護衛依頼
久し振りの投稿になります。一か月ぶりになってしまって申し訳ございません。
楽しんでいただけたら嬉しいです。
これからも楽しんでもらえたら幸いです。
ペンドラと名乗った旅人。喜作で明るく、そして、女性には目がない(美少女限定)だが。
一行に加わった。いや、護衛を頼まれたのだ。彼に。
話は彼と出会った数分前。
再び、街の酒場に入ることになった僕らは彼から依頼を受けた。
「悪いんだけど、俺をこの先の隣町まで護衛してくれないかい」
いきなりの護衛依頼だった。
この世界では旅をする商人を護衛する冒険者や用心棒を生業とする者は多い。ファンタジーらしい文化と言える。僕の仲間のアーシャがその経験者で、よく話をしてくれていたことを覚えている。
なんでも、旅先の道中で手に入れた代物の件で追われているんだそうだ。相手の腕もかなりのもので自分では歯が立たないらしい。さらに数も多いらしい。だから、複数人に護衛を依頼しようとここまで逃げてきたらしい。
「それって、盗品?」
アーシャが指摘する。
それは当然だ。追われるような品。曰くつきに決まっている。
「そ、そんなことはないよ!?アーシャちゃん!?ひどいなぁ。そんなに俺、怪しいかい」
彼以外が首肯。
彼は、ひどいー!と一人で叫び、落ち込んでいる。
しかし、僕たちのリアクションは当然だと言えるだろう。
「それでは、ペンドラさん。その品物は一体なんなんですか?」
僕は肝心の品物について質問した。
「いいよ。ちょっと待っててくれ」
戸惑うことなくあっさりとテーブルにその品を置いた。
それは、長い濃い緑色の縦長の布に包まれていた。
ペンドラが布を取る、そこにあったのは
「「「おおっ」」」
彼女達が感嘆の声をあげる。この僕も声には出さなかったがそれに見惚れた。
それは、剣だ。それもただの剣じゃない。剣と呼ぶには相応しくないほどの美しさを持っていた。柄から鍔にかけて金色で細かな装飾が施されている。そして刀身には真ん中を一筋の金色の筋が入っている。そして何より
この剣、魔力を持っている。しかも、聖属性。
そう刀身から溢れてくるものは紛れもなく聖属性。
茂木が自慢げに振るっていたのでよく覚えている。
「どうだい。すごいだろ!こいつのせいで俺は、金がないにも等しいんだ」
自慢げに語るペンドラ。
「ペンドラさん。確かにすごい品です。しかし、これをどこで」
「いやに、旅の途中で見つけた武器屋でな。一目で気に入っちゃったのさ」
こんな剣だ。売れば、遊んで暮らせるだろう。成程、狙いたがるわけだ。
「それで、狙われている品はわかりました。しかし、依頼をするということは、僕たちに見返りはあるんですよね」
僕の返答に。
「勿論。護衛をしてもらうんだ。それ相応のお礼はするよ」
間も空けずに彼は言った。
「では、申し訳ないのですが、今、この場で見せてください」
こう切り返した。後になって嘘だったなんてことがあっては困る。交渉は今だ。
「わかった。見せよう」
そう言って彼はずっしりとした袋を出した。中を確認する金貨だ。それもかなりの量。
「随分と多いですね。護衛としては破格ですね。しかし、あなたはその剣を手に入れたために財産の大半を失ったのでは?」
「命には、変えられないさ。さて、これくらいなら文句はないかい?」
ペンドラの即答に僕は思案する。
茂木達の仕掛けた罠の可能性すらある。
一振りの剣のために命が狙われる。少し不都合な感じがしてならない。だが、彼の内容に嘘を言っているとも思えない。
現に、こちらに視線を送る者達が何人かいる。視線を動かせば、実力のある者達だ。気配で解る。
彼の話に符号する。しかし、クラスメイトはいない。それらしい気配すらもない。彼らとは別件だと判断していいだろう。
さて、どうするか。
考える。普通、ここで依頼を断るのが普通だ。見るからに争いへとむかいそうだ。
「いいでしょう。その依頼。受けましょう」
しかし、僕はその場で即断した。受けることにした。
この男の正体。思惑、見極めてやる。
僕はそう思った。
「いいでしょう。その依頼。受けましょう」
彼はそう言って、俺の依頼を受けた。最初は金で動いたか、と思った。だが、その目を見た瞬間、訂正した。俺を見定めようとする目だったからだ。
驚いた。自ら飛び込んでいながら相手を見定めようとする。思い切ったことをする。連れもいるのに。
だが、ここにきてさらに驚かされる。連れの彼女達も動じることなく彼の決断に賛成しているのだ。
そこには、彼に対する絶大なる信頼が窺われる。
これは、面白い。仕掛けてみたかいがあった。
さて、これからの道中、見させてもらおう。君たちが、帝国の勇者に反旗を翻した。「反旗の勇者」の実力をそして、それを束ねる
こちらを見る彼に
剣客の実力。見させてもらうよ。
俺は笑みを浮かべて、交渉成立の意を示すための握手を求めた。




