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二話 契約


 「来たのですね」


 「来れればくると言っただろう」


 食事の後これからこうしようか? どうしようか? と考えているとレオンがいつの間にか立ってい

た。

 

 さっきと服が変わっている。着替えてきたのかな?


 「で、何を聞きたい?」


 「まず通貨を! どんな単位ですか? どんな種類がありますか? 金貨・銀貨・銅貨って感じです

か?」


 「・・・・うん、一つずつ説明するから。一回落ち着いて」


 「で、どうなのですか? あ、他のことからでもいいですね。えっと・・・」


 「全く聞いてないな。・・・・通貨はファル硬貨」


 ということは日本で言う円がファルなのかな?


 「はい! 種類は?」


 「小銅貨が1ファル。中銅貨が10ファル。大銅貨が100ファル。その後に小銀貨、中銀貨、大銀

貨と続いて」


 「なるほど。金銀銅貨それぞれ大中小とあって10倍の価値になっていく。ということですか」


 「そう」


 一番高い大金貨は1000万ファルということか。普通に暮らしていれば使うことはないだろう。次

は何を聞こうか? 


 「この近くの街はどれくらいの規模ですか?」


 「王都だからこの国では一番大きい」


 「王都ですか。ちょうどいいですね。あ・・・この国成人はいくつですか?」


 「15歳だ」


 よかった。成人していれば店を開くことはできるだろう。


 「後は・・・」


 「あのさ・・・いくつ?」


 「15歳ですよ」


 「同い年か」


 まずいるのは衣食住だろう。食べ物はこの辺りで採れたとしてもあとはお金が必要だ。


 「いい働くところありませんか?」


 「・・・そういうことはあまり知らなくて・・」


 「そうですか。街には貴族向けの店が多いですか? 市民向けの店が多いですか?」


 「どちらもあるが・・市民向けの方が多いと思う」


 なら探せば働かせてくれる店もあるかな?


 「日用品とそうでないものどちらがいいですかね?」


 「なんの話だ?」


 「売るものです。食べ物でもいいかもしれません」


 どんどん想像が膨らんでいく。きっとこちらには無い料理があるだろう。それを売り出せばきっと・・・


 「商売って許可がいりますか?」


 許可がいるなら出身とか身分証明がいるだろう。そうなると困る。


 「おい、なんでそんなにお金の話ばかりする?」


 「そういう趣味だからです」


 あ・・・でも言い方が悪かったかもしれない。別にお金が好きなわけでは無いのだから。


 ただ私は・・・


 「あの・・この国はどういう国ですか?」


 「平和で穏やか。他の国との交流は無い。災害もあまり起きない。食料もたくさんある」


 絵に描いたようないい国だ。そんな国存在するだろうか?


 「身分であれこれないのですか?」


 「今は王族が完全に実権を握っている。何か起きても王族と貴族の間でだけだろう」


 「そうですか」


 レオンは一体・・・まあいいか。


 「魔物というのは動物とは違うのですか?」


 「動物の・・・強い感じに進化した生き物だ。自然に一定の数ずつ生まれるらしい」


 「どんな生物ですか?」


 「一番強いのはドラゴンとか」


 「ドラゴンがいるのですか?」


 ドラゴンなんて物語の中だけの話だと思っていた。


 思っていたより面白い世界かもしれない。


 「魔法はありますか?」


 「この国にはない」


 「ある国もあるってことですよね?」


 「あぁ」


 見てみたい! どんなものなんだろう? 昔ながらのほうきに乗った感じだろうか?


 「魔物とか魔法には興味あるんだな」


 「私のいたところではそんなもの物語の中だけでの話でしたから」


 「どこから来たんだ?」


 「日本だと言いましたよね」


 「そうじゃない。世界中・・・日本なんて国はない」

 

「こっちだってフライスト王国も魔物や魔法がある国なんか世界にどこにもありませんでした」


 ならここは・・・・


 「異世界というやつですかね」


 「異世界?」


 「日本には主人公が異世界に行く物語がたくさんありました」


 「こっちにもあるよ。とても古い物語の中だけだけど」


 「そうですか」


 よかった。違う世界ならあの人達でも私を見つけられない。


 「アスカは何者なんだ?」


 「そちらこそ何者ですか? レオンさん」


 「話してくれれば答える」


 「いいですよ。交代で質問して答えていきましょう」


 別に知らなくてもいいことなのに興味を持ってしまった。


 「名字は?家は?貴族か?」


 「どうしてそう思うのですか?」


 「服と仕草、話し方」


 服は制服だがかなり綺麗な形でリボンとレースまである。そのせいかな?


 「名字は樺月かげつ・・・樺月 明日花あすかといいます。家は商家なのです。世界でも大きい商家だったと思います。話し方や仕草はちゃんとするように教えられて

います。服は・・学校のものです」


 入学しようとしていたのはお金持ちの家の子達が集まるお嬢様学校とか言われるものだった。


 「次、アスカだ」


 「あなたこそ貴族ですか?」


 「・・・・そうだと言ったらどうする?」


 「納得します。ずっとそうかなと思っていたので」


 「思っていてこの接し方か?」


 「あなたはうんざりしませんか? 家を見て周りが色々・・・子供相手にぺこぺこしたり、急に態度を変えたり」


 周りは私ではなく家を見ている。家しか見ていない。


 「言ってもこのまま接してくれるか?」


 「はい」


 「俺はレオン・フライスト。フライスト王国の第三王子。平民に見えるようにしていたんだが」


 「雰囲気とか言葉使い、動きでしょうか?」


 いい家の人だろうとは思っていたけどまさか王子様とは。でも・・なら何であんなことを?


 「どうして狩りなどしていたのですか? そんなことしなくてもいいでしょう」


 「うちは本当は貧乏王国なんだ。でも母はもちろんあの父も兄達までそんなことわかってなくて贅沢とまでは行かないけどそんな生活をしている」


 「苦労しているのですね」


 「だからできることはしようと・・・。あの鳥は美味しいけど高いんだ。あの人達はわかってないか

ら毎日それがいいと言っている」


 「多くないですか?」


 「二羽料理してもらって残りは売って他のことに当てている。でもこのままだと近い将来・・・国が回らなくなる」


 王子様にしては頑張っているとは思うが・・・・


 「もっといい方法があります! 財政難なのでしょう? なら人を減らしてはいかがですか? 税を

色々変えてみるとか」


 「大臣達が王にバレないように頑張ってくれている」


 あれはどうだろうとたくさん思いつく。楽しい。こういうのは規模が大きいほどやりがいがあるし面

白い。


 「レオン。契約しませんか?」


 つい呼び捨てしてしまったのは勢いだ。


 「?」


 「私が王国を立て直しましょう! かわりにあなたからは衣食住をください」


 「?・・・どういうこと?」


 「そのままの意味です。私そういうの得意なんです。使えないと思えば追い出して構いません」


 「というか・・・衣食住だけでいいのか?」


 確かに対価にしては安いが・・・


 「あなたは森で迷っていた私を見つけてくれました。ここに連れてきてくれました。右も左もわから

ない私に色々教えてくれました。あなたに私は借りがたくさんあります。・・・足りない対価は借りか

ら返します」


 「でも・・・」


 「借りは作りたくないのです。それに・・・・私はこういうことしかできないので、他に道がありま

せん。本当は料理とか・・・したことがないので働くところが無いかもしれないのです」


 「変わってるな。アスカ」


 「あなたも十分変わってますよ」


 この選択はどんな道に繋がっているんだろう。


 「レオン・フライスト様、契約していただけますか?」


 「アスカ・カヅキ様、いいでしょう。お受けしましょう」


 そして握手を交わした。

 

 

 

読んでいただきありがとうございます。

物語はここから始まります。次話から異世界革命?が始まる予定です。

次話も読んでいただけると嬉しいです。

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