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主人公が鈍感(←理由あり)過ぎて、全然進展しないじゃないか!  作者: true177
第九章 夏祭り編 (Summer festival)

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100 夏祭り一日目⑤

 「横岳、今日何人来たんだ?」


 「今聞くことじゃないだろ・・・・・・。29人、カウンターで数えてるから合ってるはずだぜ」


 事件は、この何気ない会話から始まった。


 「ちょっと待ってくれよ・・・・・・。1,2,3,・・・・・・。んん?」  


 「どうかしたのかー?」


 「4500,4600,4700・・・・・・」


 「もしかして、金額の計算が合わないとか?」


 「そのまさかだよ!」


 そう、来た客の人数と、ザルに入っている金額の合計が合致しなかったのである。ちょうど人五人分、1000円足りない。


 「100円ばっかりだからな・・・・・・。どこか、地面にでも転がってないのか?」


 「それを、今確かめてるんだよ」


 地面に、100円が転がっている気配はない。第一千円分も地面に転がっていたら、一発で分かる。未帆にも一応探してくれるように頼んだが、見つかりはしないだろう。


 「これ、一応学校の出し物ってなってるから、合計が合わないとまずいぞ・・・・・・」


 横岳が深刻な表情になった。横岳はひょんなことで感情が変わったりはしない。つまり、本当に深刻な状態になっているということだ。


 とはいえど、他にお金が落ちていそうなところはない。もし屋台の外ならば誰かに拾われいている可能性の方が高い。


 亮平は唇をかみしめながら、もう一度念入りに硬貨が落ちていないかを調べた。だが、やはり何も見つからない。


 「ポケットの中とか、入ってないのか? お前なら、入れてそうだから」


 どう見たら、小銭をポケットに入れそうな奴に見えるんだ。亮平は反論したい気持ちを抑えて、右ポケットに手を突っ込んだ。下地の布の感触が手を通して伝わってくる。


 「やっぱり入ってなかったわ」


 「・・・・・・もう片方のポケットは?」


 どこまでもしつこい。そんなに、ポケットに入っていて欲しいのか。


 亮平は、渋々左のポケットを調べる。細長い紙のようなものがあるのが分かった。何かの拍子にティッシュでも突っ込んだのかもしれない。


 屋台には、ゴミ箱が設置してある。亮平は、そのポケットの中に入っていた紙を捨てようとして、青いポリ袋がかぶさっているゴミ箱の前で、紙を取り出した。


 その紙には、見たことのある文字が印刷してあった。『1000 NIPPON GINKO』とかかれた横書きの文字、そして中央よりやや左に描かれている野口英世。


 (千円札!? いったいどこで・・・・・・)


 100円玉しか払ってもらっていないはず、と考えかけて、そういえばと考え直す。


 (確か、友佳が来る前。お客さんの誰かが、千円札で払ってきたんだっけ・・・・・・?)


 千円札を目の前のザルに入れた覚えは全くない。つまり、亮平が無意識のうちにポケットに入れていたわけだ。しかも、わざわざ取り出しにくい左ポケットに。


 (マズイ、これは追及来るぞ・・・・・・)


 100円がポケットに入っていたのならまだいいが、今回の場合は千円。額が額だ。


 おまけに、取り出しずらい左ポケットに入れていたのだから、ネコババの疑いがかかってしまう。


 それでも、報告はきちんとしなければいけない。


 「横岳ー、ちゃんと見つかったぞ!」


 「だろ? ちゃんとザルに入れて、もっかい数えなおせ・・・・・・って、千円札・・・・・・」


 「はっきり言おう。断じてネコババしようとは微塵も思ってなかったからな!」


 「いや、そういわれると逆に怪しいだろ。言われるまで、ネコババなんて思い浮かびもしなかったし」


 横岳が、いかがわしい目で亮平の方を見てくる。これはやってしまったか。だが、引き下がるわけにはいかない。


 「無意識に入れてただけだから。後ろめたいことをしようとしたわけじゃないから」


 「・・・・・・霧嶋、言葉だけは誰でも弁解できるぞ?」


 横岳に通じている様子が全くない。亮平の発言のみが証拠となっているため、ひっくり返すことが難しい。


 と、横岳の目がいつもの(?)ニヤニヤした目に戻った。あの目は、亮平をからかっている。


 「なんてな。偶然だろ、ポケットに入れたの。霧嶋に限って、金を盗むような真似はしないだろ。金には執着心ってものが存在しなさそうだし」


 これが、中学校を通して付き合ってきた親友としての絆の結晶のようなものなのだろうか。金に執着心が無いというのは、全くその通りだと我ながらに思う。自分は横岳に信頼されているのか、それともおもしろい玩具として見られているのか、時折分からなくなる。


 「・・・・・・一瞬、本気で疑われてるのかと思ってじゃねーか」


 「まあまあ、そうカッカなされるな。心の器ってもんが狭いぞ、霧嶋君?」


 「・・・・・・心の器の広さは関係ない」


 これで金額の計算も合い、一件落着・・・・・・だと思われた。だが、亮平は、未帆に小銭の捜索を頼んでいたことを忘れていた。


 「亮平ー、まだ足りないかもだけど、200円すみっこの方に落ちてたよー」


 「はい!?」


 (未帆、足りてないどころか、それだと逆に余っちゃってるんだよ・・・・・・)


 そして、新たな問題を持ってくることになろうとは。誰も、予測は出来なかったであろう。


 今度は、200円多い。お客さんの誰かから、余計にもらってしまったのか、それともお釣りが少なかったのか。


 最終的に、亮平が『屋台で何か買うかも』と思って事前に入れておいた200円がたまたま落ちたと発覚するまで、てんやわんやの騒ぎは続いた。

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