17話.戯れる?
翌日、ログインすると乙姫が肩に毛玉をのせ不安そうにキョロキョロしながら歩いていた。周りのプレイヤーが乙姫を見てボソボソ話しあっているが気にしない、彼女に声をかけるとニッパっと笑ってこっちに走ってコケた。乙姫に昨日のことを話し俺は武器を作るがどうすると聞くと一緒にいると言うがなんか悪いと思った。しかしこのままじゃ武器がない。なくても狩りはできるがなにかあった時に困るから、仕方ないが少し待ってもらうことにした。
ガマガエルとの約束まで時間があるのでとりあえず素材屋に売りに行くことにした。
「ぶ、ブタしゃん、しゃべった。」
とおきまりは置いておき、ブタはえらく落ち込んでいたが乙姫のと合わせて売ると21,000Gになった。乙姫がしらないものがいっぱいと言っていたがほかっておき、山分けにした。
次に服屋に行き前と同じスーツを買った。上着だけと思ったがズボンもすぐ破れそうなので上下両方にした。乙姫もなにか探していた見つからないらしい。助けてやるかと声をかけどんなのが欲しいのか聞くと
「カメさんと同じようなの」
店員にこの子の着れそうなスーツとシャツを頼むと少し乙姫を見てから持ってきてくれた。試着室で着替えて出てくるとよく似合っていた。
「おー、よく似合ってるじゃねぇか。カッコイイぞ。」
と言うと満面の笑みを浮かべながらもどこか照れくさそうだった。
そろそろ時間だったのでリラのところに行くと、
「いらっしゃい〜、あら、オトちゃんかわいい!似合ってるわよとても」
と言われ、俺が鼻高々に「そうだろ、そうだろー」と言うと「アンタに言ってない!」と言われてしまった。悔しいのでメシをくれと頼むと今日はカレーライスで「クリームコロッケにほうれん草とチーズミックス400gで」と言ったら、「んなもんあるか」と言われた。クソ、このゴリラいつか埋めてやる。
乙姫は満面の笑みを浮かべ美味しそうに食べていた。食い終わったところにガマガエルが頼んだものを持ってきたので確認すると一切反りのない綺麗な直刀だった。
「おお、いいなこれ!」
昔よく親父にポン刀の手入れを手伝わされ、ウンチクを聞かされたもんだ。きちんと聞いてないとポン刀で斬りかかってくるというおまけ付きで。そのおかげかそれなりに価値が解るがこれは業物の部類だ。
直刀:AKT 50 外装が施されてない刀身のみの真っ直ぐな刀。茎に饕餮と銘が刻まれている。(耐久値50/50)
お礼を言い報酬の話になった。
「け、結構いい出来になりました。20kGでど、どうですか」
「あ?なに〜!」
「た、高いですか。す、すみません、でも…」
「これをそんなけでいいのか?」
これほどのものならもっと高いと思ったが、それでいいと言うので支払いを済ませた。よくよくお礼を言い、ついでにフレンド登録をしてもらったがガマガエルは終始ビビりっぱなしだった。そんな中、乙姫とリラは毛玉と戯れていた。
さて工房に向かうと乙姫、毛玉となぜかリラがついてくる
「おい、なんでお前がついて来るんだ」
「や〜ね〜、オトちゃんが見てるだけだとヒマでしょ〜、話し相手になろうと思って〜」
と話すごリラだが視線は毛玉を離さない。
まぁいいかと工房につくと早速杖の製作に取り掛かる。まず前のと同じものを作る。
杖:AKT 20 長さ150cmのシラガシの杖。丈夫で硬いが少し重い。重量1kgステータス補正STR+3(耐久値90/90)
次に5cm幅の八角形の杖を作る。25cmに切りこれを縦に半分に切る。刀茎の部分に合わせ溝を掘る。130cmに切りまた縦に半分に切る。刀身に合わせ掘る。これをくっつければ…接着剤がない。穴を開けるドリルがない。買いに行くかと思ったが外は真っ暗。
はあ、とりあえずやめるか。
「乙姫、わるかったな今日はもう作るの終わりだから狩りに行くか。」
と後ろを振り返ると、毛玉と戯れる乙姫とそれを見守るごリラ、窓越しドアの隙間からその光景を見つめるプレイヤーたち。俺が振り向いたからか、プレイヤーたちはクモの子を散らすように去っていった。そんな中、乙姫はうれしそうに狩りに行くと杖を取り出し構えてみせた。
おお、サマになってきたじゃねぇか。毛玉まで乙姫の頭の上でなにやら身構え?ている毛でわからんが。リラも鎧を装備している。よし、行こうか、ってまさかお前もついて来る気かよ。
街を出ようとすると、3人の女性プレイヤーに呼び止められた。
「あ、あの…ファーラビット様をなでさせて下さい」
乙姫の頭に乗る毛玉を指して言ってきた。3人は近づいて毛玉にさわろうとするがピョンと跳ね逃げる。3人は必死にさわろうとするが一向にさわれない。途中なぜかリラまで参戦している。しばらくすると疲れ果てた4人と乙姫の腕の中で勝ち誇った表情?の毛玉がいる。このままだと面倒くさくなりそうなのでこの毛玉をテイムした状況を話した。あとは自分達でなんとかしてくれと去ろうとしたが、そういやコイツ俺もさわったことなかったなと思い出し手を伸ばし首根っこを掴もうとするとあっさり掴むことができた。4人はがーん‼︎と落ち込み、「なんでこんなや◯ざが…」「悪人顔の癖に…」「…ロリコンの癖に…」と口々に文句をたれていた。
いや、俺はロリコンじゃねぇロリコンじゃねぇ。乙姫は可愛いが断じてロリコンじゃねぇ。