15話.テイム?
乙姫が元気を取り戻したので狩りを再開し、獲物を探しているが他のプレイヤーが多くなかなか見つからない。いるのは兎ばっかで乙姫はキャッキャと追いかけコケていた。しばらくその光景を眺め、ほのぼのしてるなと思った。すると乙姫が小さな毛玉を大事そうに抱えて走ってきた。
「どうした?」
と乙姫の腕の中を見ると小さな毛玉が傷を負っていた。
「かわいそうなの、どうしよう?」
どうやら助けたいらしい。なにか無いかとバッグを見ると傷薬があったので乙姫に渡し
「効くかどうかわからんが、傷にそっとかけてやりな」
乙姫は薬をそっとかけてやるとみるみるうちに傷が治っていく、すると毛玉はビックと動いた。ゆっくりと腕の中から地面に降ろすと毛玉はヒョコヒョコと動き出した。
「なおった、なおったね。」
元気に飛び跳ねる毛玉を乙姫は嬉しそうに見ていた。こうしてても仕方ないので森の方に狩りに行くぞと乙姫に言うと
「じゃあね、バイバイ〜」
と毛玉と別れ森に向かった。
森の方へ歩くと後を毛玉がついてくる。乙姫は早くお母さんのところに帰りなさいと言っているがどうやらテイム?したらしい。
立ち止まると毛玉は乙姫の周りをくるくると楽しそうに飛び跳ねている。鑑定してみると
種族ファーラビット(幼体)
※乙姫がテイムしたファーラビットの幼体。
アカン、本当にテイムしたらしい。厄介なことにならんといいが、まぁ今考えて仕方ないか。
「乙姫、どうやらその毛玉お前の仲間になったらしいぞ。」
「えっどうしよう」
「名前つけて、かわいがってやれよ」
「うん!なまえ……ふわふわだからふぁーちゃん。」
毛玉は名前が気に入ったのか乙姫の肩に飛び乗り顔に頭をスリスリしていた。
「あは、くすぐったいよ。よろしくねふぁーちゃん。」
と毛玉をなでていた。
本当にほのぼのしてるな。
森につくと現れたのはゴブリンだった。なにか鬱憤を晴らすかのようにボコボコにしたが気分が晴れない。続けてゴブリンを見つけては、ボコボコにしていった。
アラームが鳴り、乙姫にそろそろログアウトしないといけないと伝えると、乙姫ももうログアウトすると言うので街に戻った。
ログアウトし、夕飯を食った後もなにかが引っかかって気分が悪い。この苛立ちをなにかにぶつけるために再びゲームをすることにした。
ログインすると獲物を探しに森の中に入り、出てくるゴブリンをあしらいながら奥へと進んだ。すると前にも見た熊が現れた。あっコイツの名前知らないやと鑑定してみるとクマベアーとふざけた名前だった。ヤツの爪や噛みつきを避けながら杖で叩き薙ぎ払い、立ち上がったところの喉元めがけ杖で突きつけるとやっと倒れた。まだ足りない。
次の獲物を探し歩くと辺りが急に暗くなってきた。かまわず探す、何頭か熊を倒したところで森の中は真っ暗になった。さすがにもう無理だと思い街に戻ろうとしたら他のとは比べものにならない大きさの熊が急に目の前に現れ襲いかかってきた。
なんとか避けたが、辺りは暗闇で杖を振り回すと木が邪魔をする。急に横から爪が飛んでくる、後ろから跳ね飛ばされる、一方的に嬲られている。
アカン、このままだと嬲り殺しだ。
一瞬ヤツの気配を感じ杖を突きつけたが空振り、背後から押し倒されて頭を踏み潰された。
教会の祭壇で俺は笑っていた。死んだことが嬉しいのか、強敵に会えて嬉しいのかわからないが笑っていた。
鬱憤が晴れたか気分が良かった。もう一度森に行こうかと思ったが手元にあるはずの杖がない。急ぎバッグを確かめると半分くらい失っていた。まぁ時間もあまりないのでログアウトすることにした。
翌朝、大先生が診察でゲームのことをしゃべりまくってから去り際に「あっ忘れてた。明日腕のギブス外しますから」おい、忘れんなよ、きちんと仕事しろや!ホントに大丈夫かこの医者。
でも両手が使えるようになるのはありがたい。
その後昼メシを食い、ゲームを始めることにした。




