素材調達.01
「と言う訳で私は素材調達で暫く留守にする。客が来たら取り敢えずメモしておくか以前配布したマギフォンを使って連絡してちょうだい」
一息にそう言い切ってムフーと鼻息をするとぽかんとしたままだったチンピラ達が騒ぎ出した。
「いや…ちょっ⁉︎それは…」
「さすがに容認できませんぜ」
「と言うかこの間みたいな憲兵が来たらどうするんですかい⁉︎」
などなど…全く、別に問題じゃ無いだろ?特にラストの質問。
「憲兵は来ないでしょう。メッセージにはこう書いたから…マルガス」
パチンと指を鳴らすと訓練中だったのか二段解放したままのマルガスが入り口から出てきた。
「へい」
「以前書いたメッセージは?」
「『次、同じ様な集団…憲兵等が来た場合、店仕舞いして旅に出ます。ついでにその憲兵達はこいつみたいにバーベキューにします』」
「正解」
スラスラと答えるマルガスに拍手する私と唖然とする周り。
「第一、今回の素材調達の素材はちょっと大変」
「な、何を取るんすか?」
チンピラの一人が上ずる様に聞いて来た。マルガスはそれに対して一言で簡潔に答えた。
「ドラゴン」
「…は?」
「マルガスの説明じゃ分かりにくいな。正確には邪竜・フルトーだ」
フルトーとは、白い鞣し革の様な表皮に盲目で飛行能力はボチボチなドラゴンである。特徴としては岩を尾から吸い上げ口から打ち出すことや、放電することだろう。
因みに地球で言う鰻みたいに滑っていて正直キモい。卵を産み、小さな幼体を生み出しもする。その幼体も幼体でなんかキモい。人によってはキモ可愛いという人もいるが、あれはキモい。
「ちょぉ⁉︎いやいやいやいやいや‼︎姐さん⁉︎フルトーはヤバイですぜ⁉︎邪竜フルトーを一人で⁉︎勇者でも無いと駄目ですぜありゃあ‼︎」
「そうですぜ‼︎あっしも賛成しかねますぜ‼︎」
などなどと口々に非難轟々なチンピラs。まぁ、普通自分の上司が伝説になってもいる生き物に挑んだらそりゃ反対するわな。
「でも、フルトーの骨や皮等の素材が手に入れば、かなりのものを創れるんだ。しかも肉は美味い」
「いやいや‼︎命と引き換えになりかねませんぜ⁉︎」
「たかが足の生えた空飛ぶ鰻。ならイケる」
と言うかそんくらいなら勝てそうなんだよな。
「なら、二ヶ月たって帰って来なかったらフルトーの住む洞山に来て」
「…本当に大丈夫で?」
「帰って来たらフルトーでパーティー」
「生きて…無事にかえってきてくだせぇ…」
こうしてかなり無理矢理だが納得させて私は早速サンドイッチと金を持つとそのまま地上に上がった。マンホールを開けると久しぶりに路地裏に出た。
「か、鍛冶屋の姐御⁉︎ど、どういったご要件で‼︎」
出た瞬間に以前潰したマフィアのボスが土下座して迎えて来た。いや、土下座は要らんけど。
「要件は暫く出掛けるからここら辺し切っといて。私がやっていた通りに」
「ま、万が一にもルールを変えたら?」
「ここら一帯焼け野原にするけど」
「はい!間違い無く姐御の仕切った通りに致します‼︎」
よろしいと一言言って私は荷物を背負い、目を覆っている布を外し義眼を入れた。
ま、見えないけどね。
けど、魔力を使って私の意識した方向に目が動くからかなり偽装に使える。
で、お面を付けて…と。
「じゃ」
「行ってらっしゃいやせ‼︎」
そんな怒号を聞きながら私は路地裏を出た。