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第6話 装備を整える

 翌日、僕はミサキと一緒に試験のために準備を整えることにした。まずは僕の武器防具を揃えるのが先決ということで、僕たちは街で一番大きい武具店へとやってきた。武具店はエリュシウス中央広場のすぐ近くにあり、名前は『ガイスハンマー』という店だった。名前からしてすごく武具店って感じだなと僕は思った。


 ガイスハンマーは街で一番大きいというだけあって、店内はかなり広く、たくさんの武器や防具が所狭しと陳列されていた。カウンターには、店主と思しき40代ぐらいのとてもガタイのいい男が座っていて、チラリとこちらを見た。僕たちは特に気にすることなく武器コーナーへと向かう。


「色々あるけど、どの武器にする?」


 武器コーナーでミサキがそう僕に聞いた。武器コーナーには剣、短剣、大剣、槍、斧、弓といった様々な武器が並べられている。


「うーん、個人的にはやっぱり剣かな。一番使いやすそうだし」


「そう。じゃあこの少し短めのてつの剣はどう? 軽くて扱いやすいし、初心者向きだと思う」


 そう言ってミサキは一振りのてつの剣を取り、僕に差し出した。僕は剣を取り、その場で少し振ってみる。……確かに軽くて振りやすいと感じた。値段もなんとか予算内に収まる程度だ。


(うん、いい感じだ。最初はこういうのでいいかも)


 その後、他の武器もいくつか触ってみたけれど、僕は結局このてつの剣を買うことにした。


「それじゃ、次は防具ね。……君の予算だと中古の革鎧がギリギリかな」


 次に僕たちは防具コーナーと向かった。防具コーナーにはローブといった軽めの装備から重鎧といった重めの装備まで色々揃っていた。ただ、全体的に値段がとても高く、ミサキの言う通り、僕が買えるのは特価で売っていた中古の革鎧が精々だった。予算的にこれ以外に買えるものはなかったので、僕の防具は中古の革鎧にすぐに決まった。


 買うものが決まったので、僕はてつの剣と中古の革鎧を携えてミサキと一緒にカウンターへと向かった。僕はカウンターの上にてつの剣と中古の革鎧を置いて、この二つを購入したい旨を店主と思しき男に告げた。すると、男は無表情で僕に代金の額を告げる。


 代金を支払うと、男は僕の方を見て何やら話しかけてきた。


「……冒険者志望か?」


「え? えっと、まぁ、そんなところです……」


 実際は僕はただのミサキの付添いだけど、説明するのが面倒くさかったのでそう返答をする。


「ふ、そうか。『最初の試練』、頑張れよ」


 男はそう言った。


 店を出ると、ミサキが「あの人がガイスハンマー店主のガイスさんらしいわよ。気難しいけど根は優し

いんだって」と言った。僕は確かにと思った。



「それじゃあ、一応スキル店にも寄っておこっか」


 ミサキの提案で、僕たちは次にスキル店に寄ることになった。スキル店というのはその名の通り、使うとスキルを習得できる【スキル書】を売っているお店のことだ。最初に聞いたときにはとても驚いたけど、この世界ではスキルはスキル書を使うことで誰でも覚えることができるらしい。そして、そのスキル書は普通に専門のお店に行けば売っているとのことだった。


(スキルがあるだけでもびっくりだけど、まさかそれが店売りされてるとはね……)


 僕はそう思いつつも、自分でもスキルを覚えられるかもしれないという期待に少し胸を踊らせていた。


 そんなわけで、僕たちは武具店から少し離れたところにあったスキル店へと向かった。


 スキル店はミサキ曰く「この街の冒険者の御用達」ということもあって、かなり大きな店だった。さっきの武具店と同じぐらいの規模だろうか。看板にはスキル店『バルロシェ』という文字があった


 店内では何やらよくわからない魔法陣や呪文のようなものが記された紙が、至る所に陳列されている。これがいわゆるスキル書というものだろう。スキル書を見るのは僕にとって初めてのことだった。


 僕は適当に近くにあったスキル書を手に取ってみる。ラベルには【麻痺攻撃】の文字があった。……名前的にきっとこのスキルは相手に麻痺を与える効果があるスキルだろうと僕は思った。


 僕は何気なくスキルに付いていた値札に目をやる。


「うわ、たっか……」


 僕は思わずそう呟いた。実際、それは相当の高値だった。現代日本で例えるなら最新のスマホ数台分ぐらいの値段ぐらいにはなるんじゃないだろうか……。僕は予想外の値段に驚きつつも、他のスキル書もいくつかチェックしてみた。


……しかし、どれも軒並み値段が高く、中には僕の当面の生活費の1年分を超える値段のものもあった。金欠の状態にある今の僕にはとてもじゃないけど手が出せるものではなかった。いや、お金があってもこの値段はキツいかも……。


「スキル書ってこんなに高いんだね……」


 僕は隣にいるミサキにそう言った。


「うん。スキル書は基本的にとても高い。有用なものになればなるほど、値段は上がっていく」


「そうなんだ……」


 僕は初めてスキルが覚えられるとわくわくしていたけれど、その期待は脆くも崩れ去った。また後でお金が貯まったら来ようと僕は思った。


 僕はここでスキルは買わなかったけど、ミサキは【索敵】のスキルを買っていた。【索敵】は自分の周りの一定範囲内にいる人間やモンスターの気配を察知することができるスキルらしい。効果範囲はレベルによるんだとか。


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