第22話 セネリーと一緒なダンジョン探索②
その後、僕たちは二体目のフォレストエイプと遭遇した。木の陰に隠れて様子を伺うと、相手はまだこちらに気づいていないようだった。
「今度は僕がやるよ」
僕がそう言うとセネリーは「オッケー」と言った。僕は【具現化:弓矢】を使ってちょうどいい感じの弓矢を具現化する。そして僕は、さらに【弓使いの心得】を使った。すると、僕は瞬時に弓矢の扱い方がわかり、自然と身体が動いた。
(すごい……まるで超一流のハンターにでもなった感覚だ……)
確か【弓使いの心得】の効果はレベルに依存するとバルロさんは言っていた。とすれば、現時点で相当高レベルの僕がこのスキルを使ったら、僕の弓スキルはかなりすごいことになってるだろう……。
僕はそう思いながらフォレストエイプに狙いを定める。外す気は全くしなかった。僕が矢を放つと、矢は目にも留まらぬ速さで飛んでいき、ストッとフォレストエイプの眉間を貫いた。フォレストエイプはドサッと地上に落下し、身体が離散していく。
「ひゅ~~! やるじゃん!! ユイトがそこまで弓矢が得意だなんてびっくりだよ!」
セネリーがそう言って僕を褒めた。
「い、いや、【弓使いの心得】のおかげだよ」
僕は謙遜して言った。実際、僕は今まで弓矢なんて使ったことはもちろん、触ったことすらなかった。
「あー、なるほど心得系のスキルを使ったのか。でも、それでもすごいと思うよ!」
「そ、そうかな?」
「そうだよ! ……まぁ、かっこよさならやっぱり弓じゃなくて魔導銃の方がいいと思うけどね! ユイトもどうせなら弓じゃなくて銃の具現化スキルを選べばよかったのに」
「…………」
僕はセネリーは一言多いと思った。
その後、僕たちはフォレストエイプやイビルコンドルといったモンスターを遠距離攻撃でさくさく倒していった。以前の僕だったら近接攻撃しかできないので空を飛ぶモンスターなどは指をくわえて見ているだけだったろう。
でも、今の僕は具現化した弓矢という遠距離攻撃を覚えているので逆に空を飛ぶモンスターは大歓迎なのだ。飛ぶ鳥を落とす勢いという言葉通りに、僕たちは空飛ぶモンスターを片っ端から撃ち落としていった。
……そうこうして僕たちはダンジョンの比較的奥まで来た。そこで僕たちは意外なモノを見つけた。
――それは石でできた遺跡のような建造物だった。雰囲気はなんとなく現代で言うところのアンコール・ワットに似ていた。
「ふむ、これはお宝の匂いがするね……【宝さがし】」
そう言ってセネリーはスキルを発動する。スキル名的に多分財宝のありかを特定するタイプのスキルだろ
う。
「……お、反応があるな。ユイト、こっちだ」
セネリーはそう言って建造物の左側へと歩いていく。僕はセネリーの後をついていった。セネリーは、メインの建造物から少し離れた場所にあったドーム状の建物の前で止まった。ただ、建物の入り口は完全に崩れていて、このままでは中に入れそうもなかった。
「この中に反応があるけど、入り口が崩れてるなぁ……。そうだ! こういうときこそ、例の魔導具を試してみる時じゃないか!」
セネリーは何やら独り言を言いつつ、懐から球体状の変な物体を取り出した。セネリーはそれをこれ見よがしに僕に見せる。
「ふふ……これはちょうど昨日私が完成させた魔導具でね。魔力を込めると十数秒後に爆発する魔導具なんだ。小さいけど、威力は【中級爆裂呪文】と同じぐらいあるんだよ、すごいでしょ? しかも魔法と違って誰でも使えるの! すごくない?」
そう言って、セネリーは目をキラキラさせながら球体状の魔導具を見る。……将来は爆弾魔かな。
「あ、うん、すごいと思う……」
「でしょでしょ? ……私、ときどき自分の才能が怖くなるんだよね。あぁ、私またこんなキ・ケ・ンな魔導具を作っちゃったわ! どうしよう! ……みたいな? こんな可憐な乙女が実は天才魔導具使い!? 嘘でしょ!? ……みたいな?」
「…………そうだね、じゃあさっそくそれを使おう」
僕は正直反応に困ったので、すぐにその魔導具を使うことを提案した。僕たちは魔導具の爆発に巻き込まれないように近くの遮蔽物の影へと移動した。すると、セネリーが「じゃあいくよ!」と言って球体状の魔導具を建物の入口に向かって投げる。魔導具はおよそ十秒後に「ドゴオオオン!」と轟音を響かせ爆発した。
爆破後、静かになってから建物の方を覗いてみると、建物の崩れていた入り口は完全に爆破され、そこにはぽっかりと大きな穴が空いていた。想像以上の威力に僕は少し驚いた。
「……我ながらすごい威力だわ! こんなの食らったらどんなモンスターだって一撃だよ!」
「そ、そうだね……」
「さ、宝はあの中だ。レアな魔石だったらいいな~」
僕たちは宝を手に入れるべくドーム状の建物の中へと入った。建物内部はがらんとしていて、中央にあるいかにもな宝箱以外は特になにもなかった。
「――【索敵】」
セネリーがモンスターを察知するスキルである【索敵】を発動した。ミミック的なモンスターがいるかどうか確かめたのだろう。
「特に何もないみたいね。となればさっそく開けちゃおう♪」
僕たちはそれぞれ宝箱の両端に手をかけ、思い切り持ち上げた。錆びついた宝箱が「ギギギ……」と音を立てて開く。僕はワクワクしながら宝箱の中を見た。
――中を見ると、そこには一枚のスキル書があった。
「お、スキル書じゃーん♪ どれどれ、スキル名は…………【ものまねの心得】」
セネリーはそう言ってがっかりした顔をする。僕も正直言って拍子抜けだった。
「ユイト、これ要る?」
「うーん、いらないかな……」
多分、レベル的には僕が使えばものまねの天才になれるのだろうけど、僕は特にものまねの天才になる気はなかった。
「ま、ミサキもいらないだろうし売却確定かな。ダンジョンで拾えるスキル書ってたまにこういうハズレがあるから困るんだよねぇ」
セネリーはそう言って肩をすくめる。僕も同意見だった。




