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主人公が鈍感(←理由あり)過ぎて、全然進展しないじゃないか!  作者: true177
第七章 修学旅行編(School Excursion)

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076 暗闇の中で③

かなり間が空いてしまいました。

「霧嶋、ちょっとこっち来い」

 「なんだよ」


 横岳が亮平を、周りにギリギリ聞こえない程度の声で呼んだ。


 「ちょっと耳貸せ・・・・・・換気扇、回ってなかったんだろ?」

 「いや、回ってた」

 「まあ、どっちでもいいけどよ」


 どっちでもいいとは、どういうことなのだろう。

 それにしても、換気扇が回っていないことをなぜ分かるのか、という方が不思議なのだが。普通なら、『換気扇は回っていたか?』と聞くところだろう。


 「さっきは悪かった。換気の事を持ち出したばっかりに、みんながパニックになって」


 次に飛んできたのは、謝罪の言葉。別に、今謝られても終わったことは仕方ない。

 しかし、この謝罪の言葉は、一つの事を意味していた。

 『横岳はパニックには陥っていない』と。


 「やらかした事は自分で落とし前つけるから、霧嶋、お前は対策でも考えとけ」


 上から目線ともとれる言い方だったが、横岳なりの自己解決の方法なのだろう。そのまま横岳は、麻生と女子陣の方へと向かった。


 横岳は冷静に動ける状態にある。横岳は、冷静になると本当に行動が早くなる。希望が少しは出てきた。


 それに、もともとこの状態を作り出したのは亮平だと言ってもいい。人通りが少ない道を選んで、自分だけではなく班員全員にも危険な目に遭わせているのだから。仮にこれが戦争だとしたら、大戦犯確定だ。


 残念だが、亮平に人を説得する能力はあまりない。ここは横岳を信じて、自分は作戦を考えることにした。とはいっても、既にある程度は固まってはいたが。


 基本的に、数で勝てるとは思っていない。中学生6人と大人の男6人では、大人の男6人が勝つにきまっている。なので、作戦のメインは『どう逃げるか』に絞られる。


 逃げるといっても、正面から突っ切るのは不可能に等しい。それでは数でぶつかるのと変わらない。


 相手も人である以上、必ず隙はできるはずだ。油断して、監視の人数が少なくなることもあるかもしれない。だから、その生まれたわずかな隙を突く。


 まず、どこかで監視が二人以下になった時がねらい目だ。なかなかその状況にならないかもしれない。男達全員に監視されたままになるかもしれない。その時はその時だ。


 二人以下になったら、亮平がまず一人を倒す。倒せなかったら、それまでだ。


 次に、残りの一人を全員で総攻撃する。さすがに全員で攻撃したら倒せるとは思う。監視を全員倒せたら、あとはひたすら、ただひたすらに逃げる。道路標識を当てにして、逃げるだけだ。


 我ながらめちゃくちゃな作戦だ、と亮平も思ってはいる。しかし、それぐらいしかもう打開策はないのだ。ここは沖縄。近所の場所ではない。知らないところに連れていかれたら終わりだ。


 「霧嶋、全員なんとか抑えられたから、今の内だぞ」


 後ろを振り向くと、横岳含め班員全員が亮平の前に座っていた。うまく全員を説得できたらしい。亮平が同じ事をやっても、鵜の真似をする烏のごとく、全員を説得するのは無理だっただろう。 


 何が今の内なのかは、考えなくても分かる。このトラックが止まった時が、自由な時間の終わりを意味するのだ。時間が無い。


 (頼むから、きちんと作戦が伝わってくれよ)


 亮平は覚悟を決め、口を開いた。

注:決して現実の沖縄の治安が悪いわけではありません。この物語は、あくまでフィクションです。

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