表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/95

模擬戦の結末

7/19。ちょっとした付け足しと修正をしました。

剣を構え直し高田の動きを警戒する竜。

竜は、高田の変化には気づいていた。

彼が見せた不気味に見えた笑みが頭にこびりついて離れないからだった。そして、竜が異世界生活で身につけ、冴え渡った〝勘〟というものが警鐘を鳴らしていた。


高田が何をするか。それはわかる。


しかし竜は彼が何を仕掛けてくるのかまではわかっていなかった。

高田はというとさっきから笑みを浮かべてばかりである。

竜にはその笑みが不気味でしょうがなかった。


(何を仕掛ける…何を)

竜の思考を他所に


「おらぁ!」

高田が一気に近づき竜の溝内辺りに正拳突きを入れてくる。

竜は寸前に体を動かし避ける。

今度はギリギリの中のギリギリであったために高田の突きがかすった。

「ぐっ!?」

かすっただけでまるで刃物にでも斬られたような痛覚を竜は感じた。

(かすっただけで、この威力!?)


「はは、どうした!さっきまでの勢いはぁよぉ!」

今度は蹴り。しかも回し蹴りも加えた連続蹴りだ。

そして動きがさらに速くもなっていた。

この戦い方は高田自身の才能でもあったが帝国の騎士団に所属している格闘技に優れていた人の指導で得たものだった。

高田の能力は、筋力といったものを倍にするものと風属性の魔法である。

それは高田自身とはとても相性の良い能力であった。

今までの高速の動きは、こっちの世界で発現した高い身体能力に加えて筋力といった自分の肉体を強化する能力によるものだった。


「く、ぐっ」

高田の猛攻を時に避け、時には剣の刀身で受け止める。といった具合に防御と回避を続けていく竜。しかし、竜の服は、蹴りの放った時に生じる衝撃波と速度が上がった高田の一撃、一撃を完全に捌ききれていないための影響によって所々が破れ、そこからはちょっとではあるが血が流れ出ていた。


(長期戦は、不味い!?)

竜は内心焦っていた。

それは恐怖だった。

魔力もなく、回復魔法も使えない。怪我をしても城の者、クラスのみんなは手当てをしてはくれない。

そのために竜にとっては、この世界で一つの傷、かすり傷だけでも命取りとなっていた。

それが竜に恐怖と焦りを戦いの中で抱かせていたのだ。


そのために集中力を切らせてはいけない。

(焦るな!)

それを竜は強く意識して沸き起こる恐怖を抑え込む。


「しぶといな。だったらこれで終わりだぁ!」

掛け声とともに高田は動いた。

突っ込んでくるが竜は動かず高田を見据えていた。

高田は右腕を引き、正拳突きの構えをとっていた。しかも、止めの一撃なのか力が込められているのが感じられる。

しかし、それは竜も同じだった。

この時、竜は剣を鞘に戻して抜刀の構えをとっていた。

抜刀術。

鞘に納まっている剣を一気に抜く一撃必殺の剣術だ。

日本刀といった刀身が反っている武器の方が有効だが竜の持つ剣は刀身が真っ直ぐで抜刀には不向きであった。

しかし、竜はそれを選んだ。

それはそういった事も承知の決断だった。

(くる……!)

向かってくる高田を集中して見据える。

そして、

(まだ…まだだ。………よし!)

竜は動いた。


「ぐぁ!?」

抜刀しようとした瞬間。突然全身を強烈な痺れと激痛が竜を襲った。

その影響で抜刀するために持っていた剣を落としてしまった。

突然の体の異変に困惑する中で竜は見た。

高田が声に出さず口だけを動かし勝ち誇った笑みを浮かべていたのを。

竜は高田が何を言っているのかがわかったそれと同時に恐怖を感じた。そして直感でわかった。

自分が死ぬと。

唯一動く目を動かし高田を見た主に繰り出そうとしている右腕を。

右腕にはよく視覚できないが何やら透明な何かが渦を巻いているように見えた。

それを見た瞬間。胸に衝撃が走り突き抜けていった。まるで見えない一撃が貫通したかのようであった。


それを最後に竜の意識は消えた。



意識が朦朧する中、竜はもがいていた。

何もない暗い世界でいたるところをまるで掴もうとするように。

そして、誰かの手を掴んだ。


「う、………うわあぁ!!!」

勢いよく起き上がった。

荒い息を吐きながら自分を落ち着かせようとした。

落ち着いてきたら竜は周囲を見た。

そこは豪華な寝室だった。

自分が現在暮らしている部屋とは真逆な程であった。

そんな場所に自分がいる事に多少の困惑があった。

その時、寝室のドアが開いた。


「良かったぁーー!目が覚めたのですね」

竜の姿を見て自分のように喜んでいる。

そこには、この勇者の中でも一、二を争う実力を持つ少女がそこにいた。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ