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タタラ国

久しぶりの投稿です。

楽しんでいただけたら嬉しいです。


タタラ国の風景は、今後加筆していく予定でいます。

もし、イメージが難しいと思うのであるならば、時代劇に出てくる江戸の街をイメージしてください。


「さぁーて!ついたぁーーー!!」

国の入口とも言うべき門の前で

アーシャは両手を上げ、万歳のポーズをとり、叫んでいた。

(やっと着いたよ。えっと、タタラ国だったかな)

自分の記憶を掘り起こし、再確認する。

「アーシャさん。受付に入りますからきてください」

自分に声を掛けてくる少年。

自分の恋人、日陰・竜。

物静かさがあるが優しさが伝わってくる。

本当に不思議よね。

あんな彼のどこに相手を確実に倒す力があるんだろう。

しかも、勇者を何人も倒してしまうほどに。

自分の敗北した身としてはその強さに実感が湧く。


(だからこそ、惚れたんだよね。私も)

アーシャの地球での母の家の仕来たりのような中でこんな言葉がある


強い者に恋をせよ


かつて、母の家の当主が自分を打ち負かした者に恋をしたことからこの言葉ができたらしい。

(お母さんもそうだったらしいしね)

現にアーシャの母は自分を打ち負かした当主、自分のお父さんに恋をしたんだから。

その話を昔から聞かされたアーシャは嘘だあ、と思った。

しかし、それは事実であり、現に自分が体験しているのだから。

(本当だね。お母さん)

あの時の勝負、圧倒的な力量差があったのに怯むことなく自分を見据える目。そして自分が惚れ惚れしてしまうほどの剣術。

あの戦いの中でアーシャの胸の内は鼓動が大きく跳ねていた。

その時にアーシャは気づいて、実感した。

ああ。この人は強い。そして、自分はこの人に惚れたんだと。

今では、楽しく、恥ずかしい思い出。

でも、それ以上に楽しい思い出。

アーシャはそんな思うを振り返りながら彼のもとへ走っていった。


「しかし。これは」

「そうですね」

「うん。二人と同じ気持ち」

竜、仁美、アーシャという順に門を出た先に見る国の光景に思い思いの感想を抱いた。

いや、感想は同じだったろう。


(((江戸時代の風景)))


三人が呟いた感想であった。

そこには、瓦屋根の木造建築、着物、浴衣というべき服装をした国の人々。


「時代劇のセットみたい」

「アーシャは時代劇は」

「家族全員がファン」

「流石は剣術道場の娘と家族、だね」

「竜は?」

「勿論」

竜は笑顔で答える。

竜も時代劇は大好きだ。

時代劇に登場するアクションを道場で真似をしていたのはいい思い出だ。

そして、自分に剣術を教えてくれた父親は

「この動きは違う!」と叫んで、こうするんだ!、とアクションの動きを評価したりしていた。

(本当に懐かしいな)

異世界に召喚されてもう半年になろうとする中で久しぶりに家族のことを思い出した。

「どうしたんですか?」

いつの間にか仁美がこちらを見ていた。

「いえ。家族の事をちょっと」

「竜さんの家族ですか」

ちょっと驚く。

竜が家族の事を言ったのは初めてだったからだ。

「どんな方なんですか?ヒカゲ様のご家族は」

レティシアも食いつき、アーシャも興味深げな表情を向けてくる。

「剣術とかに関しては厳しいけど、それ以外は豪快な人達だったよ」

事実だった。竜の父親、母親ともに豪快だった。

そして無類の剣術馬鹿だった。


「会ってみたかったなあ。竜のお父さん、お母さん。そしたら、ご挨拶しに行きたかったんだけどなあ」

「アーシャさん!な、何を言っているんですか!」

アーシャの言葉に頬を赤く染めて取り乱す仁美。

「だって、私達、竜の〝彼女〟でしょう。ご家族に挨拶に行くのは当然だと思うんだけど」

「そ、そうですが・・・」

口ごもってしまう仁美。

「で、ですが!あっちですと一夫多妻じゃないんですよ!」

「大丈夫ですよ。仁美さん」

「竜さん」

大丈夫と言った竜の表情に仁美は首をかしげた。

その表情が苦笑交じりだったためだ。

「どうしたんですか?」

「僕の両親は、大手を振って受け入れてくれると思うから」

「え!?」

驚きの表情を浮かべる彼女。


(絶対。大丈夫ですよ。家は)

思い出すようにあの時の両親の言葉が頭の中に響いてくる。


「竜。男は、女の一人や二人、連れてこそだぞ!」

「お母さんは、大歓迎よ。まあ。あなたなら、三人くらいは結ばれそうよね」


(お母さん。あなたの言ったとおりに三人の彼女ができましたよ)


そんな事を思い出すのであった。

(だからこそ、頑張ります。だから、僕は、強くなります。彼女達のために。父さんが母さんを守ってきたように)



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