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主人公が鈍感(←理由あり)過ぎて、全然進展しないじゃないか!  作者: true177
第七章 修学旅行編(School Excursion)

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059 何があろうとやっぱり朝は眠い

三章を見て気持ち悪くなった方はご注意ください。(一部暴力表現が入っています)

 「ちょ・・・・・。なんで?」


 亮平は目の前の風景に、思わず口からそう言葉が出ていた。


 ここは東成中。のはずなのだが・・・・・・。誰もいない。いや、誰もいないどころか、鳥の鳴き声さえ聞こえない。辺りは静寂で包まれていた。


 (今日は修学旅行のはずなんだけど・・・・・・。もしかして、一日間違えた?)


 頭の中でもう一度数えなおしてみる。しかし、今日が月曜日だという結論は変わらない。時計を見るが、午前七時なので時間に遅れたというわけではない。


 亮平は周辺を回ってみたが、生徒や教師どころか、いつもは多くいるはずの通行人までいなかった。


大声を出してみても、帰ってくるのは沈黙のみ。


 亮平の本能が『この状況は絶対おかしい』と体に呼びかける。しかし、脳がまだそのことを理解できていなかった。いや、理解しようとしなかった。普通人が一人もいないなど、ありえないのだから。


 (とにかく家に帰ろう)


 家に帰れば誰かがいるはず・・・・・・。亮平がそう思って、足を踏み出そうとした時だった。


 (!?)


 足の感覚が、いや正確に言えば踏みしめているはずの大地の感覚が、無くなっていた。急に地面がせりあがってくるように感じたのは、自分の体が落ちているからだろう。


 すぐに視界は暗闇になり、風が体に断続的に当たる。上を見ると、光の穴がどんどん小さくなっていくのが見えた。


 (な、な、な?)


 訳が分からないような事が立て続けに起きたので、亮平はパニックを起こしていた。


 そのまま、亮平は意識を失った。


-----------------------―――


 「んん?」


 亮平の意識が戻るとともに、激しい痛みが体全体を襲った。


 「おら、てめえが助けるんじゃなかったのか?」


 ドン、という鈍い音とともに、亮平の右わき腹に激しい痛みが走る。


 (助けるって、誰を・・・・・・)


 心当たりはなかった。そもそも、穴みたいなものに落ちて意識を失ったのだから。


 「ぼーっとすんじゃねえよ!」


 また殴られる。


 しばらくするうちに、亮平の意識ははっきりとしてきた。ぼんやりとしていた視界が鮮明になっていく。そして、目の前に見覚えのある女子がいた。


 (未帆だ!)


 だが、よく見るとその首にはカッターが突きつけられている。未帆の目はまっすぐ亮平を見ていた。今にも泣き出しそうな目をしている。


 今までの言葉と行動からだいたいのことは理解できた。亮平は何者かに捕まっている事、未帆も捕まって監禁的なことをされていること、このままいけば二人とも尋常ではない目に遭わされること。亮平が今しなければならないことは決まっている。


 しかし、体が動かない。痛みがあっても体は動くはずなのに、金縛りにあったかのように体が重い。


 (これじゃ、友佳の時と一緒じゃないかよ!)


 亮平はこの期に及んで動かない自分の体に嘆いた。


 「じゃ、ちょっと眠っといてもらおうか!」


 その声を聞き終わると同時に、意識を手放した。


――――――――――――


 「ジリリリリリ」


 どこからか音が聞こえてきた。近くでなっているのか、音はわりと大きい。


 (たしか俺は、殴られて・・・・・・)


 だんだんその音は大きくなってきた。その音は、毎朝聞くあの音と同じような、いや同じ音だった。


 亮平は、目は閉じたまま右腕であたりを探った。眠い。すぐに、硬くて四角いものに当たった。上の方を叩くと、音がピタリと止まった。


 (夢かぁ)


 亮平は安堵しつつ、寝ぼけ眼で時刻を見る。七時十分だった。


 (やばい!遅刻する!)


 急いで体を起こそうとするが、体が重い。眠気も思考の邪魔をする。


 (これも夢だ!これも夢だ!)


 現実逃避をしてみるも、現実が変わることはない。結局、亮平は準備に追われることとなった。前夜からある程度していたので、悲惨なことにはならなかったが。


 (夢の内容だけは、現実になりませんように)


 準備に追われる一瞬の合間に、亮平はそう願った。 

七章始動!

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