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道中の会話

今回は戦闘はしません。

次の話で戦闘描写を書く予定です。

夜となり、静まり返ったタタラ国の城下町。昼間にはあんなに賑わっていたのに今ではそんな面影など一つもない。


「静ですね」

「夜になるとほとんどは寝静まります。賑やかな場所といえば、遊郭か、酒場くらいです。ですが、今では、そちらも静かになってしまいました」

ヤススケから遣わされた男が残念そうに説明する。

本来はこんなにも静ではないんだな。それほどに辻斬り騒ぎは大きくなってしまったんだな。


「遊郭・・か。そんな物があったんですね」

「ご存じではありませんでしたか」

「ここに来たのは、剣でしたから」


それに遊郭なんかにいく必要もない。

竜にはすでに彼女たちがいるのだから。


「そうでしょう。あれほどの女性がいれば、遊郭の女たちなど霞んでしまうでしょう」

「さて。何のことでしょうか」

「あなた様の奥方達ですよ。あなた様達が、買い物をしたりしていたのは遠くから見ていましたので」

竜は納得する。知らない方がおかしいよな。


「不躾な質問をいいでしょうか」

「何でしょう」

「奥方様の中で正妃は誰なんですか」

「!あなたは何を」

「い、いえ。我らの国では、複数の女性を娶っている男は、その中から誰か一人、正妃を選びますので」

なるほど。この国の文化か。確かに複数の女性を囲うなら、正妻がいるという風に考えてもしかたない。でも、僕は彼女達に順位を付けたりはしてないからな。


「僕は順位は付けませんよ」

「何故でしょう?」

「差別しているみたいで嫌ですもん」

本心だった。


「なるほど」

それ聞いた男はなにやらしきりに頷き、

「これなら姫様も・・」

竜には聞こえないほどの声でなにやら呟いている。

竜は気になって声をかけようとした。


「こちらです。ヒカゲ様」

物陰に身を潜めていたヤススケに声をかけられて、聞くことは出来なかった。


「あそこですか」

竜の目には一軒の屋敷が入っていた。

「ここは」

「我が兄の別宅です」


どうやら。別荘のようだ。しかし。流石は将軍の長男。立派な屋敷だな。

時代劇のセットをおもわせる立派な日本様式の屋敷だ。

自分の家も似ていたから親近感がわく。


「それで、どうするのですか」

思考を切り替える。

今から殺し合いをするんだ。覚悟していかねば。


「一応。兄達が屋敷を出たところで畳み掛けます」

現行犯で捕まえる。ということか。


そして屋敷の門が開いた。

門から頭巾で顔を隠す者が一人、それを護衛するようにいる者五人、そして一人だけそれとは違う男がいた。男と言っても高校生だ。肉つきいい顔だが、目付きはつり上がり、獰猛に見える。服装は軽装で動きやすいものだが、腰、背中から見える物は違う。いくつもの剣が腰にあり、背中からは槍の一部が見えていた。

その姿はこの世界の歩く武器庫。

彼こそこの国に来た勇者サイゾウ・ゲンタだろう。

辺りを警戒する彼ら。

その時サイゾウだけは一方向に目を向けた。その方向は竜達が隠れているところだった。


「どうした。サイゾウ」

頭巾の男が尋ねる。

「いや。何にも」

サイゾウはそう答える。

そして彼らは夜の街へ歩いていった。


「ばれてません。急ぎましょう」

ヤススケはそう言い、後をつけていく。そして護衛の人達もいく。

しかし竜だけは険しい顔をしていた。

(ばれてない。いいや。あいつにはばれている)

竜は見ていた。サイゾウが気づいていたことを。さらに自分を見ていた。そして笑ったのを。

他の人が気づかないほどの小さい笑みを。

だが、サイゾウは言わなかった。


何を考えているんだ。一体。


竜は不安を抱きながらヤススケ達の後を追った。

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