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第24話 這い寄る者たちルーキー

 後日、僕とミサキとセネリーは這い寄る者たちによって指定されたランク2の樹海ダンジョンへと向かっていた。這い寄る者たちの依頼ということもあって、二人はあまり乗り気ではないようだったけど、僕は特に気にしなかった。この仕事の報酬はとてもいいのだ。この報酬のためなら、僕は二人を引っ張ってでも連れて行くだろう。


 指定されたダンジョンの入り口は、エリュシウスから一時間ほど歩いた場所にある小高い丘の上にあった。丘の上には地下へと続く大きな螺旋状の階段があった。僕たちはその階段を降りていく。


 すると、階段を降りた先は広場になっていて、既にたくさんの冒険者たちが集まっていた。全部で数十人程度だろうか。多くが這い寄る者たち所属の冒険者のようだったけど、中には僕たちのような雇われと思われる冒険者もそこそこいた。


 僕が責任者は誰だろうと思いつつキョロキョロしていると、這い寄る者たちの集団から一人の若い男が僕の方へと向かってきた。何やら怪しげなローブを纏っていて、少し顔色が悪かった。


「やぁ、君たちが例の……『カオスねこ団』かい?」


「あ、はい、そうです」


 僕は『例の』という言葉に多少引っかかりつつもそう認めた。


「待ってたよ。ちょうど君たちで最後だ。これから説明を始めるから、その辺で聞いていてもらえるかな?」


「わ、わかりました……」


 そう言うと男は戻っていった。僕たちが男の言葉に従ってその辺で待機していると、男はおもむろに大きな切り株の上に立った。すると冒険者たちの視線は自然と男へと向かう。男はそれを見て説明を開始した。


「こんにちは冒険者諸君。今日はよく来てくれたね。知っている人もいるかもしれないけど、僕は這い寄る者たちのルーシェルだ。よろしくね。じゃあさっそくだけど、今日の任務について説明しよう」


 ルーシェルは微笑を浮かべながらそう言った。


「任務は単純明快。マンドラゴラ狩りだ。マンドラゴラはよくこのダンジョンに出没するモンスターでね……いい魔石を落とすんだよ。というわけで、今日はみんなにじゃんじゃんマンドラゴラを狩ってその魔石を持ち帰って欲しい。たくたん採ってきたら、その分ボーナスもあるからね……」


 ルーシェルはそう言うとニヤリと笑った。……ボーナスという言葉を聞いて、僕は俄然やる気になった。もともとの報酬が高い上にボーナスまで出るというのなら、もうこれは全力で行く案件だ。


「それから、今回は一応、安全のために四人一組で行動してもらうよ。這い寄る者たちと他の冒険者たちの親睦を深めるってのも目的の一つだからね……。それじゃあみんな適当に四人組作ってー」


 ルーシェルがそう言うと、周りの冒険者たちは適当に四人組を作り始めた。


「あ、『カオスねこ団』にはうちから特に参加させたい冒険者がいるから、ちょっとそこで待っててくれるかな」


 ルーシェルはそう言うと、這い寄る者たちの陣営に降りて何やら話を始めた。僕は予想外の展開に少し驚いた。ミサキやセネリーも何が何やらという顔をしている。


(這い寄る者たちから僕たちのパーティに一人参加させて四人組になるってことか……。うーん、監視員か何かかな……)


 僕がそんなことを考えていると、ルーシェルが一人の女の子が連れてやってきた。髪はダークブラウンで、年齢は僕と同じぐらいのように見えた。女の子は這い寄る者たちあるあるの変なローブを着ている。


「はい、じゃあ自己紹介よろしく」


「あ、はい……ネ、ネフィです。き、今日は同じパーティということで、よ、よろしくおねがいします……」


 ネフィはそう言ってチラチラと僕たちを見る。


「あ、ど、どうも、ユイトです。よろしく……」


「私はミサキ。よろしく」


「セネリーさ。今日はよろしくねー」


 二人は相手が同じぐらいの年齢の女の子ということで安心したのか、上機嫌な様子で挨拶をした。


「それじゃあ君たちはネフィと一緒の四人パーティでがんばってね。ネフィはこのダンジョンには慣れてるし、案内役として適任だと思う。ま、将来有望なスーパールーキー同士、親交を深めるといいよ」


「す、スーパールーキー?」


 僕は思わずそう呟いた。するとルーシェルは妖しげな笑みを浮かべて言った。


「ふふ、君たちのことは色々聞いてるよ。特にユイトくんだっけ? 君、『最初の試練』でブラッドゴブリンを一撃で倒したらしいじゃないか。さらには、自身はどのクランにも入らず、新クランを設立したとまできた。初心者とは思えない破天荒さだよ。君のことは上位の冒険者の間でも結構話題になってるよ?」


 ……僕はルーシェルの言葉を聞いて、変な声が出そうになった。そこまで目立ってはいないだろうと考えていたけど、それは甘かったみたいだ。


 僕がなんとも言えない顔で「あ、そうですか」と言うと、ルーシェルはさらに続けて言った。


「でも、最近活躍中のスーパールーキーは君だけじゃない。例えば、うちのネフィも近年稀に見る逸材さ。君よりちょっとだけ経験はあるけどね……。ま、そのうち分かるよ」


 ルーシェルはそう言ってネフィを見る。ネフィは恥ずかしいのかさっと顔をそむけた。


「じゃあ、そういうことで今日は頼むよ。ネフィも頑張ってね。それじゃ」


 そう言うとルーシェルはネフィを置いて去っていった。そんなわけで、今日は僕たち三人にネフィを加えたパーティで行動することになった。


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