4話 異様と回転
「油断してたぜ……。」
痛みを抑えつつ、冷静に思考をめぐらせる。
ナイフを刺されたが急所を外れて直ぐに死ぬことは無かった。
だが、このまま放置すると出血死するな。
振り返りながら1歩前へ間合いを取る。
目の前には異様な雰囲気を出しながらナイフを持ち、ヘルメットを被っている中年男性がたっている。
ナイフについた血をハンカチで拭いながら、『チッ』と舌を鳴らしている。
何か次の攻撃を仕掛けてくるかと警戒していると、そいつは気味悪い顔でにーぃっと笑い、こう言った。
『俺の職業は大工だ。能力はものをドリルのように回転させる能力なんだ。────』
そいつの奇妙な話し方に気を取られるも、俺は出血を止めようと手持ちの絆創膏を傷口に貼り付けて応急手当をした。
────物を回転させる能力……。
どう対処すれば良いのだろうか。
コード入力【4649 手蝶】
さっき見つけたコードの、拍手しながら飛んでいく蝶を放ち、男の視点をずらす。
そのうちに空き地の土管の後ろに隠れ、コードを入力し、対処できる技がないか探す。
【1111】少し大きいハエが手からでてきた。使えない。
【1234】栄養ドリンクが目の前に出てきた。少し便利だが今は使えないな。
【5555】目線の先にあるハエが2体に増えた。物を増やす能力か?ステータスを見て確認してみるか。
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【5555 コピー】
目線の先にあるものを2つに増やす。
1つの物質の質量は半分となり、質量保存の法則に基づく。
解除した場合エネルギーはそのまま物体のみが1つに戻る。
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この能力は使えるかもしれない。
だがどう使うかが問題だ。
どうやら居場所がバレたようだ
『次はトドメだよぉぉぉ』
ナイフを回転させてこちらに投げてきた。
さて、どう対処するかな────