057 自業自得
間が空いてしまいすみませんでした。
週は変わって水曜日。
「これ、なんだったっけ・・・・・・」
亮平は一枚の紙と小冊子になったプリントを目の前にして、頭を抱えて悩んでいた。
今日は中間テスト一日目。行われるテストは数学、理科、国語の三つだ。
亮平は成績は学年の中でもいい方だ。塾に通っていない人の中ではトップクラスの成績ぐらいになる。
だが、得意教科と苦手教科というものは存在する。得意教科は数学、苦手教科は国語だ。
現在進行形で行われているテストは、理科だ。得意教科でも苦手教科でもないので、亮平なら普通はまあまあ解ける。
だがそれは『普通は』という条件付きでの話。今回は『普通』ではなかった。
きっかけは、前日にさかのぼる。
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「ねーねー、どっちが+だっけ?」
亮平はその声のした方に顔を向ける。未帆だった。
「理科のこと?それとも、数学のこと?」
+を使う教科は二つある。数学と、理科だ。
「理科だよー、理科。なんとかイオンっていっぱいあったじゃん」
(なんとかイオンじゃ分からないって!)
理科に「イオン」がつくものはたくさんある。
「+のつくイオンの事?」
「そうそう。で、これって+だっけ?」
未帆がそう言ってイオンの名前を出してきた。
「ちがうって。これはマイナス!」
「じゃ、これってマイナス?」
「それがプラス!」
このような未帆と亮平のやりとりが、授業開始直前まで続いたのであった。
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(何がプラスで、何がマイナスだ?)
基本的に亮平は授業中に一度覚えてそのままテスト当日を迎えるタイプだ。それ故に、テストの前日に狂わされてしまったことで、記憶があいまいになってしまったのであった。
無慈悲にも、テストの制限時間は刻一刻と迫ってくる。と、亮平の記憶の中に一つの本が浮かんできた。
(あ、この本って・・・・・・)
亮平の頭の中に、その本の内容が次々と浮かび上がってくる。それは、理科の内容で、イオンも入ってきた。
(危ない、危ない。未帆に狂わされて間違えるところだった)
亮平は、急いで解答用紙に浮かんだ答えを書き込む。書き終わった十秒後に、チャイムが鳴った。
(ギリギリセーフ!)
・・・・・・亮平はまだ知らなかった。浮かび上がったその本は、理科のテスト誤回答集だったことを。




