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主人公が鈍感(←理由あり)過ぎて、全然進展しないじゃないか!  作者: true177
第二章 第一次未帆ー澪戦争編(Miho-Mio War I)

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013 校内パトロール④

 「いやあ、しっかし本当に何にもないなあ」


 亮平は、そうつぶやいていた。

 今は昼休みで、本来なら亮平は運動場に出ているのだが、今日は委員長会の校内パトロールの当番の日なので、なにかが起きるまで見守る事になっている。


 (ま、何も起こらない方がいいけどなあ)


 「ほんと、何も起こらないね。」


 未帆も亮平の言葉を肯定する。一時間目と二時間目の間の休み時間に何があったのか、次の休み時間からは亮平と未帆で行動、澪は亮平達とは別行動になっている。

 運動場で危険な場所といえば、倒れそうな大木の周りぐらい。それに、その周りもテープが張られてある。


 「じゃ、俺は右半分を見るから、未帆は左半分を見といて。」


 亮平は、そんなことを提案した。普通の休み時間なら十分しかないので、生徒がほとんど出て来ないが、昼休みは長い(二十分ある)ので生徒がたくさん運動場に出てきて、混雑するからだ。


 「分かった。」


 未帆もそうした方がいいと思ったらしく、言葉で肯定して左のほうへ動いた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 (しっかし、本当に人多いな...)


 亮平は混雑している運動場を見てこう思った。いつも通り、生徒であふれかえっている。

亮平自身で提案したのにもかかわらず、亮平は視線が度々左半分へと行ってしまう。運動場右側には校門ぐらいしかないので、未帆が見ていると分かっていても自然に視線が行ってしまうのだ。倒れそうな大木も、運動場左側にある。

 もともとあの木が倒れそうだと分かったのは、二年生の秋だ。台風が来たことで、根本が半分折れてしまったのだ。切り倒そうにも倒す場所がなかった(周りが塀や建物で囲まれていた)ので、今まで放置されている。だが周囲の建物の撤去があと少しで終わるらしいので、夏が来るまでには無くなっているだろう。


 (一年のときはよくあの木を使ってたんだっけ。懐かしい)


 亮平はかつて使っていた木を懐かしそうにぼんやりと眺める。と、その亮平の視界に、一年生数人が立ち入り禁止テープを越えているのが目に入った。


 「ちょっと!ストップ!」


 亮平はそう叫ぶが、なにしろ運動場はたくさんの生徒がいるだけに騒がしい。亮平の声は届かなかったのか、さらに木の方に近づいていく。


 (ああ、もう。一目見ただけで危険だって分からないのかよ。)


 心の中で愚痴りつつ、亮平は止めるために走る。亮平は、学年でも走るのが速い。亮平と一年生数人との差はみるみる詰まっていく。

流石に一年生たちも木に触る度胸まではなかったようだ(度胸があるやつがいたら逆に困るが)。木から一メートルの場所で止まっている。


 「ちょっと、ちょっと。立ち入り禁止テープを越えたらダメじゃないか!」


 一年生達に追いついた亮平はきちんと一年生に注意をする。一年生達は素直で、すぐにすごすごと運動場の中に戻っていった。亮平としても一安心だ。


 (あれ、未帆は?)


 「ごめん!」


 亮平が疑問を頭の中に浮かべると同時に、未帆が謝ってきた。

 未帆によると、「違う場所を見ていたので、気付くのが遅れた」らしい。亮平が走っていくのを見て気付いて、慌ててここまで走ってきたという。


 「全く、俺が見てたからいいものの・・・」

 一歩間違えれば大事故になっていたのだ。全部未帆の責任というわけではないが、左半分を見ていた未帆にも責任がある。


 「亮平、ごめん。」


 未帆も責任は感じているらしく、もう一度謝ってきた。


 「もう終わったことを謝ってもしょうがないよ。だれもケガしな...!?」


 なんとか未帆をフォローしようとしていた亮平だったが、校門の方が急に騒がしくなったのに気付いた。何かを持った数人が押し入ろうとするのが見えた。


 「俺達は八条学園という者だ。平和な中学校生活送りたかったら、おとなしく従えや!」


 リーダー格のやつが、そう言い放った。

 

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