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九話 作戦会議


 「レオン」


 「なんだ?」


 「いつ作戦決行予定ですか?」


 仕事をするレオンの側で改革の案を考えながら何気なく聞いてみた。


 「・・・出来るだけ早く・・・・このままではあと一ヶ月ももたない」

 

 「! ・・・・今なんと?」


 「出来るだけ早くと言っただけだ」


 「その後です!」


 「このままではあと二ヶ月ももたないと・・・」


 「何がもたないのですか?」


 「貯金がなくなるということだが?」


 それが何か? というような顔で見ている。


 「無くなるのは国のお金ですか?」


 「そう。来月の給料は払えないかもしれない」


 「そんな大事なことは先に教えてください!」


 「だって・・・・ここに来てまだ三日だろ」


 「そんなこと関係ありません! というかそんなこと言っている暇ないではないですか!」


 どうしようか? 出来るだけ早く・・・周りの力も借りたとして・・・・


 「そうなんだけど・・・どうにかなるかなーと」


 1日でも早くしなければいけない。そうしなくては国が動かなくなる。


 「なりませんから、・・・・作戦は半分ほど出来ています。レオンさえよければ今日にでも決行しましょう!」


 「いいけど・・」


 「なぜそう他人事なのですか? やる気があるのか無いのかわかりません。始めれば戻れないから決行日のことも聞いてるのですよ」


 「やる気はある。別にいつ始めても問題ない。この前も言っただろう。覚悟はできてると」


 「・・・・そうでしたね」


 不安になっているのは私の方なのかもしれない。今までだって大きなことも何度も決めて来たのに・・・・


 「アスカはどうだ? 今日でいいのか?」


 「・・・もちろん」


 私が言い出したのだから無理とは言えない。それに・・・・


 「やってみせますよ。そうしなくてはここにいられませんから」


 「そうだな。俺も同じかもしれない・・・」


 「レオン様はそんなことないのでは?」


 「リュード、この書類の山を俺が一人で作れると思うか?」


 「いいえ」


 「給料が払えなくなったらこの書類を作ってくれてたやつたちがいなくなる。これが無いと国は動かない。収入もなくなる。・・・・これで王家は終わりだろう。城に居られるわけがない」


 「そうですね」


 「・・・・よくここまで貯金が持ちましたね」


 「初代王がすごかった・・・・だからここまでもった・・・・ただそれだけだ」


 「そうですか・・・・では作戦会議をしましょう。レオン、味方を集めていただけますか?」


 「5人いるかどうか・・・くらいだが?」


 「使える人は一人でも多く使わなくてはいけませんから」


 「わかった」







 「では只今より作戦会議を行います」


 レオンの仕事部屋のさらに奥の隠し部屋に5人+1匹が集まっていた。


 本当に五人いるかどうかだった。よくこの人数でしようと思ったものだ。


 「アスカ、進行は頼む」


 「はい。では・・・自己紹介をお願いします」


 「なぜ?」


 「私はみなさんのことをあまり知りません。だからです」


 「名前くらい知っているだろう」


 「はい。ですが得意なことなどは知りません。そういうことが分からなければ作戦が組み立て難いですからお願いします」


 「わかった」


 もし言ってくれなかったらどうしようか? 


 「誰からですか?」


 「私が言い出したことなので私から・・・・名前はみなさんご存知でしょうから省きましょう。得意なことはこういう作戦など考えることでしょうか? 前は一番得が多く損が少ない方法を考えて色々していました」


 「色々とは?」


 「そのうちお話します。苦手なことは運動です。あとメイドがするようなことは全くできません」


 半分の人は結局何者だ?というような目で見てる。


 けれどそんなことを話すのは作戦が終わってからでいいだろう。


 「・・・次は?」


 「レオン。あなたが言ってください」


 「得意なこと・・・・はよく分からないがなんでもある程度はできる。あ・・・・動物や魔物を狩るのは得意だ」


 「そんなことできるんだー。すごーい。ねぇ、リュードもそう思わない?」


 「カリア、近づくな!」


 「なんでー?」


 また始まった。カリアさんがリュードさんで遊び始めるとなかなか終わらない。


 仲良くやっているのをじゃまするのは悪いが・・・・


 「次、リュードさん」


 「・・・得意なことは逃げ足の速いレオン様を捕まえることです。あと・・・・捕まえた後、逃さないことくらいですかね」


 「くらいじゃないだろ。リュードはなんでもできる」


 「そんなことはありません。カリアから絡まれるのを回避することは出来たことがありません」


 「・・・・・はい。カリアさん」


 「えっと・・・潜入調査とか得意かな? メイドに混ざってると色々わかるんだー」


 「カリアはこんなだが・・・実力はある」


 「こんなってなんですか?」


 「苦手なことは?」


 「特にないよ」


 この人達優秀すぎる。なんで苦手なことないの?


 「ではメルシアさん」


 「私は・・・料理とかですかね。あとこれは趣味ですが魔石の研究です」


 「魔石?」


 「魔物を解体すると中から出てくるやつのこと」


 「ではピキの中にもあるのですか?」


 「あるだろうな」


 『我をそんな目で見るな! ピキと呼ぶな!』


 どんな目をしているんだろう。まあ・・・時間もないしいいか


 「苦手なことは・・・・虫を触ることでしょうか」


 「そうですか。では王家の方々のことを教えてください」


 『なぜ我をとばす!』


 「・・・こちらレッドドラゴンのピキです。虫は食べないそうです」


 「王家の誰から話せばいい?」


 「そうですね・・・」


 『我ばかり・・・出ていってやる』


 「ピキ。私のペットなのに何を勝手に言っているのですか。出ていけば首輪をつけますよ」


 『・・・・・はい』


 「えっと・・・・偉い方からお願いします」


 「王家で一番偉いのはお祖父様だ。でも城には居なくて別荘でお祖母様とのんびり暮らしている」


 「仕事はほとんどしていないと?」


 「あぁ。今一番仕事をしているのは兄様じゃないか?」


 「一番はレオン様です」


 「レオンと他の方を比べてはいけないと思います」


 私だってレオンの仕事量には驚かされた。


 「派閥・・・とかはありますか?」


 「ない。あっても大臣たちの誰に付くか・・・くらいだと思う」


 「では大臣の中で一番力があるのは?」


 「それはね・・・レオン様のお母様、妃様の実家かな?」


 「今回は関係しそうですか?」


 「いや、大臣達は関わって来ないと思うよ。関わってくるのは王位を奪った後だね」


 「なら今は置いといていいですね。・・・王家の方々ってどんな雰囲気ですか?」


 「俺は身内だからよく分からない。外から見てどう思う?」


 「そうですね。私から見るとナテア様以外、外見も中も雲のように見えます」


 すごくオブラートに包んでいるけれど、ほわほわしていて軽いという事だろう。


 「あの・・ナテア様とは?」


 「第二王子であられる方です」


 「?・・・そうですか」


 昨日来た人のこと? また別の人?


 「昨日突然ナーシャを連れてきたのが第一王子、セルジア・フライスト」


 あの人が第一王子・・・・・レオンが王になろうとしてくれてよかった。


 「いっつもあんな感じだ。突然忙しい時にばかり遊びにくる」


 「そしてレオン様の仕事を妨害していかれます」


 「邪魔だよね」


 最後のは聞かなかったことにしよう。


 「ナテア様はどのような方ですか?」


 「真面目で頭が良さそうな見た目なのにセルジア兄様以下だ」


 「仕事を放り出していつも街で遊んでいらっしゃいます」


 「メイドの子を取っ替え引っ替えしているらしいよ」


 それはひどい。


 「最後はナーシャ。第一公主、お母様に似ているからほわぁーとしてて・・・ナテア兄様よりはマシに育つはずだ。いや、そうであって欲しい」


 「・・・・レオン」


 「なんだ?」


 「あなた本当にここの子ですか?」


 「ここの子だ」


 「どうしてこんなふうに育ったのですか?」


 「そんなの知らない!」


 いつか理由を突き止めよう!


 「では、まずーーーーーーーーーーーー・・・・よろしいですか?」


 「もちろん」


 「準備はできています」


 「いつでもいいよ」


 「任せてください」


 「では作戦決行です」


読んでいただきありがとうございます。

今回名前だけ出てきた人が次は出てくる予定です。

これからは早めに投稿できると思います。

次話も読んでいただけると嬉しいです。

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