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魔血を取りに出かけました

皆さんおはようございます

時折思うのは、前書きや後書きも直したいという事です


では、『魔血を取りに出かけました』です

お楽しみください


 賢者へなってから約4年と半年。私は現在、人外魔境へと訪れています。


「えっと、確かここだったわよね?‥‥うーん、多分あっているんだけど‥‥あとは根気強く探すしかないかな」


 私の領地から馬車を使って半月かけて一番近くの街へと到着しました。その後、馬を借り半日ほどかけ、今いる場所の入口へ。そこで野宿をして6時間ほど歩き続け、現在へと至ります。


「情報が少ないのよね。思い切って、王級魔法でも使おうかしら」


 あれから4年以上も魔法を鍛錬し続けることができたので、使える属性は全て王級まで使えるようになりました。

 なお、その間他の令嬢たちならば出ているはずの社交界など、一度も出ずに魔法漬けの毎日でした。

 ボッチ?同年代の友達どころか知り合いすらも作る機械の無かった人に対して『ボッチ』と呼べるのでしたら、お好きにお呼びください。全く気にしませんので。


「でも先生から超級以上の魔法は、必要以上に使わないように言われてるし‥‥止めときますか」


 やはり一人でずっといるのは少し精神的にやられますね。

 はぁ。時間はあまりないのですが‥‥まあ、中等部は最悪入らなくてもいいですよね。どうせ、今から町に戻って王都へ馬車を飛ばしたとしても、間に合う確率はほぼゼロですからね。

 お父様には中等部にはいかないかもしれないと伝えてあるので、そこまで怒られることもないでしょう。

 大体中等部へ通っているのは、子爵のあたりまでですからね。


「‥‥?」


 風の流れが変わりましたね。強い風が吹いているのならば兎も角として、今は風の流れは殆どありません。そもそも、自然に変わるような場所でもないですからね。

 あ、今いる場所は『原初の龍谷』と呼ばれる、時折、羽付蜥蜴が出る場所として有名です。

 そう言えば、この4年間で冒険者登録をして、Aランクまでなったんですよ。

 冒険者のランクは、Eから始まって、D、C、B、Aと来て、S、SSランクと続きます。その上にあと3つあるようですが、現在ではSSランクが最大だそうです。羽付蜥蜴を相手にするのはAランクからだそうですが、何故あのような羽の付いているだけの蜥蜴にそこまで苦戦するのか分かりませんね。

 ついでに言っておくと、私賢者の順位では68位に上がりました。最後に戦ったのが1年くらい前なので、半年前に戦っていればもう少し上がれていたかもしれません。参考程度に、レイビン先生は43位、レイフィーさんは9位だそうです。2人には遠く及びませんね。


「さて、風向きが変わったという事は蜥蜴が出たようですね。こちらから攻撃しましょうか。

“火よ、敵を貫け”〈火銃ファイヤショット・ダブル〉」


 両手を前に向け敵が出てくるのを待ちます。

 そして、敵が姿を見せた瞬間、私の放った魔法が蜥蜴の頭を貫きました。


風竜(ウィンドドラゴン)でしたか。まあ、マジックバックはありますし、持って帰りますか」


 風竜はあまり素材の良い魔物ではありません。

 鱗を剝げば風属性魔法耐性を持つ防具に出来ますが、そこまで強くないですからね。正直光魔法の結界の方が何倍も強いです。


「まあ、お金にはなりますよね」


 素材もよくないのに、何故かギルドでは高価で受け取ってくれます。

 まあ、他の人が倒した奴を見た感想は、倒し方が下手だな、というものでした。鱗はボロボロで、どれだけ無駄な攻撃をしたらああなるのか、理解できません。




 その後も一時間ほど歩き続け、ようやく目的の場所へと到着しました。


「ようやく見つけました。ここが『始祖龍の洞窟』ですか」


 名前の付け方は安直な気もしますが、分かりやすいので個人的にはありだと思います。

 始祖龍が暮らした洞窟らしく、ここは迷宮とかしています。難易度は特Aランク。Aランクでも、ギルドから認められた上位勢しか入れません。私は魔法協会で賢者の順位持ちなので許されました。

 まだAランクにはなったばかりです。そこまでギルドに認められているとは思っていません。

 ここで手に入るのは、増魔血と呼ばれるアイテムです。ゲームではレベルというものがありました。その上限を突破するアイテムだったのですが、この世界では魔力の上限を取り払うものとなっているようです。

 私も賢者用の魔水晶ですでに橙色になっている。とは言え、それが2月ほど前でそれからどれだけ増えたのか、まだ分かっていない。


「増魔血を早めにとっておいて、損は無いわよね」


 先生はまだ採っていないようだ。レイフィーさんは20の時に、取りに行ったと言っていた。私と初めて会った次の年の出来事だ。

 レイフィーさんと何度か模擬戦をやってもらったが、今でも勝てるイメージがわかない。流石SSランクの実力者と言ったところだ。

 賢者でレイフィーさんよりも上が8人もいると考えると、SSランクの人は賢者でもトップクラスの化物ばかりなのかもしれない。物理攻撃型の人もいるはずだけどね。


 増魔血を取ったという人はそう多くない。

 それと言うのも、賢者の順位と実力は反比例しているが、それと体力は反比例していないのだ。魔力に関しても、必ずしも多いというわけでは無い。


「まあ、どうせ一つ使えばそれ以上はいらないから、そこまで問題ないかな?」


 数には限りがあるだろうが、まだまだ沢山あるのではないだろうか?

 まあ、目的も終わったことだし、帰るとしますか。




 帰るとはいえ、龍谷を抜けるころにはすでに真っ暗になっていましたので、野宿しましたけどね。

 光魔法を使うことによって虫をよらなくすることができるので、野宿への抵抗も小さいです。魔獣も光魔法を忌避する傾向にありますからね。


 魔獣と言うのは平たく言えば魔力を持った獣です。保有魔力量が多ければ多いほど強いとされています。

 冒険者ランクと同じような区分になっていて、それぞれ魔獣のランクよりも上であれば、無理なく討伐できると言われています。

 先程倒した風竜はAランクに属しているので、私の実力はSランク相当という事ですね。ランク=力とはなりませんからね。ランクを上げるには貢献度と実力の二項目が両方とも基準以上であることが条件になっています。

 私はまだ貢献度が足りていないので、Aランクで止まっていることになりますね。Aランクだと男爵程度の好待遇に、Sランクだと子爵以上伯爵以下の待遇に、SSランクともなると侯爵並みの好待遇となり、SSSランク以上はは公爵と同等の扱いになるらしいですよ。


 さて、朝食も食べ終えましたし、町へ戻るとしましょうか。




 馬がいなくなっていたこともあり、帰るまでに2日かかってしまいました。

 まあ、馬をあの場所に置き去りにしたら、魔獣に襲われていた可能性も高いですし、仕方がないですかね。


「パン、そろそろ帰ろうと思うのだけど、今から帰るのと1日休むの、どっちがいいかしら?」

「シア様が今から帰っても大丈夫って言うのなら、今から帰った方が良いが‥‥帰って来たばかりなのにいいのか?」

「ええ。全然大丈夫よ。それに、行きの反省を活かして、簡単なクッションを魔法で作ることにしたの」

「それは‥‥大丈夫なのですか?」

「ええ。そのための材料はちゃんと採ってきてあるわ」

「そうですか。では、帰りましょうか。馬車にお乗りください」

「ありがとう、パン」


 馬車へ乗り込み、クッションの準備を始めた。

 その間に、馬車は出発した。


 揺れる馬車の内部での作成は、多少骨が折れたがその価値はあったと思う。

 クッションが振動を吸収してくれるおかげで、腰へと負担が行きの半分以下になりました。




 馬車に揺られること半月が過ぎ、自領へと戻ってきました。

 正直に言います。あのクッションは失敗だったようです。

 最初の頃は良かったのですが、徐々に吸収できる振動は小さくなり、最後の頃は魔力を使ってようやく維持できるレベルでした。

 魔力操作の練習だと言えば聞こえはいいですが、馬車の中でまでその様な事はしたくなかったです。


「お母様、ただいま帰りました」

「シア、お帰りなさい。今回の旅はどうだったの?」

「目的の物を取って帰ることができました。すでに使用しましたが、これからも魔法を頑張っていこうと思います」

「それなら良かったわ。そうだ、シア。お父様もシアの帰りを待っていたのよ。行ってあげなさい」

「分かりました。お風呂に入ってからお会いしようと思います」

「そう?なら、私からシアが帰ってきたことは伝えておくわね」

「お願いします。お母様」




 入浴後、お父様のいる執務室へと向かった。

 お父様は日中、ここに居ることが多いのだ。領主としての仕事があるため、基本的には朝、昼、夜のご飯の時間以外はこもりきりになっていることが多い。

 時々外に出て剣を振っているところを見たが、お世辞にも上手とは言えなかった。正直、良くて中の中と言ったところだろう。

 まあそれは、今はどうでもいい事だ。


「(コンコン)お父様、入ってもよろしいでしょうか」

「シアかい?いいよ。丁度休憩を取ろうと思っていたところだったんだ」


 お父様はそう言って中に迎えてくれた。


「さて、シア。魔血は取れたようだね。私は魔法の才能も剣の才能もなかったから、それがどれだけ大変な事なのかは分からないけど、頑張ったね」

「ありがとうございます」

「さて、来月には中等部の入試があるけど、どうするんだい?正直シアは通わなくてもいいと思っている。社交界などには出たことがないから、まだ知り合いもいないだろうが、これからは社交界にも出てもらうつもりだ。賢者としての立場もあるし、冒険者としてもAランクと言うのはかなり高いレベルだ。それに勉強は中等部の範囲は余裕で終わっていると訊いている。あとはシアが中等部に通いたいかどうかだよ」

「お父様、私は中等部に通うつもりはありません。出来れば、冒険者として一年ほどは旅をしたいと思っています。まあ、1月から2月に一度は返って切る予定ですが。そうして見聞を広められたらと思っています。社交界があるときは魔道具で知らせてください。すぐに帰れるところに居れば、戻ってこようと思います」

「そうか、分かった。シアの意見を尊重しよう」


 お父様には分かってもらえたようで良かった。ここでダメだと言われれば、通わなければならなくなっていた事だろう。大きな問題がある訳ではないが、なぜか私を恨んでいるレイネシアもいるし、私がヤル気を失わせることとなってしまった皇太子殿下もいる。

 皇太子に関しては次男、三男のどちらかに移る可能性も高くなっているらしい。ほとんど王都に行ったことが無いので、実際の所はどうか分からないが、あの次男が努力をすれば賢者にも匹敵する実力にはなるのではないだろうか?

 魔力はそこまで強くなかったが、上級魔法を使えるくらいにまでは増えるだろうし、どちらかと言う剣士のような体つきをしていたように感じられた。ギルドであった(次男は観客席にいた)ときに、体格はそれなりに良く見えたのだ。私が比較的小さい方なので、比べる相手もいないのだが、前世のクラスで大きかった男の子よりも、シュッとしているが引き締まっていて、無駄が無いように見られた。

 魔法はそこまで強くなれないのを理解していたからこそ、魔法以外の訓練は欠かさずに続けてきたのだろう。


 この国では魔法を使える方が強いと思われている節があるため、彼の努力はよく見られず魔法が苦手な面だけを見て出涸らしなどと呼ばれていたのかもしれない。


「では」

「ああ、少なくとも半年は自由にしてくれてもいい。それからは、少し日程を調整することにしよう」

「分かりました。配慮、感謝します」

「そんなに固くしなくていいよ。それで、婚約者の件なのだが‥‥まあ、これはシアの自由にしてくれ。私から政略結婚をさせることは絶対にないと約束しよう」

「ありがとうございます」

「しばらくは家にいるのだろう?」

「ええ。少なくとも今月いっぱいは家にいるつもりです」

「じゃあ、今度手合わせしようか」

「魔力による身体強化のみですね」

「ああ。じゃあ、来週にしようか」

「分かりました。お父様との手合わせ楽しみにしてます」


 剣の腕はあまり良くないお父様ではあるが、基本はシッカリと出来ているし、どちらかと言うと柔の剣を使う。

 私の場合は冒険者の活動をしっかりと初めてから、師匠を探そうと思っている。そのための旅でもある。私の場合基礎的な力が足りていないので、騎士の使っているような剣だとまともに触れないので、練習も出来ていない。才能は未知数だが、今の段階だと剣を力任せに振るっているだけだ。

 魔力が高いのでそれでも何とかなるのだが、剣をちゃんと振るいたいと思うのは、オタクの宿命だろう。


~その頃とある皇太子は


「皇太子様、お料理の準備が済んだようです。本日のご予定ですが、午前中は魔法の訓練。午後は帝王学の勉強となっております」

「魔法の訓練はキャンセルだ。俺は外に出てくる」

「……(また、ですか。今月に入って一度も訓練なさっていない気もしますが)分かりました。その様に伝えておきます。お出かけのご準備は」

「馬車だけでいい。服を買いに行ってくる」

「承知しました。馬車をご準備しておきます」


 皇太子は完全に魔法の訓練を諦め、あくまで魔法は、庶民よりかは使える。その程度にしか訓練しなくなっているのであった。


最後までお読みいただき有難うございました

ゲームでの裏設定

皇太子とついてはいますが、正確には第1皇子と言う扱いです

第2皇子が妾との間に出来た子だったために、魔法の実力が一般的な皇族に比べ低かったために第1皇子が王太子と呼ばれていました

正確に皇太子となったのは、ゲーム内での聖女様との婚約が決まってからです

また、第1皇子の魔法の潜在能力はレイネシアさんと同じ程度です

今のところ出てきているキャラクターたちの潜在能力としては

セシリア<<<(そこそこ大きな壁)レイフィー<<<<<(越えられない壁)レイネシア≒第1皇子<レイビン<第2皇子<レクルド(名前のみの登場)<<<<<(越えられない壁)キリア<<(一般人と貴族の壁)グレイ

なお、これは潜在能力であり、グレイの実力は十分賢者としてやっていける実力でした


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