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主人公が鈍感(←理由あり)過ぎて、全然進展しないじゃないか!  作者: true177
第七章 修学旅行編(School Excursion)

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078 異変

友佳視点です。

 公園に集合する時間をすでに15分過ぎた。まだ、亮平と未帆達の班は公園に姿を現していない。


 「流石に、おかしくないか?」


 そんな声が周りからちらほら聞こえてくる。音信不通の状態のままでは、そういった意見が出るのも当然だろう。


 実際、友佳も、おかしいとは思っている。もし遅れているのだとしても、15分も遅れるような心当たりは友佳にはないからだ。道に迷ったとしても、遅すぎる。


 教師たちは、さっきから慌ただしく動いている。顔からは、かなり焦っていることが見て取れる。


 ――――――つまり、亮平と未帆達がどこにいるかは、誰にも分っていないということだ――――――


 ひたすら待つことに耐えきれなくなったのか、一人の男子が、教師にいちゃもんをつける。


 「いつになったら来るんですか、最後の一班?」


 その質問された教師は、顔を少し曇らせた。


 「それがなぁ、どこにいるか分からないんだよ。今、いろいろな施設に電話をしてるんだけどな・・・・・・」

 「じゃあ、どっかほっつき歩いているんじゃないいんですか?」

 「そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない」


 一通り言い終わったらしいその教師は、また忙しそうに駆け足で公園を出て行った。


 友佳は、ふと出発前に言われたことを思い出す。


 『・・・・・・最近、ここら辺で誘拐事件があったらしいから、極力人気のない道は通らないようにな、念のため』


 一瞬、誘拐の可能性を考えて、すぐに候補から抹消する。


 (まさか、ね・・・・・・)


 可能性はゼロとは言い切れない。しかし、その可能性を追求するよりは、遥かに遅れている可能性の方が高い。天と地ほどの差がある。


 しかし、一度考えてしまったものは、簡単には頭からは離れない。靴に付いたガムのように、思考にへばりつく。


 加えて、一向に来る気配のない亮平達、ずっと慌ただしく動いている教師達、伝えられる情報。少しずつ、でも確実に犯罪に巻き込まれたという可能性は上がっていく。


 そして、10分ほど経ったころ。


 「えー、霧嶋の班がまだ帰ってきていない。施設の方々や地域の方に聞き込みもしたが、霧嶋達を見たという目撃情報は一つも得られなかった。君らには、いったんホテルに戻ってもらう」


 この情報は、『犯罪に巻き込まれた』という可能性を急激に上げるには、十分すぎるほどのものだった。たちまち、周りがざわめき始める。


 「どこにもいないって・・・・・・」

 「反対方向に行っちゃった、とか・・・・・・」


 そして、パンドラの箱を開ける質問が飛んだ。


 「先生、もしかして誘拐、とかですか?」


 質問した本人にとっては、本気3%、冗談97%ぐらいだっただろう。


 「・・・・・・その可能性も十分ある」


 しかし、返って来た答えは、あまりに重く、そしてあまりに苦しいものだった。


 ざわめいていたのが嘘かのように、沈黙が流れる。


 (・・・・・・っ)


 友佳には、ただ亮平や未帆達が犯罪に巻きまれていないこと、そして無事な事を祈ることしかできなかった。

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