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主人公が鈍感(←理由あり)過ぎて、全然進展しないじゃないか!  作者: true177
第四章 春の体育大会編(First---Spring Sports Day )

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038 春の体育大会当日②

 「死ぬ!このままだと本当に死ぬ!」


 亮平は、小さい声で叫んでいた。


 サッカーの審判は、基本的に走りっぱなしだ。サッカーのルールは国際ルールに則る。なので、ボールの行方はもちろんの事、ゴールの判定やオフサイドの判定もしなければいけない。


 ゴール判定やボールの行方はともかく、オフサイドまで学校のサッカーに入れなくてもいいだろう。そうは思うものの、ルールはルールだ。オフサイドのルールは知らない人が多かったので、いちいちオフサイドを取る度に「なんで反則なの?」と疑問をぶつけられる。説明にも時間がかかり、余計に試合時間が長引いた。


 それだけならまだいい。その次は男子サッカーの競技だ。サッカーはクラスの代表が選手をするのだが、亮平は「サッカーを昔習っていた」というだけで選ばれてしまった。


 そのおかげで、かれこれ亮平は三十分間走りっぱなしになるはめになったのだ。サッカーの試合時間が一試合15分だったのは幸いだった。


 サッカーの結果は、女子は白勝ち、男子は紅勝ちだった。勝ち点は10点なので、今のところは引き分けだ。


 「筋肉痛がひどいから、次は並べく走らない競技が・・・・・・」


 そこまで口に出して、亮平は次の競技を思い出す。だいたいこういうセリフを言った後は、それと真逆の事になるのは、漫画や小説ではよくあること。なら、現実でも起こるはず。今回も的中した。


 「プログラム二番は、リレーです。男子の部を先に行います」


 足はまだかなり痛い。それでも、リレーは配点がかなり高い。いくら体育大会が4回あるとはいえ、取れる点数は取っておきたい。


 リレーは、クラス対抗。レーンは八レーンあるので、学年ごとに一クラス二レーンだ。


 亮平のチームは、よりによって一番初め。


 (最悪かよ・・・・・・・)


 亮平は気持ちは最悪だったが、それでも自分の位置に立った。亮平はアンカー。重要なポジションだ。


 「いちについて、よーい、パン!」


 ピストルが鳴ると同時に、八人全員が走り出したかに見えた。しかし、今並走しているのは七人。亮平のチームの人だけが見当たらない。


 その人の行方は、約一秒後に発見した。七人のはるか後方を走っていて、膝に血が見える。スタートダッシュでこけたのだろう。


 その遅れが響いたのか、走順が進むにつれ、差がどんどん開いていった。


 (みんなには悪いけど、これなら力抜いて走っても大丈夫だよな?)


 とても不謹慎な思いなのは確かだ。しかし、亮平には、たとえ自分が万全の状態でも追いつけるかどうか難しいほどの距離。ましてや今の亮平の状態から考えると、追いつくことは不可能。亮平も、そのことを考えての思いだった。


 しかし、事件が起こる。四走から五走へのバトンパスで、お団子状態だった三人がクラッシュしてしまったのだ。亮平のチームの五走がかなり足が速かったこともあり、差は一秒差にまで縮まっていた。こうなっては、亮平も本気で走らざるをえない。


 結局、亮平はそのクラッシュした三人のチームを抜いて、五位でフィニッシュした。


 (キチイ・・・・・・)


 競技は全部全員参加なので、休める時間は少ない。しかし、一刻でも早く亮平は体を休めたかった。


 男子のリレーが終わると、3-Cのテントから亮平に声がかかった。


 「亮平、もし五走がクラッシュしてなかったら、あなた力抜いて走る気だったでしょ!」


 友佳だ。幼馴染というものは恐ろしい。亮平が考えていたことが筒抜けである。


 「『今年こそは、体育大会は全部の競技を全力でする!』っていう言葉、忘れえないよね。もしあそこで力抜いて走ってたら、未帆に頼んで思いっきり亮平の頭を叩かせようと思ったのに」


 亮平は、二年の三学期にそんなことを言った事を思い出した。そして、もし自分が力を抜いていた時の、友佳がしようとしていたことに思わず体が震える。


 (未帆にはあまり自覚がないだけに、怖いんだよなあ)


 いつも亮平の肩に激痛が走るほどの力を「普通に肩を叩いただけ」ぐらいの認識しかない未帆に本気で叩かれるとどうなるのか。結果は明白だった。


 (ほんと、友佳はたまにえげつないこと考えるよなあ) 


 気が付けば、勝手に口が「そ、そんなことしようと思うわけないじゃん」と動いていた。

―――――――――――――――

紅 46点 白 48点

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