5話 複製と相対の決断(デシジョンウィズアコピー)
─────コード入力【5555 コピー】……
俺には決断が必要だった。
俺が今からする戦術は成功するか分からない。
だが、新しくコードを見つける以外他の方法がない。
この戦術を使うのに相対的にリスクは伴う。
しかし、もうこれしかない。
俺は回転しながら飛んできているナイフをコピーすることにした。
『何してんだよテメーーッ!それでどうにかなんってんのか〜〜〜???』
「ああ、なるさ。」
たった今成功したことが分かったからな。
『強がりはやめろ〜!』
その瞬間、男の顔が青ざめた。
ナイフが地面に落ちたのだった。
『は?』
投げてきたナイフとは逆向きにナイフをコピーした。
お互い同じ場所に逆向きに刃が回転している。
これにより全く同じエネルギー量がぶつかり合い、それに伴い相対的にエネルギーが相殺された。
地面にナイフが落ちカシャンと音を立てた。
もうコピーは必要ない。解除しよう。
ここからはこちらのターンだ─────
─────コード入力【4649 手蝶】……
【5555 コピー】……【5555 コピー】─────
コード入力の最大同時使用数の4回だ。
もう一度コード入力を行えるように手蝶を増やす。
実はさっき見つけたコードを入力する。
コード入力【9999 音の波紋】
このコードは音の流れを波紋として形に現すフィールドを展開する。
波紋は非常に薄く切れ味があり、相手にとっては円形の刃物が大量に飛んでくるようなものだ。
とても強いが発動には大量の体力が必要で、フィールドの外に出られたら元も子もないなど、弱点はある。
右、左、そして真ん中と手蝶を飛ばし、拍手音により相手を一網打尽する。
逃げられる前に勝負をつける。
パチィ─────
パチィ──────────
パチンッ───────────────
一気に波紋が広がる。
ザクッ……ザクッ……と相手を波紋で刺す度にその音でさらに波紋が広がる。
『やめろォ……やめろォ!─────』
つまり時間が経つほど攻撃は激しくなるのである。
血が見えた。フィールドを解除した。
その瞬間に男の死体が消えていく。
戦いのリングでは勝利することにより歓声が湧き、音が大きくなるが。
このサバイバルでは相対的に不気味なほどまでに静かになる。
だが、その静けさによる余韻こそが、勝利の合図である。