否するように女の子を締め付ける。
女の子が苦しそうにうめく。
「死を認めぬものや、貴様の最初の罰は鞭打ちだ」
男子生徒が片腕で鞭を振り上げて、女の子の体から黒いものを払った。
それをすかさず、少女が捕まえて、懐から出した小瓶に詰める。
「これを遅刻の原因として出そう」
「そうだな」
女の子は穏やかな顔になった。
その途端世界は白く変わった。
眩しくなり目を開けると水の中だった。
「ばび、ばぼ」(まじ、かよ)
「ぶべびょぶばん」(船召喚)
そうして、また少女の船召喚に助けられて、元の世界に黒いものごともどってきたのだ。
現在の時刻8時54分。
人間界のある場所、熱中症で危篤だった女の子が助かった
「頭が燃えた騎士がむちで黒いものを追っ払ってくれてびしょ濡れセーラー服のおねいさんがそれつまえてびんにつめた」
と親に話していた。