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主人公が鈍感(←理由あり)過ぎて、全然進展しないじゃないか!  作者: true177
第九章 夏祭り編 (Summer festival)

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087 誘い

 夏休み、それは色々なイベントが待っている時期でもあるし、三年にとっては受検勉強の真っ最中でもある時期だ。昼間に照り付ける太陽は焼けるように暑く、連日熱中症で病院に搬送されたというニュースがテレビで流れている。


 そんなある八月の朝。亮平は、いつものように自宅でゴロゴロしていた。勉強する時間は午後からと決めてあるので、午前中は手が空く。


 「ピロピロピロ」


 家の携帯が着信音を鳴らしたのは、そんなときだった。電話をかけてくるにしては珍しい、朝の九時半ごろだ。この時間には平日、亮平一人しかいない。亮平の両親は共働きなので、八時過ぎには家を出て行ってしまうのだ。なので、両親の知り合いなら、家にはかけてくない。かけてくるとすれば、勧誘の電話か亮平本人に用があるかの二択に絞られる。


 「もしもし、霧嶋です」


 「もしもーし」


 電話越しの声でも誰がかけてきたのかははっきりと分かった。亮平が幼い時から聞いてきた声だ。


 「未帆か。どうかした?」


 「どうしたもこうしたもないよ!お盆が終わった後ぐらいに、学校で夏祭りがあるんでしょ?」


 未帆には伝えていなかったが、確かに盆休みが終わったすぐ後の土日に、学校で夏祭りが開催される。毎年行われるので、亮平はてっきり未帆もこのことを知っていると思っていたのだ。幼少のころしかこの周辺に住んでいなかった未帆としては、記憶から抜け落ちているのも仕方ない。


 「うん。ごめん、伝えるの忘れてた。でも、一学期が終わるぐらいに、夏祭りに関する手紙が配られてたと思うけど・・・・・・」


 「そうなの?手紙はとにかく全部読まずにしまっちゃうからなぁー」


 この様子だと、お知らせの手紙は未帆の手元には残っていなさそうだ。100円割引券が二枚下側についていたことについては、隠しておくことにする。


 「で、その夏祭りの日、日程空いてる?もし空いてたら、一緒に行こう」


 「ごめん、空いてない。店番やらなくちゃいけなくて・・・・・・」


 「そっかー・・・・・・」


 今から一週間ほど前、亮平は横岳から『ヒマになるから射的の店番を一日だけでも一緒にやってくれないか』と頼まれ、夏祭り一日目の土曜日に店番をする約束を交わしていた。まさか約束不履行するわけにもいかない。


 「でも、二日目の日曜日は空いてるから大丈夫、たぶん」


 たぶんを付け足したのは、今後横岳みたいなことを依頼されるかもしれないからだ。絶対に今後何もないなどという保証は、どこにもない。


 「二日目!?」


 「・・・・・・あ、知らなかった?」


 話を聞く限り、曖昧に情報が伝わっている可能性が高そうだ。主要なイベントが二日目に固まっていることも伝わっているかどうか怪しい。「大部分のメインイベントは二日目に集中してるから、大丈夫。屋台の数は変わらないし。変わることといえば、やっぱり人が増えることぐらいかな」


 「ふーん」


 やはり、伝わっていなかった。


 「でも、やっぱり一日目が暇になっちゃう・・・・・・。あ、そうだ!亮平、その射的のやつ、せっかくだから手伝わせて!」


 何がせっかくなのかは分からない。


 「・・・・・・店番以外にも色々と頼まれてるけど、それも全部来てもらう感じでいい?」


 「もちろん。今年は、お盆に予定が全く入ってないから」


 (それは悲しいなぁー)


 無論、引き受けているという時点で亮平も未帆と同じく、お盆に旅行などの予定が一切入っていない。人のことをあれこれ言える立場ではない。


 「宿題、大丈夫?」


 「もう終わらせたから大丈夫。それより、亮平の方こそかなりたまってるんじゃないの?誰ですか、一週間前にあったときに『一割ぐらいしか手を付けられてない』ってしきりに嘆いてた人は」


 (後で絶対に終わらすから、別に今終わってなくても・・・・・・)


 危うく声に出すところだったが、そんなことを言っても余計に追及されるだけだ。油に火を注ぐようなものだ。


 「えーっと、明日の一時過ぎに横岳の家の前集合だから、予定があったら今伝えてくれると嬉しいんだけど」


 「特にないから大丈夫だよ。うん」


 横岳の家自体に何回か未帆と一緒に行ったことがあるので、そこらへんは大丈夫だ。


 「明日の一時過ぎ了解。じゃ、切るねー」


 「ほーい」


 『プツッ』


 ツーツーツーという連続音が鳴り、通話が切れた。


 準備や店番の人数が増えることに関しては、大丈夫だろう。準備は人の手が増えるほど早く終わるし、店番も多くいて困ることはない。給料が出るわけでもないのだから、むしろ大歓迎といったところだろう。


(それじゃ、こっちもやることをやりますか)


 亮平は、リビングにある机へと向かい、座った。そして、未だ手つかずになっているものが多い宿題の山の一番上に手をかけた。きっと夏休みが終わるまでには片付く、今の亮平の頭の中の思考はそんな感じだった。

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