32話 信号
「挨拶がまだだったな……」
上から声が聞こえ、見上げると信号機の上に男が居た。
「俺の名前は、北上ノエル。麻酔科医をしているものだ。」
「ご丁寧にありがとうな北上さん、ここで消えるんだから挨拶する意味は無いがな。」
そう言うと信号機の上から北上が消える。
俺はどこかから急に出てくると思い、身構える。
タクシーディフェンスで攻撃を防ぐポイントは一極集中だ。
運局点弾は体力を多く使うから極力使わないようにしたい。
またシンプルに背後から来るか、それとも正面から……
「手術完了だな。」
横、しかもしゃがみながらだと!?
俺はタクシーディフェンスを右脚に集中させる。
「ちっ、少し外したか」
北上がそう言うと、俺の脚にナイフが刺された、突き刺さっているが浅く、クソいてぇけど歩けないほどでは無い。
コード入力【9999 音の波紋】
場所が分からなけりゃ、全ての場所を攻撃すればいいだろう。
さっきまで車が通っていたりしたから使えなかったが、この騒ぎを見て車はこの道を避けて行ってる。
【1876 スピーカー】
音量は大音量だ。
意識を薄くする以外北上の能力は無い。
いつの間にか北上は居なくなっているが、そこまで遠くに入ってないはず。
これで終わりだ。
俺の好きなカルメンを流して。
音楽の音に対し、北上は静かに死んだ。
目の前にある死体が、パラパラと消えていった。




