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短めですいません。

それでも楽しんでいただけたら嬉しいです。

頭を下げるヤススケ一同。その様子から彼らの事態の深刻さを物語る。


「ひとつ。確認したいことがあります」

沈黙の中だからなのか竜の言葉は恐ろしくその場に響いた。

「何故。僕達のことを知っている。そして、何故。何もしない」

一番の疑問だった。

ダート帝国で現在反逆している(世間では)自分達。

自分達は国家の反逆という大罪を背負っているA級のお尋ね者。

しかし。素性を調べあげたわりに。相手は何もしてこない。逆に助力すら請う状態。

竜には理解できなかった。


「確かに。あなた様は世間では、お尋ね者です。しかし。それは帝国内での話です」

「どういう意味でしょう」

「率直に申しますと。帝国の行為。及び、勇者召喚に関しては好意的には見ていないのです」

ヤススケの従者の一人が答えた。

「召喚に関しては、大陸中に広まっていて近いうちに行われる全国会議の議題の一つに挙げられる予定でした」

ヤススケが話し始める。

「それに。勇者達の所業もあまり感心されるようなものではありません」

ああ。竜は口からそんな声が出ていた。

それが目に見えていたためかもしれない。

高田達がいい例だったからだ。

力で支配する。

押しつけた正義。自分の都合で物事を進める。


「一応。私もその同郷の一人なのですが」

「あなた様は別です」

「別?」

「サンガの里の一件」

あの山での惨状が目に浮かぶ。


「あなた様のサンガの里での行動は、我々の耳にとどいています」

これには驚いた。あの事が広まっていたことに。

「だけど。私達のやったことは結果として里の人達を助けましたが。やったことは国家への反逆ですよ」

「周辺諸国の反応は薄いですが、好評かされているのですよ」

なんだかな。こっちはこの国ともいざこざを起こす時が来たんじゃないのかと警戒していたのに。


「協力はしましょう。あなたの兄が行動を起こす夜になる前に使いを寄越してください」

「わかりました。ヒカゲ様。本当にありがとうございます」

「それで、刀鐵さんは」

「怪我を負っていますが、一命はとりとめていますので、どうかご安心を」

ヤススケは竜の意図を察してか刀鐵の現状を教えた。

「感謝します」

「いえ。これくらいはさせていただけませんと割に合いません」


こうして竜とヤススケは一旦の別れとなった。


さて。覚悟を決めないとな。


今夜の戦いにむけ、竜は気を引き締めるのだった。


「それで!刀鐵さんは大丈夫なの!」

部屋で待機させていた仁美達は戻ってきた竜に詰め寄り聞いてきた。竜は知り得た情報を彼女達に教えた。

「大丈夫みたいだよ」

それには彼女達はほっと胸を撫で下ろす。


『じゃが。けしからんのう』

竜之心は小太刀から現し、腕を組む。

「全くです。国を背負う者がそのようなことをするなど!」

レティシアがここで珍しく声を荒げた。

自分も国の上に立つ者として思うところがあるのだろう。


「それで、どうするのですか」

皆を代表して仁美が聞いてくる。

「一応。協力することにした。けど、皆はここで待機してほしいんだ」

「どうしてですか!!」

それには仁美達は驚く。

「協力するとはいえあっちは初対面だ。それにここにくるまで僕達のことを調べてきていた。用心にこしたことはない」

自分達を調べる方法は様々だ。侮れない。

それに反逆者の僕達を裏切る可能性もある。


「だから。皆にはもしもの時に待機していてほしいんだ。万が一、ここから出るかもしれない」

「ですが、武器がない。あなたはどうするんですか」

確かに武器は手元にない。けど。

竜は竜之心の宿る小太刀を掴んだ。


「ここに。信頼できる武器がある」

小太刀を少女達に見せた。

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