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半年後

捨てられてからかれこれ半年経った。


私は目は見えないものの夢の鍛冶屋には成れた。


王国の王都にこっそり戻り、そこの下水道のギャング共を纏めて私は地下空間に自分の鍛冶屋を持った。


臭いのでギャング達に定期的に掃除はさせてるが。


「姐御!」

「何?」

「ご注文の鉱石が届きましたぜ!」

「そ、なら私の鍛治部屋に置いといて」

「了解いたしました!姐御!」


元気よく返事をするチンピラ。私がこの界隈を〆てから何故かこういうのに凄い懐かれる。


幹部とかには私特製の匕首やドス、ダガーなどを渡している。結構使いやすく切れ味も良いらしく好評だ。


そのせいか、偶に冒険者の人も来てくれるので中々に注文には困らない。


そんなある日、変わった客が来た。雰囲気や音から憲兵か何かだろうか?


「貴女が噂の盲目の鍛冶屋ですか?」

「いらっしゃい…で、注文は?」


すると憲兵は何か気まずそうに話を続ける。冷やかしか?


「い、いえ、貴女に確認したい事が…」

「冷やかしなら帰れ…私は鍛冶屋で相談やじゃ無い…何か話したけりゃ注文の一つくらい入れてみな」


そう言っておくに戻ろうとすると手を掴まれる。何だ?金床で殴り殺されたいのか?と言うかお前を案内したギャングがキレそうだから手を離した方が命の為だぞ?


「何?注文?」

「あ、ああ…じゃあ俺にあった剣を一本打ってくれまいか?」

「どんな剣だ?」

「任せる」


はぁぁ…じゃあやるかね。


「へ?…んぶ⁉︎」

「んちゅ…んん…ぷはっ…」


私はその掴まれている手でその憲兵を引き寄せるとそのままディープキスをかました。別にキス魔って訳じゃない。こうでもしないと剣とか打つのに必要な情報が入らないんだよ。


「な…なななななぁ⁉︎」

「うるさい初心な憲兵だな。キスぐらいでそんなに騒ぐな。ほら、報酬寄越せ」


悶絶している憲兵から報酬の金額を提示して受け取る。


そしてこの憲兵に向いた剣の型を情報をもとにして考える。こいつは性格や筋肉の質、付き方から考えると剣ってより槍だな。


俺は適当に在庫から鉄棒を引き抜いてくる。手伝いのチンピラを呼んで、必要な魔昌石を取りに行かせる。


説明してなかったが、この世界には魔法というものが存在する。私はあの目を潰された日、特殊な火炎魔法が顕現し、めでたく鍛冶屋スキルを得た訳で。


私は憲兵が見ている目の前で右腕に炎を集中させ、鉄を熱する。そしてそれを伸ばしたり拳で叩いて鍛える。


一時間掛けて汗だくになりながらも一振りのロングスピアを仕上げる。後は魔昌石を魔導回路と共に組み込むだけ。


「姐御!基盤と魔昌石持ってきましたぜ!」


ニコニコしながらチンピラは戻ってきた。私は其奴から基盤と魔昌石を受け取るとロングスピアに魔法で組み込む。


見えないけど、感覚で分かる。


そして最後に…


「ま、待ってくれないか?鍛冶屋さん」

「安心しろ、少し血を抜くだけだ」

「その器具で?で、でも…」

「面倒だな…ほいっと」


ざくっと注射器を憲兵の腕に刺し、採血してそれを魔昌石に吸い込ませる。


この感覚…こいつの付与属性は風か。


私は感覚の変わったロングスピアに装飾を施していく。イメージは蔦だな。


…カーン!カーン!と心地いい音が鳴る。拳で叩いているとは思えないけどな。


出来た。


「ほれ」

「えっ?っと!うわぁ!」


投げて渡すと驚いたのか取り落として足元に落とし、さらに驚く事となっている。


そのロングスピアは足元の石に吸い込まれるように刺さった。うん、中々の出来だな。


「それは特別に自我が無いからそのまま使えるから安心して使え」


私はそう言って報酬の入った袋を持って奥の居住スペースに向かった。

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