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主人公が鈍感(←理由あり)過ぎて、全然進展しないじゃないか!  作者: true177
第六章 今年の五月は忙しい編(We Have A Lot Of Event!)

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056 やっぱり分かりずらいんですが

ー未帆視点ー

 「まだかなー、遅いなー」


 未帆は時計に目をやる。時刻は十時をかなり過ぎていた。


 今日は土曜日。亮平に数学を教えてもらう予定だ。集合する約束の時間は十時。かなり遅れている。しばらくは亮平が来そうにないので思考が別のところにうつる。


 (友佳が『亮平は教え方がヘタクソ』って言ってたけど、本当?)


 成績が良くても教え方も良いとは限らない。それは可能性としてはある。


 (でも、あの亮平が?社会とかは前に亮平が他の人に教えてたのは見たことがあるけど、全然ヘタじゃなくて、むしろ分かりやすかったけど)


 これまでの亮平を見る限り、教え方がヘタクソとは考えにくい。


 「ピンポーン」


 未帆の思考は、玄関のインターホンの音で中断された。


 「はい、どちら様でしょう」


 亮平だとは思うが、念のためだ。


 「遅れてごめん!」


 「遅れた理由は後で教えてね!」


 インターホン越しより対面の方が表情で嘘をついているかどうかが分かりやすい。未帆は、玄関の鍵を開けた。


 「ごめんごめんごめん本当にごめん!」


 「そんな勢いで謝られても・・・・・・。ところで、遅れた理由は?」


 亮平の口が沈黙する。よほど言いたくない理由らしい。


 「時計見てる?」


 未帆は、指で壁にかかっている時計を指さす。長針は8を指していた。


 「いやー、あのー、これには深ーい訳がありまして・・・・・・」


 「い・い・か・ら」


 ここまで渋るとなると、何としてでも聞きたくなる。


 「・・・・・・寝過ごしました!」


 「!?」


 (・・・・・・えっ?)


 未帆の脳は数秒間思考を停止したのち、また動き始めた。



 (約束の時間は亮平の方から決めといて、寝坊?)


 心の奥底から激しいものがこみあげてくることを感じる。が、すぐに収まる。未帆の心の中には、怒りを通り越して呆れでいっぱいだった。


 しばらく必死に耐えて心を平常時に戻し、元々の目的に話を変える。


 「数学の宿題を教えに来てくれたんでしょ?」


 「そうだった、さ、早く始めよう!」


 亮平が遅れた話をなかったようにしているのが未帆にはバレバレだが、今は言わないことにする。


 『二次方程式の解の公式を求めなさい』


 「x = −b±√b²−4ac/2a」というのが二次方程式の解の公式だ。それを、「ax²+bx+c = 0」から求めろという問題だ。


 「えーっと、これは平方完成させて・・・・・・」


 「ちょっと待った!」


 すっ飛ばしすぎだ。この式を見てどこから「平方完成」が出てくるのか分からない。


 「どこをどうしたら平方完成するのよ!」


 「じゃあ、平方完成ってのは、『(x+a)²』で、その前の式が『x²+2ax+a²』ってのは分かる?」


 「うん、それは分かる」


 「だから、まず邪魔なaで割って、cを移動させて、それから平方完成を・・・・・・」


 「だーかーらー。説明が飛躍しすぎ!分かってる前提で話を進めないで!」


 「そんなつもりないんだけどな・・・・・・」


 未帆が完全に『二次方程式の解の公式の作り方』を理解するまでに、ここからあと二十分ほどかかった。

二次方程式の解の公式の作り方については、ネットで調べてください。

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