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第26話 ゲラングスの毒

 僕とネフィは建物の左側の部分を探索することになった。建物の正面から入り、セネリーとミサキペアと別れて左側に進むと、そこには長い回廊があった。回廊に入ると、右手に広い中庭があって、大きな樹がたくさん生えていた。回廊の左手には部屋がずらりと並んでいる。


「私は中庭を調べるから、君は部屋の方を調べてくれる? マンドラゴラっぽいのを見つけたら狩る前に私に言ってね。多分、私の方が『処理』には慣れてるから……」


 そう言うとネフィはふふっと微笑を浮かべた。なんかちょっとこわい。


「わ、わかった。見つけたらすぐ言うね」


 僕がそう言うと、ネフィは中庭の方へと入っていった。僕は逆に回廊の一番手前にある部屋のドアを開ける。


 ――最初の部屋はガランとしていて特に何もなかった。ところどころに樹が生えていて部屋の天井を貫いている。僕は一応、部屋の中を隅々までチェックしてみた。しかし、特に何も発見することはできなかった。


(ここは何もないかな。次にいこう)


 僕は次の部屋へと移動した。次の部屋は最初の部屋と同様にガランとしていたけど、明らかに一つだけ違いがあった。


(これ、なんだろう……)


 部屋の窓際に『大きなキノコのようなもの』が一つ生えていたのだった。それは普通のキノコと比べてかなり大きく、人間の子どもぐらいのサイズがあった。色は茶色で形はマツタケのように太めな感じだった。


(……うーん、モンスターかもしれないし、【識別】をかけておくのが無難かな?)


 もし、ただのキノコであれば【識別】を使っても効果はない。キノコにレベルはないからだ。


 ――僕はそれがモンスターかどうかを確かめるべく、【識別】を使った。



【識別結果】

 レベル:3

 スキル:【ゲラングスの毒胞子】【索敵無効】



 結果はそれがモンスターであるということを示していた。


(ゲラングス……? モンスターの名前かな。えーと、識別結果はレベル3でスキルは毒胞子と索敵無効だけ。……これなら普通に倒しても大丈夫かな?)


 毒胞子ということでおそらく胞子で攻撃してくるんだろうけど、僕のレベルは今軽く300以上ある。これだけレベル差があれば毒胞子といってもまず大したことはないだろう。


 ……実際、以前に睡眠の状態異常効果がある攻撃を受けたことがあるけど一瞬で回復したし、今回も一瞬で回復するだろうと思う。


(連撃のゴメなんとかさんと戦った時に眠り攻撃を受けたけど、すぐ回復したしね……。状態異常攻撃もこれだけレベル差があれば全然怖くない。さっさと倒して魔石を回収しよう)


 僕はそう考えると、てくてくとそのキノコのようなモンスターの近くまで歩いていき、剣を抜いた。


「えいっ!」


 ザシュッ!


 剣はいとも容易くキノコのようなモンスターを貫いた。


 ――すると、そのキノコのようなモンスターはプルプルと身体を震わせ、キノコの傘のような部分から一気に胞子を撒き散らした。


 バシューーッ!!


(ふふん、それは予想の範囲内だよ……)


 僕は特に気にすることなく毒胞子を吸う。僕は頭がクラクラしてくるのを感じたけど、すぐに治るだろうと思った。


(………………あ、あれ? な、治らない……!?)


 でも、いつまで経っても頭がクラクラするめまいのような症状は治らなかった。それどころか症状はだんだんと悪化しているような気がした。


(あ……あたまが……グラグラ……する……)


 さすがにこの状態はまずいと僕は思った。な、何かがおかしい……。僕はネフィに助けを求めるためにフラフラしながら部屋を出た。


「ネ、ネフィ……た、たすけ……」


 僕は回廊でそう声を上げたところで倒れ、意識を失った。



「う、うーん……」


 僕は気がつくと、回廊の壁のそばで横になっていた。


「大丈夫?」


 そんな僕の顔をネフィが覗き込む。僕は慌てて起き上がった。


「ネ、ネフィ? あ、あれ……僕は……どうなって……」


「【ゲラングス】の毒にやられたんだよ」


「ゲラングス……?」


 ゲラングスと聞いて、僕の脳裏にあのキノコのようなモンスターの姿が浮かんだ。……そうだ、僕はあいつを倒そうとして毒の胞子を吸ったのだった。


「ゲラングスの毒は大したことないけど、一応解毒作用のあるポーションを飲ませておいたから。ふふ……すぐに気分がよくなると思う」


 ネフィはそう言ってニヤリと笑った。僕は正直、ネフィが作ったポーションと聞いて、変な成分が入ってないか少し気になった。……多分、きっと大丈夫かな。


(それにしても、なんで僕に毒が効いたんだろう……。状態異常はレベル差の影響を受けるはずなのに……)


 僕は疑問に思った。僕がこれまで得た情報によると、状態異常が効くか効かないかは基本的に【レベル差】の影響を受けるのだ。つまり、レベル5の人間がレベル100の相手に、例えば毒とか麻痺攻撃をしてもほとんど効かないのだ。


 ……そうだとすると、レベル300超えの僕がレベル3のモンスターの毒を受けて昏倒するとかあり得るのだろうか? 以前に睡眠攻撃を受けた時は、一瞬眠ってもすぐに治ったんだけど……。


 ――僕がそう考えていると、ネフィはそんな僕を見て言った。


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