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主人公が鈍感(←理由あり)過ぎて、全然進展しないじゃないか!  作者: true177
第七章 修学旅行編(School Excursion)

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073 暗闇の中で①

 「と、ところで、どう考えても前の座席に七人も乗らないと思うんだけども」


 横岳から疑問の一言が出る。声はまだ震えていた。


 確かに、人数からして座席に乗れるとは考えずらい。今亮平達が載せられている荷台にいるわけでもないので、何人かはあふれるはずである。


 しかし、それを確かめる手段を亮平達は持ってはいなかった。視界に入ってくるのは漆黒ばかりで、扉とは反対側の方に進んでみるも、冷たい鉄の壁にぶち当たる。扉から外の景色が少しでも見れないかと目を近づけるが、効果なし。雀の涙ほどの光さえも捉えることはできなかった。


 座席に乗っているであろう男は多くても二人。人数が少ない今が逃げる大きなチャンスなだけに、身動きが取れないのはかなり痛い。下手をすると致命傷になるぐらいの痛手だ。


 これ以上考えても、脱出できそうにはない。亮平は思考を、トラックから降りた後の事に切り替えた。


 もし人数が二人だけなら、カッターナイフを持っているとはいえ物量で押し切れる。ケガをすることを考慮しなければ、脱出するのは容易いだろう。


 しかし、今トラックに乗っていない男達があらかじめ待ち伏せしていたとしたら事情は変わってくる。基本1対1では、大人の方が圧倒的有利だ。何か作戦を立てなければ本当に相手のなすがままになってしまう。最悪、バラされる。


 バラされるかどうかは運にしても、作戦だけは不発でも立てておかなければならない。


 幸い、男達は何かに怯えているような様子になっている。声は全員が震えていすり、カッターナイフを取り出した男も腕が震えていた。


 (もしかしたら、今回が初犯の可能性がある)


 初犯なら、隙も生まれやすいだろう。勝手な想像に過ぎないが、もしもそうなら生還の可能性は少しだけ上がる。


 荷台に乗せられてからしばらく経ち、目の暗順応が進んだらしい。ぼんやりとだが、荷台内の様子が分かるようになってきていた。


 未帆、片桐さん、荻原さん、麻生の四人は、体の震えはだいぶ収まっているが、目の焦点が合っていない。おそらく、まだ『誘拐された可能性が高い』ことが信じられないのだろう。


 横岳は、四人に比べるとまだ大丈夫そうだ。真剣な顔で一点を見つめている。 


 せっかく時間があるのに、使わない手はない。ここで時間を浪費するということは、自らの身体を危険に放り込むのと同義だ。


 「みんな、気分は最悪だと思うけど、何かしないと状況は変わらない」

 「・・・・・・」

 「だから、トラックを降りた後にどうするかを・・・・・・」

 「なんで?なんで、霧嶋君はそんなに冷静になれるの?」


 荻原さんの言いたいことも分かる。亮平だって、小学校時代の影の過去がなければ、パニックを起こしていたはずなのだ。過去の出来事に感謝するわけではないが、役に立っていることは事実だ。


 それに、冷静になれるということは、必ずしもメリットになるわけではない。希望的観測を打ち砕くという点においては、なかなか前に人を進められないというデメリットもある。


 「とにかく、今は冷静にならないと。昨日、飛行機酔いで休憩してたじゃん?その時に、遠くの方で男がニヤニヤしていたんだよ」

 「・・・・・・考えただけで気持ち悪い。というか、なんで今まで言わなかったのよ!」 

 「じゃあ逆に聞くけど、俺に言ってほしかった?」

 「言ってほしくは、ない」

 「問題なのは、その男が全身黒の男達の中に入っていることなんだ。このまま何も対策を立てなかったら、どうなると思う?」

 「考えたくない」


 でも、冷静ではないとできないことの方が圧倒的に多い。ひとまずみんなに冷静になってもらうしかない。


 何はともあれ、空気を少し軽くすることぐらいはできたはずだ。亮平も、感覚的にだが体が少しだけ動きやすくなった感がある。


 「手が震えてたでしょ、あの男達。ただ犯罪をしたことのない人たちの可能性もある。だから、どうするかを・・・・・・」


 このまま話を持っていけば、生還への第一歩が踏み出せるところまで来る。亮平は、作戦を立てよう、という話をしようとした、その時。


 「霧嶋、トラックの荷台の中って、換気されてるのか?」


 たった一言、されど一言。横岳本人にとっては、ただ疑問に思ったことを口に出しただけなのかもしれない。しかし、その一言は、荷台内の空気を再びずっしりと重くするのには、十分すぎるほどの一撃だった。

次話は、別視点の話が入る可能性大です。

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