魔法士になりました
皆さんこんにちは
投稿日時の設定ミスで、予約を明日の朝7時にしてしまっていました
夜中の12時少し前に投稿しようとしていたのですが、いつの間にか日にちをまたいでしまっていたようです
とまあ、そのようなミスもありましたが、こちらの方は予定通りに投稿しました
では、『魔法士になりました』です
お楽しみください
魔法の訓練が始まってから1年が過ぎました。
この半年の間に私は7歳になりました。あれからも魔力は増えに増え、ついに橙色に変わりました。
もう一つ賢者用と言う魔水晶があるそうですが、それは大人用のもので黒色だったとしても、ようやく黄色と言ったレベルの物だそうです。
「ではセシリア様、本日は魔法士認定の試験をしましょうか。では、火属性の超級魔法をお願いします」
「分かりました。“火の精よ、我が願いに応じ野を焼き尽くす炎となれ”〈火炎獄〉」
私の放った魔法は周囲の野原を焼き、荒野へと変えた。火はそのまま残り、さらに周囲を焼き尽くそうとしている。
「では続いて水属性の超級魔法を」
「はい。“水の精よ、我が願いに応じ全てを流す波となれ”〈荒波〉」
指向性を持った波は野原に広がる火を飲み込んで流れていった。
「では続いて光の超級魔法を」
「はい。“光の精よ、我が願いに応じ万物を癒す光となれ”〈周囲治癒〉」
荒れ果てた野原をもとの状態へと戻した。最初は人以外への治癒は苦労したが、一度できるようになるとその後はトントン拍子に出来る様になっていった。
「下級属性は超級まで問題なさそうですね。では続いて、上級属性の上級魔法といきましょうか。超級を使っても大丈夫ですよ。自分で元に戻せるのであればですが。属性の指定はしません。3属性全て使ってください」
「分かりました。“大地に眠る水よ、我が願いに応じ周囲を凍てつかせ、万物を閉じ込める氷極となれ”〈氷ノ大地〉」
私を中心に半径10メト程を凍らせた。メトと言うのはこちらでの長さの単位で、1メトあたり大体1メートルと考えていいと思う。
人によって距離の感覚は変わるので、本当に大体だ。一応測る道具もあるが、わざわざ使っている人は早々いない。建物を建てるときに使うくらいだろう。
それはそうとして、使った魔法は水の上位属性である“氷”だ。その中でも上位魔法に位置する魔法だが、詠唱を多少変えることで威力はかなり上がっていると思う。
「次、どうぞ」
「“全てを溶かす煉獄の焔よ、我が願いに応じ周囲を燃やし尽くし、万物を溶かしたまえ”〈煉獄の業火〉」
周囲の氷を解かす程度に調整し魔法を使った。意外とこの調整が大変だが、これをしないとどれだけの被害が出るのか、考えたくもない。
この魔法は火属性の上級属性である“焔”だ。日本人の感覚だと、炎だと思っていたのだが、焔だったようだ。とは言え、“ほのお”も“ほむら”もどちらでも読めるのだが、それは気にしてはいけないのだろう。実際の所どんな違いがあるのか、私には良く分からない。
「では最後」
「“万物を癒す聖なる光よ、我が願いに応じ死せし大地を甦らせ、草木の息吹を芽吹かせたまえ”〈自然甦生〉」
光属性の上級属性である“聖”属性、その超級魔法が自然甦生だ。
あくまで自然を甦らせる魔法であり、動物を甦らせることは不可能だ。違いはいくつかあるのだろうが、私は把握していない。一応神級魔法には人体の組成をする魔法もあるようだが、今まで使えたものはかつて数1000年前の戦いで、勇者に使えたとされている聖女だけの様だ。
それは置いておくとして、氷属性魔法によって栄養まで死滅し、焔属性魔法によって完全に融解してしまった大地は、聖属性魔法によって自然の恵みを取り戻した。
「何度見ても、セシリア様の聖属性魔法には簡単を覚えますね。光の超級魔法でも大地の回復は出来ますが、完全に融解したものの回復までは出来ません。この辺りは人間の部位欠損が光属性で直せないのと同じですね。とは言え、聖属性でも完全に融解しきった大地をもとの状態にまで直すとなると、それ相応の魔力が必要となります。王級魔法であれば簡単かもしれませんが、超級魔法で完璧に直せる人は、そうそういませんので誇ってもいいですよ」
「お褒めいただき、ありがとうございます。レイビン先生に褒めていただけると、自信になります」
「いえいえ、私は実力のある人しか褒めませんから。それ相応の自信は持っていただかないと困ります。では、セシリア様。あなたに今日から魔法士を名乗ることを許します。では、これを」
レイビン先生が渡してくれたのは、先生のローブにもついていたバッジだ。
このバッジは魔法士であることを示す、世界共通の証だ。魔導士になった時には別のバッジを貰った。
このバッジを貰うには、講師の先生の試験を突破するか、王都にある魔法連盟でそれぞれのレベルの認定試験を受けなければならない。
とは言え、実力が伴っていないのがバレた場合、強制的にバッジの剝奪になるので、八百長なども不可能である。
「謹んでお受けします」
「はい。今後も励んでください。セシリア様ならば、きっと賢者にも至れるはずです」
この半年の間にレイビン先生は賢者へと昇格した。
賢者は順位持ちとそれ以外に分けられる。実力がモノをいう世界で、力無き者は蹴落とされる。賢者には順位持ちでも日々訓練は欠かせず、新たな賢者候補が出た際にはその時の100位が相手をしなければならない。
100位から順位を上げるためには、半年に一度下克上のチャンスがもらえることになっている。
下の者が上の実力者に勝負を挑める機会だ。とは言え、下の順位の者は大抵入ったばかりか、実力が賢者になって以来上がっていないものばかりだが、賢者になっている時点で実力はかなり高い。勝つのは厳しいが、レイビン先生はその最初のチャンスで92位にまで上がることができた。
下の者が上がった際には、1個ずつ順位がズレる仕組みになっている。勝ったらその順位に入り、その下は1個ずつ下がってしまうのだ。だから、90番台の人は日々上に上がろうと努力を重ねている。
なお、同じ人に対して下克上を使うことは(10位以上を除き)出来ないらしい。
「賢者様にそう言っていただけると、励みになりますね」
「ははは…お嬢様、その呼び方はおやめくださるよう、日ごろから伝えているはずなのですが」
「フフフ。ごめんなさい。少し、揶揄いたくなりまして」
この半年の間で、私の口調はかなり矯正された。元々は殆ど敬語など使えていなかったのが、この半年で社交界などに出ても恥ずかしくないと及第点を貰える程度にはなった。
「セシリア様、戻りましょうか。本日はお父様がお帰りになられる日だと記憶しています」
「本当?お父様が帰って来るの。早く帰らないといけないわね。お父様が拗ねてしまうわ」
少し笑いながら先生にそう言って、家へと戻っていった。
とは言っても、少し離れた場所でやっていただけなので、10分ほど歩けば家へ到着した。
「ただいま帰りました、お母様」
「おかえりなさい、シア。魔法士認定試験はどうだったの?」
「ばっちり合格したわ。来年には賢者になってやるんだから!」
「あらあら、それは凄いわね。レイビン先生。実際の所、シアは賢者にはなれそうなのですか?」
「ええ、来年には必ず。もしかすると今年中にはなっているかも知れませんね」
「本当ですか!?」
「もう、お母様。娘の言う事を疑っていたの?」
「セシリア様がこの調子で賢者に至ったら、史上最年少の賢者誕生ですね」
「今までは誰が最年少だったのですか?」
「私の姉である、『レイフィー・シンク・スールド』ですね。確か10になる少し前に賢者になりましたよ。ああ、そうなるとシア様は記録を大体2年の大幅更新ですね。私の姉の前は100年ほど前の結果で、15歳だったのでかなり驚かれていましたが、シア様の結果はそれ以上に驚かれますね」
「そうかしら?」
「ええ。10歳前後での5年の更新と、10未満での2年更新ですと意味が変わりますからね。大体魔力が芽生えるのが5歳のあたりで、それから1年ほどかけて魔法を使える程度にまで魔力が徐々に成長します。そこからは自力で成長させない限り、自分の成長に従って少しずつしか伸びませんので、そこから2年。セシリア様の場合は7歳になる少し前からでしたので約1年で賢者になるというのは、それだけ才能があり、努力してきたという証明になります。あくまで才能があっても、努力なしには魔法は使えるようになりませんからね」
そう聞くと、私がどれだけ凄いことをしてきたのか、その異常性が分かった。
普通は1年なんかではそこまで魔力が成長しないし、イメージが追いつかず超級魔法などは使えないのだろう。
「本当にセシリア様は天才ですよ」
「娘のことをそう言ってもらえると、私も嬉しいわ。シア、あなたも頑張ってね」
「はい!お母様!」
「奥様、お嬢様、旦那様がお帰りになりました」
「あら、もう帰ってきたの?じゃあ、迎えに行きましょう。シアが迎えに行ってあげたら、クロードもとても喜ぶわ」
私はお母様と一緒にお父様を玄関にまで迎えに行った。
「シア!ただいま!この3ヶ月の間、とても寂しかったよ」
「あら、会えなくて寂しかったのはシアだけなのかしら?」
「そ、そんなわけないだろう。レイネにも会いたかったよ」
お母様は揶揄っただけのようで笑っているが、お父様はそれに気付いていないのか、あわあわとして必死に弁明している。
「フフフ。冗談よ。そんなこと疑っているわけがないじゃない」
「ほ、本当か?それなら良かったよ‥‥」
お父様は心底ほっとした様に胸をなでおろした。
「シア、今日は魔法士認定の試験だったのだろう。結果はどうだったんだ?」
「‥‥ごめんなさい。お父様」
少し悪戯心の芽生えた私は、お父様に受からなかったという感じの雰囲気を出してみることにした。
お母様にはすでにそれがバレているようで、顔を隠しながら笑っている。
「え…あ、シア。ご、ごめんね。じ、次回もあるから。次頑張ろう」
「受かってしまいました」
「え?受かったの?」
悪戯は成功のようですね。お父様はポカーンとした顔をしています。
きっと、合格すると思っていたから訊いたのに、落ちた様な雰囲気を出したせいで、受かっていないと思っていたのでしょう。
「はい。受かりましたよ」
「あ、ああ。・・・・お、おめでとう?」
「はい。ありがとうございます」
何故か疑問形で『おめでとう』と言われましたが、気にしたら負けですね。
「それなら良かったよ。じゃあ、今日はお祝いにしないとな」
必死に取り繕うようにお祝いの準備を取り進めていきます。
「お父様、お父様。耳を貸してください」
「うん?何だい」
「私、お祝いなら妹が欲しいです」
「ぶっ!な、なにを言っているんだい!?」
「あら、シア。どうしたの?」
「お父様に妹が欲しいですと言っただけですよ。子供は『コウノトリ』と言う、トリの魔物が連れてくるんですよね?」
「ああ、そう言う事か…」
「お父様は何でそんなに焦っていたのですか?」
「そ、それはだな‥‥」
「お父様は少しびっくりしただけよ。お父様が頑張って、きっとコウノトリに妹を連れてきてもらうからね」
「お父様がコウノトリに頼むのですね!お父様、コウノトリはきっと強い魔物だから驚いただけなのですね!」
「そうよ。でもね、お父様は強いから大丈夫よ」
私はどうやって子供ができるのかは知っているが、お父様を揶揄いたくなったのだ。
きっとこれは、お父様が悪いのだ。揶揄われやすいお父様が、きっと。
その日の晩食はとても豪華になり、次の日の朝、お母様は凄くつやつやしていた事だけここに記しておこうと思う。私子供だから何があったのか分からない。
~その頃とある伯爵家では
「レア!何故いまだに、(下級属性の)初級魔法すらまともに使えないのだ!もうすでに、とある侯爵家のご令嬢は(上級属性の)上級魔法まで使えているとのことだぞ!これ以上差をつけられる前に、訓練をしっかりしろ!」
その伯爵家は代々魔法師団の副騎士団長を任されている家系であった。彼女の二人の兄の内1人は、既に副騎士団長補佐になっている。もう一人は既に家を出ているが、大学の魔法科で5年間主席を保ち卒業した実績を持つ。実力は副騎士団長である兄と遜色なく、賢者の称号も手に入れている。また、姉は最年少で賢者へと至り、現在では冒険者となり国に3人しかいないSSランクの1人として名をはせている。
「次に帰って来るのは半年後になる。それまでに上級魔法まで使えるようになっていなければ、お前を初等部に入れることにする!分かったな!」
最後までお読みいただき有難うございました
特に裏設定についてあげるものは今回はありません
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それについて、後書きで徐々に答えていくか、活動報告で上げていきます
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