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主人公が鈍感(←理由あり)過ぎて、全然進展しないじゃないか!  作者: true177
第九章 夏祭り編 (Summer festival)

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097 夏祭り一日目②

 「台はそこに置いてー。いや、ちょっと右よりかな」


 横岳の指示が、頻繁に飛んでいた。


 澪が来てから今に至るまでのことを、分かりやすく説明してみようと思う。


 未帆が柱を自力で持ち上げたことが、未帆をフォローしようとした横岳からうっかり漏れた。


 当然未帆は横岳を嫌そうな目でじっと見つめたし、澪は『そういうことか』と、あまり驚いていない様子だった。未帆の様子と照らし合わせたのだろうか。


 特に澪が何かを言うわけでもなく、その場は収まった。


 そのすぐ後、横岳から『セッティングするから各自で分担してやろう』と提案が入り、今に至る。


 屋台を出すのは名義上横岳なのだから、指示をするのも横岳だ。


 「距離も測らないといけないから、そっちのメジャーの先端を持ってくれないか?」


 「そんなにキッチリしなくても、大体でいいんじゃ・・・・・・」


 「近いかどうか測るだけ。近かったら、当てやすくなるだろ?」 


 つまり、設定より遠くても直さないということらしい。客有利なら調整するが、不利ならそのままにしておくということだ。


 亮平はメジャーの先端部分を、射的用の銃が何丁かおいてある台に合わせた。


 「あ、50センチぐらい離れてるけど、遠い分にはいっか」


 (50センチって・・・・・・。歩幅より狭いぐらいの長さは許容範囲内?)


 射的に距離がどのくらい影響するのかは分からないが、50センチのずれはまあまあな距離ではないのだろうか。それとも、亮平の感覚が間違っているだけなのだろうか。


 「風吹いたら、的が飛んで行ったりしない? 大丈夫?」


 段々になっている台に射的用の的を並べていた未帆が、不安そうに並べられた的を見つめている。


 「横に防風の仕切り立てるから、大丈夫。それに、今日来る前に天気予報調べたら、『風1m』って書いてたから、そんなに強い風は吹かないと思うよ」


 横から風が吹いてくれば、確かに仕切りに遮られて風は通らない。ただ、前後から風が吹いたらどうするのか。亮平はそれを横岳に問おうとして、はたと気付いた。


 (後ろには、弾が飛んでいかないように壁を立てるから、風が侵入することも無いのか)


 横岳は前提にそれがあるのだから、前後については言うはずもない。


 「OK。全部セッティング終わったから、祭りが始まる時間まではゆっくりしといてもいいよー」


 横岳のその一言に、亮平は待ってましたとばかりに、別の設営中の屋台の方へと向かった。


 ―――


 だいたいどの屋台もセッティングが終わり、もうすぐ夏祭りの開始時刻になろうとしていた。


 「さて、昨日決めた通りの役割でお願いな。あと、サボらないでくれよ、霧嶋。お前は特に」


 亮平にサボり癖があるかのような言われようだ。亮平はただ、面倒くさいことを極力しないように避けているだけで、役割を自分から放棄するようなことはしたことがないというのに。


 (生活態度が悪いからそんな目で見られる? そんなことは知ったこっちゃない)


 「しっかし、浴衣で来てる人も多いなー」


 「当たり前だろ、祭りなんだから。お前はいつも半袖半パンで来てるから分からないだろうけど」


 「そりゃ、浴衣なんて下パンツだけだろ? こけたらどうするんだよ。スカートみたいにスースーして気持ち悪いし、着るのも面倒くさいし」


 「そんなこと言っていいのか? 少なくとも後ろの二人は不満そうなんだけども」


 ギクリとなり、後ろを恐る恐る振り返る。そこには、きつい目で亮平を睨んでくる澪と、目が笑っているようにも見える未帆がいた。


 「私、今日でこそ浴衣では来てないけど、明日は浴衣来て来ようかなー、って思ってたんだよ? それなのに、全否定しちゃって・・・・・・」


 「亮平君はちょっと、客観的に見過ぎじゃない? 『面倒臭い』とか、『こけたらどうするんだ』とか・・・・・・」

 

  なんでも物事を客観的に見てしまうのは、亮平も短所だとは感じている。長所に化ける場面も数多くあるが、今の状況では短所になる。


 「そんなつもりじゃなかったんだけど・・・・・・」


 「自分がそう思ってても、人が不快な思いを感じた時点でアウト!」


 反論の余地はない。


 『えー、今から、東成中学校校区祭りを開催したいと思います。屋台も今から始めてください』


 校舎に取り付けられているスピーカーから、夏祭り開始のアナウンスが流れた。


 亮平達は『夏祭り』と言っているが、実際は校庭で行われる校区祭りである。


 とはいえ、東成中学校の校庭の面積が大きいのもあり、毎年多くの人が参加する夏の恒例行事となっている。


 また、周辺地域で行われる祭りがこの校区祭りしかないので、校区内はもちろん、中には隣の市町村から足を運ぶ人もいる。それだけ、にぎわうのだ。


 「全員、自分の役割を果たしてくれな!」


 既にちらほらと校門から校庭に入ってきていた人たちが、一斉に色々な屋台に移動し始めた。

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