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第17話 スキル獲得

 新クラン結成から少したったある日、僕はスキル店に来ていた。今度、ランク2のダンジョンを探索しようという話になったので、スキルを補強しておこうと考えたのだ。魔法を覚えるという手もあったけど、攻撃魔法は下手すれば味方を巻き込むかもしれないし、乱戦では扱いづらい気がしたので今回は遠慮しておくことにした。


「いらっしゃい。どんなスキルを探してるんだい?」


 僕がスキル書を物色していると、店の人と思われる男がニコニコしながら僕に話しかけてきた。年齢は40前半ぐらいで高級そうな服を着ている。このスキル店『バルロシェ』に来るのは今回で三回目だけど、今までに見たことがない人だった。


「あ、えーとダンジョン探索に役立ちそうなやつです」


「ダンジョン探索ね。……失礼ながらお客様は冒険者で?」


「あ、はい。この前に最初の試練に合格したばかりで……」


 僕がそう言うと、男は僕を品定めするかのように鋭く見た。


「……なるほど。それなら最初はモンスターとの戦闘で役立つようなスキルを習得すればいいと思うよ」


 そう言って、男は棚から一つのスキル書を取り出した。


「例えばこれとかどうかな? 【魅了攻撃】っていうスキルなんだけど、このスキルで相手を攻撃すると、相手を魅了状態にすることができるんだ。どんな強いモンスターでも魅了状態にしてしまえばこっちのものだよ!」


 魅了状態……確かゲームとかにもそんなステータス異常があった気がするなと僕は思った。でも魅了って基本的に成功確率はかなり低かったような……?


「えっと、それってどれぐらいの確率で相手を魅了状態にできるんですか?」


「うーん、それは相手と自分のレベル差と相手に耐性があるかどうかで変わってくるねぇ……。相手のレベルが上だとほとんど効かないかも……。で、でもさ、10回に1回でも成功したら儲けものでしょ? 強敵でも運がよければ勝てるんだからさ! しかも魅了状態になったモンスターはこっちの味方になるからね! その後のダンジョン探索が捗ることは間違いないよ!」


「ま、まぁ、それはそうですけど……」


「このスキル、全然売れなくてねぇ……。ずっと在庫として残っていて正直邪魔なんだよ。まぁ売れないのは耐性持ちのモンスターが多いからだと思うんだけどさ。でも買うなら今がチャンスだよ! 今なら安くしとくよ!」


 男はそう言って若干必死な顔でこちらを見てくる。なんだろう、なんていうか在庫をどうにかして処分したいという意図が伝わってくるような……。


(うーん、【魅了攻撃】かぁ……でも僕のレベルだったら結構使えるかな?)


 今の僕のレベルは普通に300を超えている。これで相手のレベルが10とか20だったら耐性がなければ魅了攻撃はかなりの確率で成功するんじゃないだろうか……?


 僕はそう考え、一応男に【魅了攻撃】の値段を聞いてみた。すると男は「これくらい」と言って僕に値札を見せる。そこまで安くはなかったけど、予算の範囲内には十分収まる額だった。これならありといえばありかもしれない。


 ……僕はしばらく悩んだ末に【魅了攻撃】を買うことに決めた。いい機会だし、状態異常系のスキルを試してみるのも悪くないと思った。


 男は僕が【魅了攻撃】を買うことを伝えると、おまけとして【受け流し】のスキルも付けると言った。【受け流し】は相手の物理攻撃を受け流しやすくする防御系のスキルらしい。僕はありがたくそれも受け取って、代金を払った。


「お買い上げ、ありがとう。……あ、そういえばまだ名乗っていなかったね。私の名前はバルロ。この店『バルロシェ』の店主だよ。これからもご贔屓に」


 バルロさんはそう言った。この人、店主だったのか……。前に来たときは見なかったけど、多分たまたま留守にしていたんだろう。


 僕はバルロさんからスキル書を受け取ると、さっそく店内でスキルを覚えた。覚えたスキルは【魅了攻撃】と【受け流し】だ。


(これで今僕が身につけているスキルは全部で三つになったわけか……)


 僕は一応確認のために自分に【識別】を使ってみた。



【識別結果】

 レベル:365

 スキル:【識別】【魅了攻撃】【受け流し】



 ……よし、ちゃんとスキルは覚えられてる。僕は自分が使えるスキルが増えてすごく嬉しい気分だった。感覚的にはゲームで新しい魔法や特技を覚える感じだろうか。でも、ゲームと比べると、現実世界でスキルを覚える方が何倍も楽しい気がする。


(……最初はスキルってなんだろうって思ったけど、これはこれで悪くないかも!)


 僕は早く新しく覚えたスキルを使いたくてウキウキしながら家路へとついた。


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