061 興奮するところが多すぎる
注 グダグダです。
「飛行機だ!やっぱり実物は違うなあ」
未帆の感心した声を聞いて、亮平もそう思った。
バスで十五分ぐらいのところにある、空港。普通は車か電車で移動するので、飛行機を使うことはない。そして大きな建物は亮平達の住んでいる周りにはほとんどないので、空港という大きな建物に興奮している。
亮平は一度飛行機に(往復で)乗ったことがあるので初めての未帆ほどではないが、それでも興奮するものは興奮する。大きい機体、長い翼、大きいエンジン・・・・・・。
「一般のお客さんもいるんだから、十分気を付けるように。迷惑かけるんじゃないぞ」
担任から念押しされる。バスとは違い、飛行機は普通の便に乗る。
しばらくして搭乗の列の先頭が機内へと入り始めた。列に並んでいるのは、半分ぐらいが東成中の生徒だ。
「広!」
機内に入るや否や、未帆が歓声を上げた。
(いやいや、外から見ただけで分かるでしょ、普通)
亮平はそう思いつつも、未帆があまりにも一つ一つの事にいちいち驚いたり感心したりするので、何も言わないことにした。
「b-11、b-11は、と」
座席は基本は班で固まるようになっている。席は三席並ぶような構造になっているため、三人が並ぶことになる。窓際のa-11が未帆、中央のb-11が亮平、通路側のc-11が荻原さんだ。後ろの入口から乗ったので、少し遠くなっている。
「当機は、那覇行きです。当機は、那覇行きです」
飛行機のアナウンスが流れる。すでに亮平を含めたこの飛行機に搭乗している人は全員着席している。未帆が興奮しているのは放っておく。
アナウンスが何回か流れた後、窓の外の景色が動き始めた。飛行機が動き始めたのだろう。
「これって、飛ぶの?飛ぶの?」
未帆が興奮しすぎている。飛ばなかったら何のために乗っているのか分からない。
「飛ぶに決まってるだろ」
言ってはみたものの、たぶん耳には入っていないだろう。
滑走路に入ってスピードが速くなると、未帆の興奮度も上がる。いや、上がり過ぎだ。
「西森さーん。これじゃ、私たちがど田舎から来たみたいになっちゃってるじゃん。もうちょっと落ち着いてー」
荻原さんの声も、未帆には届いていそうにない。
滑走路を離れて離陸してもしばらく興奮していた未帆だが、何かを見て急激に静かになった。
(???)
何かと思い、さっき未帆が向いた方を見る。
「未帆、興奮しすぎじゃなかった?」
友佳だった。ジェスチャーだけで未帆を落ち着かせたらしい。
(サンキュー、友佳!)
あのままの状態が続いていれば、精神も体力も尽きていただろう。
「ふぁー」
それにしても、朝から体を動かしたせいで、とんでもなく眠い。沖縄に着くまではまだ時間があるので、寝ても大丈夫だろう。最悪、誰かが起こしてくれると思う。
「寝る」
亮平は未帆と荻原さんにそれだけ言うと、即座に睡眠モードに入ったのであった。




