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十三話 回収3 リモレ視点


 夜中


 とても暗い。ただ木が揺れる音でさえ不気味だ。


 普通の貴族令嬢なら怖がるような場所かもしれないが私は普通の貴族令嬢ではないから怖くない。

 

 「リモレ、良さそう?」


 「うん。誰も来てない」


 私と同じように真っ黒な服に身を包んだカリアと王都にあるとある大臣の屋敷に侵入している。


 「どっちだっけ?」


 「えっと・・左!」


 二人で廊下の端を音を立てないようにさっと移動する。


 「大臣はどこかな?」


 「部屋にいると良いけど・・」


 「メイドが部屋に居たりするかな?」


 「今回は何人かにみられる可能性だってあるしね。別にいっか」


 「あんまりたくさんの人に見られるのはよくないよ」


 そんなのわかってるのに・・・・カリアは結構慎重だ。


 「今日はリモレに負けないから」


 「今日も勝つよ」


 どちらが早く任務を終えられるかいつも勝負をしていた。


 今回は財産の回収だから速さ勝負はできない。今回競うのはどちらがより活躍したかだろう。


 けれど私はそういうことを専門にやっている家の出身だ。負けるわけにはいかない。


 「あった。ここだね」


 「・・・・中にいるのは一人」


 「行こうか」


 そっと扉を開けて中に入り扉は外から開かないようにしておく。


 「・・・・いたよ」


 「・・・どうする? 早く要件伝えて渡してもらう?」


 「うん。そうしよう」


 椅子に座ってくつろいでいる大臣はまだ私達に気づいていない。そっと後ろから忍び寄って・・・


 「あの・・・・」


 「!」


 すごい。この大臣は椅子に座ったまま跳ねるというなかなか出来ないことをやってくれた。


 「だ、誰だ!」


 「えっと・・・あなたはここの屋敷の主人で合っていますか?」


 「そうだが・・・早く名乗れ!」


 侵入者が名乗るわけがないのをこの大臣はわかっていないんだろうか?


 「あなた、国のお金を横領していますよね?」


 「証拠なら揃っていますよ」


 二人で一歩一歩詰め寄ってだんだん部屋の隅に追いやっていく。


 「なんでそれを・・・あっ!」


 今更口を塞いだところで遅い。


 「それで・・・どうするつもりだ!」

 

 今回は本当に簡単に任務が終わりそうだ。


 「あなたを・・・いや、家ごと王都から消すこともできますが・・・」


 「それはやめてくれ!」


 「そうですか。なら」


 「そのお金、返してもらえませんか?」


 大臣は口をぽかんと開けてみている。こんなことを言うなんて思ってもみなかったのだろう。


 「・・・なんで侵入者に渡さなければいけないんだ? そもそも返してじゃなくて渡してだろう」


 「いや、返してください」

 

 「返してくれなかったらどうなるかわかってる?」


 脅してでも渡してもらわなくては、今この大臣を消す暇はない。


 「返してだと言い張るなら身分を明かせ!」


 大臣がちょっと勝ったような笑みを浮かべる。


 「・・・王族の命令で来た貴族ですが」


 なにも間違ったことは言っていない。


 レオンの命令だし、私は一応貴族だ。


 「貴族と言ってもこんな仕事をするくらいだ。どうせ下級貴族だろう。見逃してくれたら良いようにしよう。良い職にも推薦しよう」


 確かこの大臣は伯爵家だったかな?


 「残念、私の方が上だね」


 「なら証拠を見せてみろ!」


 「家の名前はイーザント・・・公爵家だよ」


 イーザント家は表向きは普通の公爵家と変わらないが裏では王族の命令で暗躍もするちょっと変わった家だ。


 ちなみに上から位が高いのはもちろん一番上は王族で次が公爵、侯爵、伯爵の順番で公爵と侯爵は大体上級貴族になっている。伯爵は一割りないくらいが上級貴族で残りが中級貴族となっている。そのあとは子爵と男爵でほとんどが下級貴族だ。


 「証拠っていうのはこれでいい?」


 服の内側にかけていたネックレスを見せる。そこには家の紋章が書いてある。


 「・・・そっちの小さいのはどうなんだ?」


 カリアは位の高い貴族ではない。なんと答えるんだろうか?


 「僕は今これ以上なんてない職についてるからあなたのには乗らないよ」


 「・・・」


 「だから、返して」


 「王族の命令だという証拠は」


 「これで良いかな?」


 ちゃんと王の印が押された書類を見せる。まあ、この印はレオンが押したものだけれど・・・それはいつものことだし陛下がそうするように言ったから問題ない。


 「・・・もし断れば・・・この家はすぐになくなるだろうね」


 「最近うちの王子がドラゴンと仲が良くて・・・そのドラゴンがご飯が少ないって文句言ってるから・・・」


 大臣の顔がさっきの笑顔から絶望の表情に変わる。


 「わかった。すぐに用意しよう」


 「あと・・・私たちのことももし、噂にしたら・・・どうなるかわかってるよね?」


 「そのドラゴンって炎を吹けるんだ・・」


 「絶対に誰にも言わない! だからどうか・・・」


 「それを聞いてくれるならこっちは何しない。まあ、これからの行動は監視させてもらうけどね」


 そんな暇はないからしばらくは放っておくつもりだがこう言っておけばなにも行動はしないだろう。


 「わかった」


 「それで、横領したお金はどこ?」


 「今すぐ持ってくる。だからそこで・・・」


 「案内してもらおうか」


 可能性は低いが逃げられるかもしれない。


 「・・こっちだ」


 ゆっくりと本棚の方に歩いていきその本棚の分厚い本を数冊抜くと奥に何かの模様が現れて・・


 「これは?」


 「こんなの初めてみた」


 「これは隠し部屋への入り口だ」


 その模様が描かれているところを押すと・・・


 「おー、動いたね」


 「すごい」


 こんな大きな本棚なのに模様を押しただけで動く。


 メルシアがいたらとても喜んだだろう。メルシアはこういうのが結構好きだ。


 本棚はギーと重い音を立てながら動いて横にずれてその奥から空間が現れた。


 「・・ここに全て隠していました」


 金貨や銀貨のすごい山だどれだけ横領していたのか・・・


 「じゃあ全部回収させてもらうね」


 「待ってください。ここにはちゃんとした財産も一部隠してあって・・・」


 「・・・勝手に横領したのに返してそれで終わりなの?」


 「・・・どうぞ持っていってください。その代わりに・・・」


 「大臣は続けて」


 「これ以上悪いことをしないなら」


 ちゃんと釘を刺しておく。


 「わかりました」


 「もし、もう一度こんなことをやったらその時はどうする?」


 「その時はどんな刑でも受け入れます」


 「よろしい」


 そのあと二人で袋に金貨や銀貨をせっせと詰めた。







 「ただいまー」


 城のレオンの部屋に帰ってきた。


 「もう遅いし寝てるよね。静かに行かないと」


 さっき侵入したように音を立てず奥の部屋まで行くと・・・


 「あ、おかえり」


 「起きてたの!」


 「思ったより早かったな」


 こんな時間なのにまだ書類と睨めっこしている。


 「早く寝たほうがいいよ。身長止まっていいの?」


 「それは嫌だけど・・まだすることが残ってたんだ」


 他のみんなはもういない。きっと部屋で寝ているんだろう。


 「そんなにあったよ」


 「おー! これだけあれば足りそうだな」


 「多すぎて運ぶの重かった」


 「ありがとう。もう休んでいいよ。あとは俺がしとくから」


 「いや、これを奥に運ぶくらいするよ」


 「・・・助かる」


 レオンも流石に疲れが顔に出ている。


 「あ、二人も何かおかしいことがないか確認してくれ」


 「何かあったの?」


 「それが・・・誰の部屋も何かの置いてた場所が違うところになってたり、開けたはずのない扉が開いてたり、ものが無くなってたりしてるから」


 「え・・それってあの・・・幽霊の話と関係あったり?」


 「・・わからない」


 「そ、そっか・・」


 こんなの怖くないと自分に言い聞かせる。


 「リモレ? どうしたの?」


 「カリア、絶対そばから離れないでよ!」


 「怖いの?」


 カリアがからかうように言ってくる。


 「怖くないし・・・」


 その夜はどこからか視線を感じるような気がしてなかなか眠れなかった。


 


 


 

読んで頂きありがとうございます。

今回はリモレ視点でした。今回の暗躍は暗躍という暗躍ではなかったけれどこういうシーンは今まで書いたことがなかったので書くのが楽しかったです。

ちゃんと面白くなっていれば良いのですが・・・・

「もうちょっとこうした方が・・・・」や「ここが面白い、良い」などの感想がありましたら感想をいただけたら嬉しいです。参考にしてもっと面白くなるようにしていきたいと思います。

次話も読んでいただけると嬉しいです。

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