9話 握りの心得②(前編)
─────上池がチラリと三嶋を見る。
「俺の相手はお前だっけ?」
『あぁ!!そうだな!!!!』
「どんぐらい強いか調べさせてもらうよ?」
上池が小石を拾い上げた。
投球フォームに入る。
投げた。
投げたボールは勢いよく地面に突き刺さった。
『ふっは笑えるんですけど!マジでノーコンじゃん!』
─────ドンッ
『はぇ?』
地面に突き刺さった場所を中心に細かくなった石が飛び散る。
それもものすごい速度だ。
『いってぇぇぇ!』
地面に着いた瞬間石が割れることにより勢いそのまま周辺に飛んでいくのである。
「俺はこれを着石弾と呼んでいる。」
『チッ。こいつ強いな。』
「逆にお前は雑魚みたいだな。」
『それはどうかな!』
三嶋は飛び散った石を集め、握る。
石が一纏めになったが、割れる前の小石の5分の1ほどの大きさである。
『圧縮されてるからな。かなり硬いぞ?ダイヤモンド並だぜ。』
「そうか。」
『そうかじゃねぇよ!』
その瞬間、三嶋はおよそ150km程の速さで石を投げた。
「ちょっと早いけど、そろそろ終わらせるか。めんどくせぇし。」
上池は石を軽々しくキャッチした。
『は?まじかよ?』
「これ、利用させてもらうよ。」
上池はジャンプし、寿司屋の駐車場のそばに生えている木に乗っかる。
隣の木、また隣の木と移り続ける。
『逃げる気か?そこに登ってどうするんだよ!』
三嶋に何か違和感が走る。─────
『なんだ?背後に視線を感じる。』
次の瞬間。上池は三嶋の背後にいた。
「目を離すなよ。」
その瞬間、小石が三嶋の頭を貫通したのは、誰から見ても明らかであった。
三嶋の体がパラパラと風に消えていった。




