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第1話 罠使いは追放される


「ミスト、お前は今日限りでクビだ」


「へ……?」


その日――ギルドマスターの突然の宣言に、ミストは思わず耳を疑う。


「以前からお前がクエスト中、何もせずにサボってばかりだと報告が集まってるんだよ」


「そんな! 俺はちゃんと仕事をこなしてます!」


「黙れ、呑気にパーティーの最後尾を歩くことが『罠使い』の仕事か?」


「う……」


そう言われてミストは口籠る。

ミストの職は『罠使い』、主に罠の解除と設置を行うことの出来るサポート職だ。

ギルドマスターの言い分は全て間違っている訳ではない。

確かに彼は普段、パーティーの後ろを付いて行っているだけだ。


しかし、それは決してサボっている訳ではない。

既に仕事を終えていた(・・・・・)からだ。


「全く、もう少し報告が早くてもよかったくらいだ。3年もこんな奴が我が冒険者ギルドに所属していたとはな」


「そんな言い方……現にパーティーは成果を上げています!」


「それはお前以外のメンバーがちゃんと仕事をしているからだ! それに聞いたぞ、今日のクエストで解除出来ていない罠があったとな」


「それは俺が仕掛――っ!」


ミストが言い切る前に、ギルドマスターは怒鳴りながら拳を机を叩き付ける。


「黙れ! たまたま(・・・・)モンスターに掛かったから良かったが、もしそれがパーティーメンバーだったらどうするつもりだ! このクズが!」


「違うんです! 俺の話を聞いてください!」


「遂に尻尾を出したって訳だ。お前の顔など見たくもない、とっとと出て行け!」


ギルドマスターはミストに背を向ける。

これ以上話すつもりはないらしい。

報告があったって言ってたけど、一体誰が……?


がっくりと肩を落としたミストは部屋を後にしようとすると、扉の窓から様子を覗く人物がいた。


パーティーリーダーのショーワル隊長だ。

ニヤニヤと気持ち悪い笑みを浮かべている。


(絶対あの人だ……!)


引っ込む顔を見ながらミストは1人断定する。


そして荷物をまとめている最中、案の定あちらから話しかけて来た。


「いいザマじゃないかぁミストぉ〜、サボってたバチが当たったなぁ〜」


ショーワルは侮蔑を交えた笑顔を浮かべる。


「貴方なんですね、報告したのは」


「ああそうだ、パーティー内の乱れを正すのはリーダーの務めだからなぁ、これも仕事の内だ」


「俺はちゃんと罠を解除してきたんです。今まで1度もパーティーが罠に引っかかっていないのが証拠になりませんか?」


「はは、出た出たお得意の嘘が。それは俺の日頃の行いが良いからだ! 能無し罠使いの嘘は穴だらけだな!」


ショーワルは鼻を鳴らしながら続ける。


「大体、今日のクエストの罠はどう説明するんだ、あのリザードマンが掛かった罠だよ。また自分が仕掛けた(・・・・・・・)とか言うのか?」


「はい、俺のスキルで仕掛けたんです」


「おいおいおいおい。あの時お前はいつも通り後ろでボーっと見てただけだろ。何もしてないのによくそんなことが言えるなぁ」


「……どうしても信じてくれないんですね」


「もし何だったら今ここで俺に罠を仕掛けてみろよ! ほら、やれよ!」


ショーワルは焚き付けるが、ミストはそれに応えない。


「やっぱり出来ないんだろ、この嘘つきが!」


ははははは、と笑い出すショーワル。

もうクビは決定しているんだ、これ以上話しても仕方がない。

それでも、自分の言うことをまるで聞いてもらえないのは堪える。


「もうすぐ俺のパーティーにSランクの打診がくる。その時にお前みたいな棒立ち野郎がいたんじゃ審査に響くんだよ。他の人間が優秀なほど、不真面目な奴は目立っちまうよなぁ」


なるほど、

だからこのタイミングで俺を追い出したって訳か……。


「ミスト、このギルドは勝ち組のみが在籍を許された場所だ。お前は野垂れ死なないようにその日暮らしをするのがお似合いだぜ」


ショーワルの下品な笑いを背中に浴びながら、ミストは呟く。


「お世話になりました」


こうして彼は、冒険者ギルドを追放された。


ショーワルを始めとしたメンバーは、誰のおかげで今の地位があるのか、少しも理解してはいなかった。


ここから冒険者ギルドは、崩壊の一途を辿る。


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