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主人公が鈍感(←理由あり)過ぎて、全然進展しないじゃないか!  作者: true177
第七章 修学旅行編(School Excursion)

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071 近づく影

 「団体のまま行っても、別行動をしてもいいからな。ただし、別行動をするなら集合場所をきちんと決めておくように。それから・・・・・・」


 亮平達三年生は、今注意事項をえんえんと聞かされている。二日目は午後からは予定が決まっているが、午前は自由行動。その行動についての注意だが、はっきり言って当たり前のことばかりだ。朝八時半ぐらいなので、あくびをして眠そうな人もいる。


 亮平達が住んでいるところと違って、沖縄は朝だろうが夜だろうが気温が高い。朝早いからといって、風を感じて涼しい中行動できる・・・・・・わけではない。気温は普通に二十五度を超えている。


 今集団で集まっているところはホテルを出てすぐのところだが、目の前の道はすでに人で混雑している。通勤時間なのだろうか、黒い手提げバッグやリュックサックを持って走っている人が多い。


 (ん?今のは・・・・・・)


 よそ見をしていた亮平は、目の前の道を歩く一人の男に目がいった。男は普段着のような恰好で、ゆっくりと歩いている。


 だが、問題はそこではない。問題は、その男の顔だ。その男の顔は、昨日亮平達をニヤニヤしていた男に酷似していたのだ。 


 もちろん、人違いの可能性はある。だが、近くにいるということだけでいい感じはしない。


 「・・・・・・以上で解散!次の集合場所に遅れるなよ」


 その言葉を合図に、周りの人が一斉にはじけ飛んでいく。事前に相談していたであろう班は、そのまま沖縄の市街へと水を得た魚のように飛び出していった。


 亮平達の班は、特に予定などは立てていないので、ブラブラと沖縄の街を歩く予定だ。特に目的地もなく、ただブラブラ歩く。


 「ところでさあ、沖縄の地名の由来はなんなのか分かる?」

 「俺パス」


 沖縄の地名は、読み方が変な事が多い。北海道も変な地名が多いが、あっちはアイヌの人の言葉が日本語に当てられたということは知っている。


 沖縄も昔は琉球王国だった。その時の呼び方がそのまま当て字になったのでは、と亮平は推測する。沖縄に来るのにそのことを知らないというのはどうかとは思うが。確かに沖縄の地名の由来は気になる。 


 「別行動にしない?せっかくだからさあ」

 「いくらなんでも・・・・・・」


 突拍子過ぎるだろう。そう続けようとして、言葉が止まる。亮平の目線は、未帆達を見透かすようにはるか遠くを見ていた。目にとまったのは、あの昨日の気持ち悪くニタニタしていたであろう男。今日もすでに一回見かけている。そして、いま亮平達が歩いている道は、さっき男が歩いて行ったはずの方向とは逆。つまり、行動が矛盾している。


 「どうしたー?固まってるぞー」

 「なんでもない」

 「霧嶋のなんでもないは何かあるからなぁー」

 「とにかく、別行動はする必要ないから」

 「ほいほい」


 なんとかまとめたものの、後ろの男はまだ少し後ろにぴったりとつけている。顔は、昨日のようにニヤニヤしていた。かなり気持ち悪い。班員にばらしたくないのは、余計な不安を与えたくないからだ。


 後ろを付けてくるほど人間にとって怖いことはない。背中を襲われるほど対処しにくいことはないからだ。しかし、勘違いでも困るので声をかけることもできない。


 幸い、しばらくたった後に後ろをちらっと確認すると、あの男はいなかった。念のためその後もチラチラと後ろを確認したが、ついてくる怪しい奴はいなかった。


 (ふぅ。気のせいだったか)


 亮平は心の中で溜息をついた。寝坊で頭がまああまり回転していなかったのもあったのだろう、男が全く関係ない一般人である可能性は考えても、男が複数人グループである可能性は考えなかった。


 今日は平日。人通りは通勤時間帯を過ぎると、急に少なくなる。そして、空を灰色の雲が覆っている。あたりも暗くなる。どんな街も中央や大きい通りは人通りが少しはあるが、一歩外れると急激に人が少なくなる。住宅街に入ると、ブロック塀が立ち並んでいるというのもザラだ。そして、地理感がないが故に危険な場所も亮平達には分からない。現地の人にはそこらへんはよくわかっている。


 今の亮平が取るべき正しい行動は、直ちに教師に伝えることだった。しかし、亮平は事を軽視していたため、その行動はしなかった。それどころか反対に、誤った方へと足を踏み入れてしまう。


 朝の注意事項。その内容の中に、『人通りの多い場所を必ず通ること』と説明があった。しかし、亮平はそもそも聞く気があまりなかったのと、男に目を取られたことで聞き漏らしていたのだ。『誘拐事件が多発している』ということも。


 「少し外れた場所に行ってみよう?せっかくなんだし」

 「せっかくだから、行こうぜ!普通の街並みもみたいじゃん!」

 「分かったから」


 ・・・・・・この一瞬の油断が、亮平達を大変な事に巻き込むことになろうとは。

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