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主人公が鈍感(←理由あり)過ぎて、全然進展しないじゃないか!  作者: true177
第七章 修学旅行編(School Excursion)

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081 好転

遅くなってすみませんでした!(弁解:麻雀のし過ぎとYOUTUBEの見過ぎです。)

「おい、起きろー!」


 亮平は、小声でそう呼びながら横岳を揺さぶった。本当は大声で叫びたいのだが、男達を起こしてしまわないようにするには、これも致し方ない。


 起こすのが遅くなるほど、ほんの少しずつではあるが男達が起きる可能性が増える。あまりゆっくりとはしていられない。


 亮平は、横岳の状態を確認する。横岳も、手首と足首を布のようなもので縛られていた。この様子だと、全員が縛られているに違いない。最も、一番厳重に縛られているはずの亮平ですら動けるのだから、他の人も動ける程度にはなっているのだろうが。


 「・・・・・・んん?」


 横岳がわずかながら反応を示した。横岳の目が少しだけ開く。気絶していたのか単に寝ていたのかは分からない。状況が読めずに大声を出されては困るので、慎重にいかなければいけない。


 「あれ、気絶してたのか・・・・・・」


 『失神していた』と言っているのだ。亮平と同じように気絶させられた説が濃厚だろう。あくびを全くしていないこともその証拠だ。


 「横岳、いきなりで悪いが、俺が意識無くなったあとのこと、分かるか?」


 亮平は、意識を失ってからどうなったのか、どうしても情報を得たいと思った。全員が今どのような状態に置かされているのかを確認するためだ。仮に、だれか一人が別の場所に連れていかれたといった状況だったら、探しだす人数を一人減らすことになる。その『誰か』には非情だが、まず誘拐の事実を誰かが伝えないと、そもそも発見すらされなくなる可能性が高いのだから仕方ない。


 「今、どんな状況になってる?」


 疑問に疑問で返された。横岳としても、今自分がおかれている状況を知りたくなるのは当然だろう。仮に亮平が横岳だったとしても、同じことを言っただろう。


 「多分深夜で、ここはどこかの小屋の中。周りが静かだから、少なくとも市街地の近くじゃないと思う。で、俺もお前も、手首が縛られてる」

 「やっぱり、拘束されてたか・・・・・・。霧嶋、おまえが気絶したすぐあとに俺と麻生も殴られたから、女子陣と麻生がどこにいるのかは分からない。すまん」


 横岳から出た言葉は、最悪の状況に近いということを示していた。未帆、片桐さん、荻原さんの女子三人が違う場所に連れていかれているかどうかが分からないからだ。体が鉛のように重くなる。


 「俺がちゃんとしていれば・・・・・・」


 亮平の心に、今更ながら自責の念が浮かび上がる。もし、人気のある道を選んでいれば。もし、教師の話をよく聞いていたら。もし、いち早く男達に気づいていたら・・・・・・。いちいち数えていては、きりがない。


 「・・・・・・霧嶋、お前だけのせいじゃないだろ。それに、本当に事件に巻き込まれるなんてきっと誰も考えていなかっただろうし」

 「でもな・・・・・・」

 「とにかく、今落ち込んでても仕方がないだろ。自分を責めるなら、事が全て終わってからにしろよ」


 亮平は、しばらく考えてから気持ちを立て直した。


 (・・・・・・そうだな)


 今落ち込んでいても何も変わらない。自分の行為を嘆くなら、終わってからだ。横岳の言っていることは正しい。悲観的になっても何も変わらない。


 「そういえば、この縛り方、どっかで見たことあるようなないような・・・・・・」

 「どういうことだよ」


 布で縛ってある手首は、かなりきつく縛ってあるように見える。とてもほどけそうにはみえない。逆に、さらにきつく縛られてしまうかが心配になる。


 「確かキャンプとかで・・・・・・。あ、そうだ、本結び、本結びだ!霧嶋、この結び方、結構簡単にほどけるぞ!」

 「本当か?」


 本結び。どこかで聞いたことがあるような言葉だ。簡単にほどける、ということは亮平は知らなかったが。


 (手首さえほどければ、ずいぶんと楽になるな)


 亮平は、『もう少し小さい声で言ってほしかったけどな』と、心の中で付け足した


 「ほら、こうやって、次はここをこうやって・・・・・・」


 横岳が、亮平の手首を縛っている布を手順に引っ張ると、さっきまできつく縛られていたのが嘘のように、みるみるうちに手首の圧迫感が消えていった。さっきまで縛っていた布が、解放されたかのように下へひらりと落ちていく。


 「俺のもほどいてくれよー、ほどき方は当然教えるから」

 「放っておくわけないだろ、まったく」


 どの神経なら、放っておこうとするのだろうか。横岳も、まさか俺が放っていこうとしようとはしないことを分かってはいるだろうから、100%冗談だろう。亮平なら、絶対にこの状況では出てこない。


 亮平は、横岳の指示通りに布を順に引っ張った。先ほどと同じように布が取れる。


 「足首はっと、・・・・・・。こっちも本結びだから、大丈夫そうだな」


 そういうと横岳は、早速足首の布もほどいていった。慣れているのだろうか、手の動きが速い。亮平も、さっき横岳に指示されたように布を引っ張る。簡単にほどけた。


 とにかく、これで逃げるのがずっと簡単になった。二人掛かりで小屋内を捜索すれば、どこかに連れていかれていない限り、必ず未帆達は見つかる。そうすれば、あとは気づかれずに逃げるだけだ。


 体が自由になったところで、亮平にある疑問が浮かんだ。


 「ところで、本結びって?」


 男達が、わざわざ簡単にほどける結び方で拘束したとは思えない。


 「キャンプとかで木を結ぶときに使う結び方。結構きつく結べるけど、ほどくのも簡単だからよく使われるぞ」

 「なんで、そんな結び方を使ったんだろうな」

 「さあな。でも、ラッキーだったな」


 男達の中で、本結びの特性を知っている奴がいたら、間違いなく今の状況はない。ほどきやすい結び方にしてくれたことについては、感謝するしかない。


 「でも、気を抜くなよ。まだ逃げ出せたわけじゃないんだから」

 「分かってるっつーの」


 まだ緊迫した状況には変わりはない。依然として小屋の中にいるし、全員の解放もできていない。だが、状況が少し好転したのも事実だ。会話にも余裕が生まれるようになってきた。男達は当然まだ寝ている。一人だけヘッドホンを付けたまま寝ている男もいるが、まさか音楽が流れているわけでもないだろうから、当面は安全だろう。


 横岳は、普段は結構ふざけている印象があるが、冷静になる時は冷えた鉄のように冷静だ。とことん頼りになる。パニックを起こすようなことはないだろう。いや、むしろパニックを起こすとすれば亮平の方だ。


 未帆達女子三人と麻生は、今亮平と横岳がいる部屋には姿を確認できない。亮平は、小屋の隣の部屋へと続く扉に手を掛けた。


 (この小屋の中にいますように)


 一筋の光に希望を見出しながら、亮平は隣の部屋へと一歩踏み出した。

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