五話 ドS発覚
「なんでしょう?」
「聞いてみましょうか」
何か変な声が聞こえるので入るにも入れず・・・・・盗み聞きすることにした。
「あははは・・・・どうですか?」
「リュード・・・やめろ・・・あぁー」
なにしてるんだろう?
「やめていいのですか? しろと言ったのはあなたでしょう」
これは棒読みで、なのにとても楽しそうなリュードさんの声。
「うん。やめないで・・・でも・・・・だからそこは・・・・」
これは半分悲鳴になっているレオンの声。
「どうですか? 痛いですか?」
「痛い・・・やめて」
「そうですか。ここはどうですか?」
「あ・・・痛いけど・・・・気持ちいいかも」
「・・・ならこれでどうですか? 痛いですか?」
「あああぁーー! 手加減しろ! やめて・・・」
「そうですか。ここがいいですか」
意味のわからない会話だ。何かバタバタ聞こえてくるし・・・・
なによりリュードさんが怖い
「やめますか? どうしますか?」
「痛い・・・・けどやめないで・・・・でも」
「あははははははー」
「ぎゃぁぁぁぁーーー!」
なんだか聞いていられなくなりドアから耳を離しメルシアさんをチラッとみた。
「これは?」
「リュードさんがレオン殿下で遊んでおられるのです」
一体どういうことだろう?
「リュードさんはSなのですよ」
「・・・・あの? いじめるのが好きっていう?」
「はい。でもまさか殿下がMだったとは」
実際にいるんだ。すごい。こんなの物語の中だけかと思っていた。
「・・・・何をしているんでしょうか?」
「どうでしょうか? 見た方が早いかと」
「・・・・失礼します」
ドアをそっと開けて中を覗く。
いた。ソファーの上でなんかバタバタしてる人と無表情だけどどこか楽しそうな人がいる。
「・・・おはようございます」
『!』
二人ともこちらを見て固まってリュードさんがとても慌てた様子でレオンから離れた。
「おはよう」
「昨夜はゆっくり眠れましたか? 衣装も届けさて頂きましたがサイズはよかったでしょうか?」
「はい。ベットもふかふかでしたし、この服もぴったりです」
聞かれてつい答えてしまったが・・・ところでさっきのは無かったことにするつもりだろうか?
「あの・・・一体何をされていたのですか?」
「・・・・・肩揉みを・・・」
「・・・・あー、なるほど」
それならレオンのあの声の理由もわかる。なら・・・・
「レオンはMではないのですか?」
「! 違うに決まってるだろ。そんな趣味はない! 変なのはリュードだけだ!」
「では・・・・リュードさんはSだと?」
「そう。これでもリュードはすごく腕がよくて肩こりもすぐ治るから・・・お互いいいだろ。リュードは楽しめて、俺は肩こり解消」
それはすごい。私も肩こりはひどいからいつかリュードさんにしてもらおう。
「余計なことを、・・・・・というかレオン様はMでは無かったのですか?」
「なんでそうなる?」
「普段喜んでされるがままになっているようだったので・・・・」
「リュードが離してくれないからだろ。それに岩みたいに固くなってる肩でもリュードは柔くしてくれるし・・・・ほかのことでSを発揮されるよりずっといい」
「あ・・・アスカさんも今度いかがですか? 完璧にほぐしますよ」
「ぜひ!」
「え! やめといた方がいいぞ。どんどんひどくするんだから」
「アスカさんには手加減しますよ」
「そうか」
レオンが遠い目をしているけれど見なかったことにしよう。
「今日はどうしたらいいですか? 私はなにを?」
「・・・・とにかく早くどうにかしたい。だから方法を考えてほしい」
「昨夜考えてみたのですが、・・・やはり王様は邪魔なのでその座をゆずっていただきましょう」
「・・・どうやって? 上に兄もいると言っただろう」
「脅すしかないでしょうね。本当は話し合いで済ませたいのですがそれではわかって頂けないようですし」
「たぶんそうだろうな。みんな頭が固い。王位は長男が継ぐもので、このままで世が治まるとものだと思いこんでる」
「レオンがいいなら武力で脅すのが一番早いのですが平和的ではありませんし・・・それでは王になってからいろいろと困るでしょう。お三方ともレオンより権力を持ってらっしゃるので私たちだけではどうにもなりません。なので圧倒的に王もかなわないものの力を借りようかと、・・・いかがですか?」
「それでいいが・・・そんなものあるか?」
「ありますよ。レオンが教えてくれたではないですか」
「? ・・・・そんなこと教えたか?」
「ドラゴンですよ」
言った瞬間皆が口をぽかんとあけた。あの固い方のリュードさんまで・・
「はぁ? ドラゴンって世界最強の生物だぞ」
「だからですよ。だれもかなわなくて恐れられている。最高ではないですか」
「今はおとなしいといっても昔は街を滅ぼしたりしていたんだぞ。それにどんな強い人が戦っても勝てたことはないって・・・」
こっちだってそんなことわかって言っているのに
「ひとつ確認ですが言葉は通じるのですよね」
「あぁ、・・・なんか『やれるもんならやってみろ』とか言うらしい。あと・・・負けたあとに『我はどんなことでも負けたことない』とか自慢してくるとかしてこないとか」
意外と面白い人なのかな?
「まあ・・・ならどうにかなるでしょう。というわけでドラゴンはどこにいますか」
「行く気か?」
「早くどうにかしたいのでしょう。レオンは忙しいのでしょうから一人で行ってきます」
「なら教えない」
「メルシアさん教えてくれませんか?」
「・・・・地図を持ってきます」
「わかったから・・・すぐ仕事を終わらせるから待っててくれ」
レオンが妙に焦っている。なんで? 迷子になったりしないのに。
「べつに一人で行けますよ」
「いいからおとなしくそこにいろ。リュード今日の仕事は?」
「こちらです」
いつ終わるかな? 待ってるのも暇だし・・・
「・・・わたしも手伝います。なにか私にもできることはありますか?」
「書類仕事だけだが・・・・読めるのか?」
「・・・・そうでした」
「メルシアさん、アスカに文字を教えてくれないか?」
「はい。かしこまりました」
数時間前
「まだですか?」
レオンとリュードさんはどんどん進んでいく。ちなみにメルシアさんはお留守番だ。
そういえば王子が側近一人だけで外に出ていいのだろうか? まあいいか。
「もう疲れました」
まさか歩きでしか行けないとは思わなかった。もう疲れた。
もう数時間森の中を歩いている。ここは王都の北側らしいがどの辺りなのかこの世界の地図がまだ読めないからわからない。
「そんな疲れるか?」
今のレオンは初めてあったときにような格好をしている。こっちの方がレオンに合っているような・・・
「何年も山を走り回ってるあなたと一緒にしな・・」
レオンに口を塞がれた。
「んー」
「余計なことを言うな」
「アスカさんその話詳しく聞かせていただけませんか?」
リュードさんがいつもの無表情で迫ってくる。怖い。言わないと私が・・・
「ダメだ。バレたら俺が・・・・」
「レオンはいつも山で鳥を狩っているみたいです」
「アスカ・・・なんてことを・・・」
「アスカさんありがとうございます。レオン様楽しみにしていてくださいね。遠慮しませんから」
レオンには悪いが仕方ない。
「ドラゴンってどんなのなのですか?」
「さぁ? ここのドラゴンは話聞いてくれる方らしいけど・・・凶暴だとか・・」
「何匹かいるのですか?」
「この国には4匹いる・・・らしい。しばらく存在が確認されてないものもあるらしいが・・・」
「そうなのですか」
ドラゴンが4匹も・・・・暴れられたら大変だ。
「・・・・あれだ」
開けた場所があり、そこに洞窟のようなものがあった
「・・・・どうくつのなかにいるのですか?」
「そうらしい」
「いきますか」
「やっぱりいくのですか」
「お二人は嫌なら待っててください」
「いきますよ。レオン様もいくようですし」
リュードさんは本当は怖いのかな?
「ではいきましょう!」
読んでいただきありがとうございます
ポイントがまた増えていました。読んでくださる方がどれくらいいるのかこちらからはポイントでしかわからないのでとても嬉しいです。
リュードはドSになりました。どうなるかわかりませんがレオンはMにはならないで欲しいです。
次はドラゴンのところにいきます。アスカはどうするんでしょうか?
あと、まだキャラの名前案は募集していますのでぜひお願いします。(募集締め切る際は書いておきます)
次話も読んでいただけると嬉しいです。