007 再会は突然に⑦
未帆視点
「ええ!?」
未帆は驚いていた。
理由は、帰り道が途中から分かれる亮平と別れた直後にさかのぼる。
「未帆、さっきの事なんだけど。」
友佳が申し訳なさそうに言ってきた。
「さっきの事がどうしたの?」
「実は・・・」
友佳が訳を話し始めた。
酒井さんは、特に亮平の周りに関してはとことん追及するらしい。どうやら、酒井さんは亮平の事が好きで、亮平も酒井さんの事が好きらしい。未帆が「じゃあ、友佳も私みたいに追及されたの?」と聞くと、友佳は酒井さんと仲が良くなっていた事もあり、特に何も言われなかったらしい。そして、肝心の「なぜ酒井さんがおとなしく引き下がったのか」について。それは
友佳がアイコンタクトで瞬時に「亮平はそんなこととは思ってない」と伝えたらしい。
(ああ、あの沈黙の間は、そういうことだったのか)
未帆はその説明に納得した。が、ある一つのことに気付く。
(友佳はたしか、アイコンタクトで酒井さんに「亮平は」そんなこととは思っていないって言ったんだっけ。でも、それだと私には気があるような伝え方じゃ・・・)
「そう。だって、私も未帆の気持ちはわあからないもん。だから、どちらとも取れる伝え方をしたの。」
(それじゃ、酒井さんが私に追及しに来るかもしれないじゃない。もしそうなったら、答えられない...)
「ま、大丈夫。未帆に気がないなら、きちんと「ない」って言えば済むだけの話でしょ。それとも?」
「・・・」
未帆は答えない。いや、答えられない。
「未帆ー。黙るって事は、肯定してるのと一緒だよー。」
それでも未帆は黙っていた。何を好きになったのかは未帆自身も分からない。しかし、亮平の「何か」を好きになってしまっていることは事実。それが外見なのか、性格なのか・・・。
(とにかく答えたくない!)
「ははーん。そうか、なるほど。」
友佳に感づかれたらしい。
「何が「なるほど」なのよ!友佳!」
「今の声だって、かなり興奮してたじゃん。顔も赤いし。耳の先まで赤くなってるよ。」
言い返せない。すべて見通されている。
そして、あいにく今日は涼しい。
(せめて、今日が夏の暑い日だったらごまかせるのに!)
「早くしないと、酒井さんがきちゃうかもよ?」
「ああああああー。友佳、私もう走って帰るね。バイバイ」
「酒井さんにばったり会わないようにねー。」
未帆は友佳の返答を待つことなく、家に向かって走り出した。体がまだ、熱かった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
友佳視点
友佳は未帆と別れた後、こうつぶやいた。
「しっかし、大変な事になっちゃったなあー。まさか、未帆が亮平を好きになっていたないいて。」
少し考えて、またつぶやく。
「でも、未帆は亮平のどこを好きになったんだろう。」
最後の友佳視点は、友佳視点だけでは話がそっけなくなってしまうので、強引に入れました。(視点が話の中で変わってしまってすみません)