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第28話 帰るまでがダンジョン探索

 その後、僕たちは一度、状況報告のためにミサキとセネリーと合流することにした。中央の建物に戻り、右側の回廊へと進むと、そこにはちょうどこちらに歩いてくる二人の姿があった。僕たちは二人と合流し、互いの状況を報告した。


「……え!? もうマンドラゴラ四体も倒したの?」


 僕は驚いた顔をして言った。


「そうだよ。こっちだと、結構そこら辺にいたからね。ほら、これが魔石」


 セネリーはそう言って革袋から魔石を取り出した。それは紛れもなくマンドラゴラのものだった。


「……二人はどうやってマンドラゴラを倒したの? やっぱり精神攻撃に耐性があったりする?」


 すると、二人はきょとんとした顔をした。


「いや、それはない。というか、マンドラゴラは攻撃される前に倒すのが基本だろ? 爆発系の魔導具で一撃だよ。ほら、前に試作品見せたことあったでしょ? あれの威力が控えめのやつを持って来てるから」


 セネリーはそう言って懐から魔導具を取り出してみせた。それは以前にセネリーとダンジョンに潜ったときに、セネリーが爆破のために使ったものと同じタイプのものだった。……なるほど、確かに爆発系の魔導具なら、マンドラゴラが攻撃する前に吹っ飛ばせるなと僕は思った。


「……私は【流星突き】で瞬殺してるわ」


 ミサキが涼しい顔をして言った。【流星突き】は以前に一度だけ見せてもらったことがあるけど、確か精神力をエネルギーに変えて一点突破で放つスキルだ。現代でいうところのフェンシングの一撃がエネルギー波のように放たれる感じだろうか。【流星突き】なら確かにマンドラゴラを引き抜かずとも直接根の部分を攻撃できるだろう。


(……あれ? よくよく考えてみると、マンドラゴラって基本近づかなくても倒せるのでは……?)


 そもそも僕は弓矢を具現化できるスキルを持っている。それで遠くからマンドラゴラを狙撃すれば、攻撃されることなく簡単に相手を倒せるんじゃないだろうか……? というか、剣でもマンドラゴラを抜かないでそのまま根の部分を刺せばよくない? マンドラゴラって抜く必要あった? 僕がそんなことを考えていると、ネフィが僕を見て言った。


「君、『マンドラゴラってわざわざ抜かなくても倒せるし、抜く必要なくない?』……なんて考えてるでしょ」


「えっ? ま、まぁ、そうだけど……」


「それは全くもってその通りだよ。……でも、それじゃつまらないでしょ? やっぱりマンドラゴラなんだし、引き抜いたところをざくっと殺らないと。ふふ……マンドラゴラの絶望した顔を見るのがマンドラゴラ刈りの醍醐味だからね。……というわけで、これからも引き抜く役をよろしくね」


 ネフィは妖しく笑いながらそう言った。


「え? で、でも引き抜かなくていいのなら引き抜く必要はないんじゃ――」


「私、君のこと助けたよね? ゲラングスの毒にやられた君を介抱してあげた……そうでしょ?」


「…………」


 僕は何も言い返すことができなかった。ミサキやセネリーも面倒くさいと思ったのか、特に助け舟は出してくれなかった。


「せっかく助けてあげたのに君は――」


「だああ! わ、わかったよっ。引き抜けばいいんでしょ、引き抜けばっ!」


「ふふ、わかってくれて嬉しいよ」


 ……その後、僕はいくつものマンドラゴラを引き抜くことになった。耳栓のおかげで精神攻撃は受けることはなかったけど、正直、面倒くさかった。ネフィはというと嬉々としてマンドラゴラにナイフを刺していた。



「……結構取れたね」


 ネフィがマンドラゴラの魔石でいっぱいな革袋を見て言った。あれから別の建物を探索したりして、ひたすらマンドラゴラを狩り続けたのだった。おかげで僕たちはかなり大量のマンドラゴラの魔石を手に入れることができた。ちょうど時間もいいところだったので、僕たちはマンドラゴラ狩りをやめてダンジョン入り口の広場まで戻ることにした。


 入り口の広場まで戻ってくると、僕たちと同様にマンドラゴラ狩りを終えた冒険者たちが多くいた。


「それじゃ私は報告に行ってくるね。任務は魔石を渡した時点で終了だから、君たちはもう帰っても大丈夫だよ」


 ネフィは魔石でいっぱいの革袋を抱えてそう言った。


「そ、そう? それじゃあ、僕たちはこのまま帰ることにするね」


 僕はそう言ってミサキとセネリーを見る。……二人とも異議なしのようだった。


「さすがに、今日は疲れたわ……」


「私もおかげで試作型魔導具が全部なくなっちゃったよ。そろそろ量産化をすることを考えなきゃ……」


 ミサキとセネリーがそう話していた。二人じゃないけど、僕も今日はかなり疲れたのでさっさと帰ってシャワーを浴びたいと思った。


「それじゃあ、ネフィ。僕たちはこれで失礼するよ」


「うん、バイバイ」


「また今度。それじゃ!」


 僕はネフィに向かって軽く手を振った。すると、ネフィも僕に軽く手を振って返してくれた。ほぼ一日中、行動をともにしたせいか、ネフィとは結構仲良くなれた気がする。ネフィも冒険者だし、任務によってはまた一緒になることがあるかもしれない。


 ちょっと変わった子ではあるけれど、僕は初めてクラン外での知り合いができて嬉しく思った。


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