知らないオッサンたち
「…はっ!」
目が覚めると空は暗く月が昇っていた。
「おぅ…。やっばーい…。」
こーれはヤバい。どしましょ。父母に怒られる。いや、怒られるだけじゃ無くてもう行くなって言われる。
「と言っても、今から帰ると野獣とかに襲われそうだし…。夜が明けるまでここで寝るかぁ。」
明日のことは明日の僕に任せよう。そうしよう。
キュルルルル~…
「腹減った~。」
こっから出れないし,お腹すいたの誤魔化すためにはよ寝よ。
おやすみ~。
――――――――
「え?行けなくなった?」
「はい。」
「まさか…、また?」
「はい。」
最近、村から住民が消える事件が起こっている。
抵抗した跡もないので襲われたのかは分からない。だが、その村々は人が一切おらず、家は先ほどまでここに人がいたような状況で放置されている。
最初は移住かな、と思っていた。たが、こうも続くのは流石におかしいし、生活感があるまま出ていく意味がわからない。民族で構成されている村は、住んでいる土地に飽きるとまた別の土地を探して旅に出ることが多い。北の方に視察をしたときよくあったことだ。
「分かったわ。原因が分からない限りこれ以上視察にはいけないわね。」
「ということは…」
「視察の中止。」
「かしこまりました…。旦那様には私めからお伝えさせていただきます。」
「頼んだわ。」
侍女が頭を下げ出ていくのを確認し、ベットに寝っ転がる。
「はぁ〜…、まじか…。まだ見つかって無いんだけど。何がどうなってるのか知らないけど人の邪魔しないでほしいわ〜。」
ゴロゴロとしながら愚痴をこぼす。
「てか!どこにいるのよあの二人!ぜんっぜん見つかんないんだけど?!あ〜も〜!あいつらのことだから向こうから絶対探しに来ないだろうしぃ!」
ドッタンバッタンとベットの上で暴れまくり、枕に向かって叫ぶ。
「クソがぁぁぁぁぁぁあ!!!」
「お、お嬢様ぁ?!」
――――――――
おはよーござーます!気持ちのいい朝ですね!
ぐりゅるるるrrr~…
嘘です!腹減りすぎて気持ち悪いです!
「やばい、すっごいお腹すいた。」
起きると太陽が上に登っていた。寝る前はそばにいたつーちゃんもどこかに行き、いなくなっている。
「てか帰るのきつー。腹空きすぎてクラクラするし。」
お腹がすいて力が出ないが、この場所から村の安全地帯に行くまでは一気に駆け抜けなければいけない。
「しんっど。あ~、誰か僕にぱわぁーをください~。」
意味のないことをつぶやきながら、近場の木に登り村への進路を決める。
「よ~し、んじゃ、れでぃごー。」
気の抜ける掛け声とともに、決まった木の枝に飛び移り森を掻け抜けていく。そして、あっという間に目印の黄色い布が付いている木の枝につき、下に降りるために止まる。
「よかった、着いた。踏み外すとかなくてよかった…。…ん?」
今見たことないオッサンがチラッと見えた気が?な~んかヤな予感が…。
木から降りるのを止め気配を殺して、村の気配を探りながら木の枝をつたって近づいていく。そして、良い感じに村から見えない位置の木についき、村を見渡した。
そこにいたのは、村の住人ではない髭の生えたオッサンどもだった。
「いや、誰!?」
いやいやいや、誰だよあいつら!?てか、村の人ひとりもいないんだが!?
ミシッ…。
え!?何で!?昨日まであんなのじゃなかったよ!
ミシシッ…。
あれだと”村人”じゃなくて”盗賊”だよ!?
ミシッミシミシ…。
「てか、さっきからミシミシうるさいなぁ!」
バキッ!
「あ、やb」
その音と共に乗っていた枝が折れ、地面へと叩きつけられた。
「っがぁっ!」
これ、死んだかも。
息ができず視界が暗くなりそのまま気を失ってしまった。