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主人公が鈍感(←理由あり)過ぎて、全然進展しないじゃないか!  作者: true177
第九章 夏祭り編 (Summer festival)

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093 なんでそこに・・・・・・

 いつも思うが、夏というものはこれほどまでに暑いものなのか。ギンギンに照る太陽の下、亮平はノロノロと歩いていた。


 亮平が今歩いているところは住宅街なので、日光を遮る障害物があるにはある。だが、太陽の位置が悪く、ちょうど住宅が建っていない道路の部分に日光が降り注ぐ形になっていた。日陰もあまりない。


 梅雨は明けない年もあるが、今年は八月に入ってすぐ梅雨は明けた。ずっと降っていてくれれば、と思ったことも一度ではない。


 横岳の家まではもうすぐなので、流石に歩くスピードを速める。よく見ると、横岳の家の前に誰かがタムロしている。距離が遠いので、シルエットしか分からない。


 (訪問販売のセールスマンにしては背が低いし・・・・・・。それに、どこかで見たような・・・・・・)


 「亮平君? そこにいるの、亮平君だよね?」


 その言い方と声で、誰なのかが分かった。亮平のことを『亮平君』と呼ぶのは今のところ一人しかいない。 


 「澪!?」


 しかし、なぜ未帆がここにいるのかが分からない。亮平は、澪には作業のことを一切伝えていない。


 「西森さんに教える余裕があるなら、私にも教えられたでしょ! なんで私は呼ばなかったの?」


 「それは・・・・・・」


 (未帆と澪が相性悪そうだから・・・・・・)


 とは、口が裂けても言えない。


 「そもそも、どこから聞いたんだよ、その情報」


 「友達から。西森さんから話された、って」


 どうやら、未帆から情報が漏れたようだ。てっきり自分か横岳から漏れたものだと思っていたので、少し驚く。


 漏れた経路は、澪の話から推測するに、『未帆が友達(誰かは分からない)に射的のことを話す』→『その友達(誰かは分からない)が澪にそのまま伝える』→『澪がそれを信じる』という流れらしい。


 (よりによって澪に漏れるかよ・・・・・・)


 情報を知られてしまった以上、次に澪が何を要求するかは目に見えている。


 「とーにーかーくー。私が入っても、大丈夫だよね。人手が多いほどいいらしいし」


 一昨日と昨日の二日間の作業から、とても人手がいるとは思えないのだが、初日に横岳がそんなことを言っていたのは覚えている。


 澪に押し切られ、亮平は自分についていくことを認めた。


 「でも、条件付きだからな。横岳が『もう人手はいらない』って言ったら、即帰宅だからな」


 「大丈夫だって! わざわざ人を追い返すようなことはしないと思うよ」


 横岳ならやりかねない気がする。だが、可能性自体は低い。


 (大丈夫か・・・・・・?)


 二つの意味で、亮平は不安になった。


 一つ目は、澪が勝手に横岳の家に上がろうとしていること。だが、これに関しては横岳がどう思うか次第なので、亮平はあまり関係ない。


 問題なのは、二つ目。未帆と澪がなにかやらかさないか、だ。


 未帆と澪、この二人が犬猿の仲なのは亮平も分かっている。『混ぜたら危険』の洗剤と同じぐらいの取り扱いをしたいと、痛い目を見る。


 二人をどう対処するか、それが亮平にとっての大きな問題となっていた。


 このまま家の前でボーっとしていても仕方がないので、インターホンを押して横岳に玄関を開けさせた。


 「霧嶋、今日は西森さんが先に来てる・・・・・・、っておい、人手はもう足りてるんだけど」


 横岳が、まるで先ほどまでの会話を聞いていたかのようなことを言った。


 「いいだろ、一人増えるぐらい。人数がいた方が早く作業が終わるし」


 「いや、それが・・・・・・。もうやることが無かったんだよな・・・・・・。詳細なことは前日に言えば済むし、屋台も当日に組み上げるだけだしな」


 「・・・・・・つまり?」


 「帰りたいなら、帰ってもいいってこと。もちろん、家に上がるっていうなら、それでもいいけどな」


 昨日の時点で気付かなかったのだろうか。それは置いておくことにする。


 「家に上がるって、何するの? 射的の作業はもうないんでしょ?」


 「例えばゲームするとか、漫画読むとか・・・・・・」


 初日から亮平たちがしていたことだ。今日は遊びオンリーにするらしい。


 「なら、上がらせてもらっていい?」


 「あ、俺も澪と同じ意見」


 それなら、喜んで家に上がる。


 「入って、入って」


 横岳が、腕で誘導するように前に動かす。それにつられるかのように亮平達は玄関に入った。


 「あ、亮平。今日は結構暑かったね・・・・・・酒井さん!?」


 リビングから出てきた未帆が、亮平の後ろに隠れるような形になっていた澪を発見し、素っ頓狂な声を出した。


 「・・・・・・誰から聞いたの? 亮平から? それとも、横岳君から?」


 まさか、未帆自身が情報が間接的に漏れるもとになっていたとは、未帆は気付かないだろう。


 「情報源をたどっていくと西森さんからなんだけど・・・・・・」


 「私から!?」


 「西森さん、射的の手伝いの話を誰かしらに話したでしょ? そこから私まで情報が回ってきたってわけ」


 「確かに、何人にかは話した記憶があるけど・・・・・・」


 そこから漏れるとは考えてなかった、と言いたげに未帆は、残念そうにしている。


 「そんなに、私来ることが邪魔?」


 「私はそんなこと・・・・・・」 


 (未帆、そこで口が止まるのは肯定しているようなもんだぞ)


 『私はそんなこと思ってない』と言いたかったのだろうが、途中で止まった。本音が出てきてしまっているような気がするのだが、どうだか。


 「まあまあ、お二人さん。とにかく部屋に入って」


 横岳がたまらず仲裁に入る。亮平が仲裁しようとすると余計に悪化しそうなので、亮平自身はあまり仲裁したくない。


 無関係の他人を巻き込むわけにもいかないと見たのか、とりあえず二人の口喧嘩しそうな会話は収まった。


 (でも、大丈夫か、この二人。一緒に居させると、ロクな目に自分が会わないような気がするんですが?)


 今日は大丈夫、と無理やり自分を抑え込んで、未帆と澪の二人の後に続いてリビングに行く亮平であった。

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