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主人公が鈍感(←理由あり)過ぎて、全然進展しないじゃないか!  作者: true177
第三章 亮平の暗い過去編(Ryohei’s dark past)

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031 誤算

「おい!後ろの奴!何が起きているんだ?」


 細川は驚きを隠せないが、それでも的確に指示する。


 「六年の中でも『交流タイム』にあまり賛成していなかった六年が俺達を攻撃してるんだ!」


 後ろの方から声が返ってきた。


 亮平があまり深刻そうにしていなかったのは、この計画が同時進行で実行される事を知っていたからであった。


 時はさかのぼって、兄貴と会った次の集会のこと。兄貴が、六年の「交流タイム」にあまり賛成ではない六年や反対の六年を説得して、反攻計画の助けにならないかと提案してくれていたのだ。


 成功すれば、六年が倒しやすくなる。失敗しても、元々の計画を実行するだけ。その時の亮平達にしてみれば、願ったりかなったりの提案だった。


 もし失敗したときにも、まだ次の策はあった。それは、物量作戦。


 この学校は、五年と六年の他に、四年以下の生徒がいる。亮平達のいる小学校は六年のはじめに転校したり不登校になる生徒が多いので、必然的に六年の数が他の学年より少なくなる。おまけに、二クラス分の人数がやられた今の状況だと、六年はかなり少なくなる。


 そこで活躍するのが四年生だ。事前に事情を伝えておいたので、ある程度何が起きているかが分かる。兄貴達の作戦が成功したときには五年が伝えに行く。来なかった時は、全員で椅子や机を持って六年の教室に突っ込む。


 四年の子達の説得には、「交流タイム」の事を聞いたばっかりに六年に「口封じ」としてさんざんに殴られた子がしたので、すぐに賛成の子が多数になった。


 「チッ、仕方がねえ!おい、あの作戦実行するぞ!」


 細川は不利だと感じているのか、舌打ちをした。しかし、「あの作戦」という言葉に亮平は不気味な感覚がした。


 細川は周りの教師や六年に目配せをすると、一気に廊下にいた五年の集団に突っ込んだ。まさか集団に突っ込んでくるとは思っていなかったのか、全員慌てふためいている。そのまま突破を許してしまった。


 「女子だけだぞ!」


 細川の六年に向けた指示が飛ぶ。亮平達五年には、その事が何の意味を表すのかが分からなかった。が、しかし、それは次の悲鳴で解き明かされる事になる。


 「亮ちゃん!」 


 亮平ははっとして、その声がした方を向く。そこには、六年に引っ張られて屋上に連れていかれる友佳の姿があった。亮平は、友佳が連れ去られていくのをただボーっと見ていることしかで

きなかった。


 「友ちゃん・・・・・・」


 五年に突っ込まれた集団にいた人達から、だれだれさんがいない、と言う声が聞こえた。細川たち六年が無理やり連れていったのだろう。連れていかれたのは、全員女子だった。


 逃げ場がなくなって仕方なく突っ込んでくる事は想定していたが、あの時、細川達の背後の方は兄貴たちによる襲撃で混乱こそしていたが、無理やり突破することは可能だった。その状態から突っ込んで、五年を無理やり連れて行くというのは完全に想定外だった。


 連れていかれたということは、当然人質にして交渉材料にしてくるだろう。


 (・・・・・・)


 亮平達のいる場の空気は最悪だった。が、やがて五年全員が少しづつ一つの場所へ向かって歩み始めた。同級生が人質になって助けを求めている、また細川率いる六年が待ち受けている、屋上へ。


 この時亮平が屋上の扉から漏れる光がいつもより暗く見えたのは、気のせいだったのだろうか。

内容はタイトルの通り(細川、亮平双方にとって)

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